野毛で飲むならココに行くべし! 名店の店主が足繁く通う本当に旨い野毛の名店

2019年5月8日(水)10時50分 食楽web


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 神奈川・野毛といえば、全国にその名を轟かす名物飲屋街の一つ。華やかでありながらディープな雰囲気を支える新旧の名店たちは、野毛らしい心地よさにあふれた場所です。

 夜が更けるほど常連客で繁盛する隠れ家から、街を代表する老舗や若者が集う人気店まで、紹介するのは、野毛のリアルが詰まった4店舗。今回は、野毛の新旧を代表する店主たちと共に、本当に美味しいお店を巡ってみましょう。

野毛 はる


鮮度抜群、厚めに切られた「かんぱち」800円。魚は日々3 〜 4軒の鮮魚店を回り仕入れる。加治さんの定番「鶏唐揚げ」550円も、からりと揚がった薄衣が上品な小料理屋の味

ちゃんとした料理を安く出す。
そんな古きよき野毛の名店

 メイン通りから外れた静かな路地に、野毛生まれ野毛育ちの主人が営む『はる』はあります。深夜ともなれば、界隈の店の店主たちが次々来店。新鮮な刺身や丁寧に作られたつまみをアテに、1日の疲れをゆっくり癒す場所です。


主人の青木貞雄さん(左)と、都橋商店街にある、広さ2.5坪の“世界一小さいビアパブ”『エル ヌビチノ』の店主である加治正慶さん

 日本屈指のクラフトビールの名店『エル ヌビチノ』の加治正慶さんも常連のひとり。「ここはちゃんとしたものが食べられる場所。“いいものをなるべく安く”というのが昔の野毛だった。街は変わったけれど、この店にはまだそれがあるんです」と加治さん。

 2019年で開店10周年。当初から通う加治さんと主人の青木貞雄さんは、勝手知ったる仲。ですが、「気軽な雰囲気だけど、中身は居酒屋ではなく小料理屋。だからいつも刺身、揚げ物、蒸し物と調理法が被らないよう注文します」と加治さん。

 きちんと手を掛けた料理は当然のこと、季節ごとに器を変えたり、カウンターのひとり分のスペースが少し広かったり。さりげないけれど、きらりと光る仕事人の気配りが、界隈のプロたちに支持される名店です。

●SHOP INFO

店名:野毛 はる

住:神奈川県横浜市中区野毛町1-53
TEL:045-325-9179
営:18:00〜翌2:00
休:日曜

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萬里


「酢豚」1,209円、「ビール(大瓶)」637円。本場仕込みのメニューには、「北京ダック」や「なまこのうま煮」など本格的なものも。半額で半分量の小皿メニューも用意され、ひとり客や女性に好評

野毛の賑わいを支え続ける、
昭和24年創業の老舗中華屋

 古く大衆演劇が花開いた野毛。そんな文化を今に伝えるイベント「野毛大道芸」は、今年43回目を迎えた街の風物詩です。ベルギービールバー『ル・タン・ペルデュ』の店主・IKUO三橋さんは、「野毛大道芸」の初代プロデューサーにして、フランスの国立学校でマイム講師を務めたほどのパフォーマー。その三橋さんの馴染みの店が、昭和24年創業の『萬里』です。


ベルギービールバー『ル・タン・ペルデュ』の店主・IKUO三橋さん(左)。『萬里』2代目の福田豊さん(右)

 2代目の福田豊さんとは「もう40年近い付き合い」と三橋さん。2人は共に野毛の変容を見つめてきました。「若い店が増えたけど、酒も料理も安いのは昔と同じ。ここには本物の場末が残っているんです」と三橋さん。

 『萬里』の餃子も1皿356円。ルーツは福田さんの生まれ故郷・旧満州。曰く「おふくろが現地の店に通いつめ、作り方を教わったもの」で、レシピは当時から一切変わらない。三橋さんは「皮はパリッと香ばしくて、中は肉汁がじゅわり。たまらないね」と笑いつつビールをグビリ。「じゃ、私も一杯」と福田さん。野毛のにぎわいを支えてきたこの場所には、今も昔も同じ光景が受け継がれています。

