火星に「液体の水」が存在する謎! マイナス70℃なのに...!?

5月5日(火)13時0分 tocana

 火星には液体の水が存在した痕跡が多数ある。たとえば水流で砂が堆積した川の跡だ。大雨のあとの学校の運動場には、水が流れた筋がたくさん残っていたが、それとよく似たものが火星にもある。また2004年に火星に着陸したオポチュニティの探査によって湖底に土砂が降り積もってできた「堆積岩」も確認されている。

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 しかし、肝心の「液体の水」が火星には無い。現在の火星は平均気温が0℃をはるかに下回り、しかも気圧も低い。気圧が低いと仮に気温が0℃を超えていても液体の水は存在できない。火星にははるか昔には"水"が存在したかもしれないが、以前とは環境が大きく変わったため存在できなくなった可能性が高いとみられていた。

 しかし、そんな常識を覆すような発見があった。直接発見されたわけではないが、「火星で液体の水が存在できる環境」が見つかったとイギリスBBCが報じている。BBCやNASAの記事をもとに火星の水について読み解いていこう。

■液体の水は、水溶液(塩性溶液)なら存在可能

 火星は液体の水が存在するには気温と気圧が低すぎる。しかし、地表付近で水溶液(塩性溶液)としてなら、存在することが可能であることがわかったという。

 どのようにして極寒・低気圧の火星に液体の水が存在できるのか。そのカギを握るのは「過塩素酸塩」という潮解性の物質だ。潮解性というのは、大気中から水分を吸収して自分自身を溶かして水溶液になってしまう性質のことを指す。

 BBCによると火星表面には過塩素酸塩が存在しており、大気中の水蒸気が溶けるとマイナス70℃でも液体の水が存在できるのだという。

 この水溶液は、地表付近にできた小さな隙間から大気が土壌に入り込み、過塩素酸塩が水分を吸収しただけでも発生する。また過塩素酸塩は赤道付近だけでなく極地方でも確認されているので、火星全土の表面に液体の水が存在する可能性があるというのだ。

 火星を探査している探査車キュリオシティには「ローバー・環境モニターシステム(REMS)」という天候観測装置が搭載されていて、キュリオシティの周辺の相対湿度と気温を観測している。ちなみにキュリオシティが探査している火星の赤道付近では、相対湿度は夏の日の午後に5%、秋冬の夜には100%にもなるのだという。

 またキュリオシティに搭載されているDANという装置で地中の水素濃度を計測している。そのデータから見積もられた水の量は、過塩素酸塩が水分を保持していることの裏付けとなっている。

 さらにキュリオシティのSAM(大気や岩石を分析する装置)でも大気中の水蒸気の存在が確認されている。

 こうした結果から、火星の赤道付近では冬は夜間地表付近で塩水が作られ、昼間暖かくなると水蒸気として大気に戻っていく条件が整っていることが明らかになった。


■水分によって期待される火星人の存在

 キュリオシティの共同調査員でREMSの主任研究員のジャヴィル・マーティン・トレス博士は、「私たちが発見したのは、地表面付近に液体の水が存在できるという『状況』なのです。水そのものを発見したのではありません。ちょうど太陽系外の惑星を、惑星の重力の影響による恒星の挙動から間接的に発見したのと似ています」と話す。

 さらに彼は、「今回の発見によって、火星には日々の水の循環があることがわかったのです。それはこの過塩素酸塩の水溶液によってなされています。地球上では大気と地面とは降雨によって水のやりとりをしますが、火星ではこの常識は通用しません。液体の水というと暖かい温度でできるものと想像しがちですが、潮解による水溶液は温度と大気圧の条件が合ったときにできます。火星では液体の水の薄い層ができる場所は寒いところなのです」と、続けている。
 
 火星で液体の水ができる証拠が発見されたゲールクレーターがある赤道付近は、液体の水がむしろ"できにくい"場所だ。より高緯度では湿度がより高く、気温も低いため常時液体の水が存在する可能性もあり、場合によっては1年を通じて水が存在するかもしれない。

 だが、トレス博士も「現在のところ、あくまでも推測」と明かしている。しかし観測結果は、「水が存在する可能性を強く裏付けている」と言う。

 液体の水が存在するのであれば、生物も...と読者の方々は期待されたかもしれない。しかし残念ながら、温度が低すぎて微生物ですら生存は無理なようだ。
(文=山本睦徳)

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