長引く咳や痰の症状で疑われる、認知度が低い2つの疾患とは?
2025年5月9日(金)11時5分 マイナビニュース
インスメッドは5月8日、「肺非結核性抗酸菌症と気管支拡張症を含む感染症と呼吸器疾患に関する調査」の結果を発表した。同調査は2024年11月29日〜12月2日、咳や痰の症状が1週間以上続いている、もしくは咳や痰の症状により病院を受診した30代から70代の男女1,030名を対象に、インターネットで実施した。
最近気になっている症状としてあてはまるものを尋ねたところ、「咳」(男性76.3%、女性78.4%)と「痰」(男性57.1%、女性54.8%)が多かった。
「最近気になる」と答えた症状があるために医療機関を受診したか、また、現在も通院しているか尋ねると、「医療機関を受診していない」と回答したのは「咳」の場合で男性の56.5%、女性の49.5%、「痰」の場合で、男性の57.1%、女性の55.0%となった。
咳・痰があっても医療機関を受診していないと回答した人にその理由を尋ねたところ、男女とも「病院に行くほどではないと思っている」(男性81.7%、女性75.9%)が最も多かった。
感染症・呼吸器疾患について知っているものを尋ねると、「インフルエンザ」と「新型コロナウィルス感染症」は、男女ともに9割以上の認知度(インフルエンザ:男性91.7%、女性95.3%、新型コロナウィルス感染症:男性90.5%、女性95.0%)だった。
一方、非結核性抗酸菌(Nontuberculous Mycobacteria、以下「NTM」)が肺に感染することにより発症する「肺NTM症」と、炎症、感染、気道粘液クリアランスの異常、肺組織損傷などが相互に関連しながら気管支が不可逆的に拡張する重篤な慢性肺疾患「気管支拡張症」の認知度は低かった(肺NTM症:男性7.6%、女性9.9%、気管支拡張症:男性14.8%、女性17.1%)。
咳や痰の症状があるために困っていることを尋ねたところ、男女ともに、「寝つきが悪い(睡眠不足)」(男性34.8%、女性35.9%)と「周囲の目が気になる」(男性30.1%、女性35.0%)が3割を超えた。
感染症も含む呼吸器疾患発症の要因や呼吸器感染症の感染源・感染経路となる可能性があるもので、知っているものをすべて選択してもらったところ、呼吸器疾患発症の要因や呼吸器感染症の感染源・感染経路に関するすべての項目の中でトップは、「人の飛沫(くしゃみ、咳など)」だった(男性81.0%、女性87.8%)。
肺NTM症の感染経路と考えられている「土(花壇、ガーデニングなど)」は、男性17.1%、女性33.6%、「水(水道水など)」は、男性15.5%、女性20.6%と認知されている割合が低かった。
感染症予防のために意識して行っていることを尋ねると、最も多い回答は「手洗い」(男性82.5%、女性89.7%)だった。一方、「水回りの掃除」(男性16.1%、女性34.2%)は8位で、感染予防の取り組みとしては低い結果となった。
肺NTM症と気管支拡張症の診療、研究に長年携わっている慶應義塾大学医学部・感染症学教室の長谷川直樹教授によると、肺NTM症と気管支拡張症は、両方の疾患ともはっきりとした原因はわかっていないが、中高年のやせ型の女性に多いと言われているという。疾患名やその特徴について認知度が低いため、長引く風邪の症状と勘違いされ、受診につながらないことが多いとのこと。
「結核などの疾患を疑う必要もありますので、疾患の早期発見と診断、適切な診療が重要です。2週間以上続く咳や痰、疲れやすい、体重減少、眠れないなど、日常生活に支障を感じたら、放置せず医師に相談してください」(長谷川教授)