●SHOP INFO

店名:萬里

住:神奈川県横浜市中区野毛町2-71
TEL:045-231-8011
営:12:00〜22:10、土曜、日曜、祝日12:00〜21:40
休:月曜

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レストラン イグレック


田中さんの定番「〆サバ」(奥)1,800円〜は、カレー風味のタルタルが技アリ。手前は新生姜ソースを合わせた「仔羊」3,300円〜、右の「平スズキ」2,400円〜はトマトソースと共に。ボトルワインは1,500円〜、持ち込み料は1,000円

食材も調理法も自由、
メニュー選びから楽しめるレストラン

「メインは仔羊を」「味付けはしっかり? あっさり?」「ボリュームのあるお酒を持参したのでしっかりめに」…カウンター越しに会話を交わすのは、日本酒バー『ビーロック』店主・田中麻奈さんと『イグレック』店主・本橋豊さん。

 実はこの店、メイン料理のメニューがないため、こんな応酬は日常茶飯事なのです。「黒板のリストから食材を選んだら、相談しながら好みの調理法で作ってくれる。わがままを聞いてもらうようでうれしいんです」と田中さん。訪れるのはもっぱら休日、家族と一緒に楽しみに来るそうです。


日本酒バー『ビーロック』店主・田中麻奈さん(左)と『イグレック』店主・本橋豊さん(右)

「記念日など、きちんと美味しいものをたらふく食べたいとき来ています。今日みたいに日本酒を持ち込むことも」と田中さん。腕を振るう本橋さんは、『オテル・ド・ミクニ』などのフレンチで修業を重ねた職人肌の実力派。

 ホッピングが主流の野毛にあって、ゆっくり腰を据えて料理を楽しめる希少な店です。黒板に値段はないが、予算の目安はひとり3,000円からと破格。「でも注意点がひとつ。とにかく量がたっぷりだから、くれぐれも腹ペコで来てください!」。

●SHOP INFO

店名:レストラン イグレック

住:神奈川県横浜市中区野毛町2-71-9 モックビル2F
TEL:045-241-2623
営:18:00〜最後の人が帰るまで
休:日曜

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野毛とりとん


肉や具材がお替り自由! 鶏一羽を丸ごと、にんにくやネギ、じゃがいもと煮込む「タッカンマリ鍋コース」は男性2,780円、女性2,480円(120分)。辛味噌“タデギ”が味の決め手。海老の醤油漬け「カンジャンセウ」は600円。

肩肘張らないアットホームな雰囲気に
毎日でも通いたくなる店

 大正12年創業の老舗精肉店、『尾島商店』4代目の尾島隆一さんは、野毛の街に特別な思いがあるといいます。「道端で常連さんから『お茶でも飲んでって』と声を掛けられることもしょっちゅう。住んでいるのは別の街ですが、自分のホームタウンは野毛なんです」と尾島さん。


老舗精肉店、『尾島商店』4代目の尾島隆一さん

 尾島さんを公私ともに支える存在が、横浜界隈の経営者仲間。さまざまな分野のメンバーと週に数度飲み交わすことが、大きな刺激になっているといいます。「『野毛とりとん』の代表・金本重徳さんもそのうちのひとり。ここには仲間と一緒に飲みに来るんです」と尾島さん。

 仕事柄食べ歩きに余念がない尾島さんですが、実は辛い物が苦手。韓国料理の店に出向くことはあまりないそうですが、こちらのタッカンマリとなれば話は別。

「独特のタレがいい。最後は雑炊で〆るのがお決まりですね」。カジュアルでにぎやかな店の雰囲気は、野毛の下町らしさによく馴染んでいます。「昔は野毛にも人が少ない低迷期があって。こういう新しい店が出来て活気が戻った。古い店と新しい店が、相乗効果で街を盛り上げているのが、今の野毛だと思います」。

●SHOP INFO

店名:野毛とりとん

住:神奈川県横浜市中区野毛町2-72
TEL:045-252-2983
営:16:00〜23:30
休:なし

(文◎田代いたる、山脇麻生、鴫原夏来、唐澤理恵、佐藤 潮、河島まりあ、吉澤英晃、尾崎 愛 撮影◎鵜澤昭彦、鈴木拓也、上田佳代子 原 務、菅野祐二、大谷次郎)

※当記事は『食楽』2018年冬号の記事を再構成したものです

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