「着物を着ると痩せやすくなる」ってホント?足が常に閉じ気味になることで、お腹周りの体幹が自然に鍛えられて…呉服屋が語る<着物の知られざるメリット>

2025年5月11日(日)12時30分 婦人公論.jp


(写真:stock.adobe.com)

生活の欧米化と共に、今では着る機会が激減した着物。着物と距離が生まれた理由の一つに、「着るのが大変」「大変で苦しそう」というイメージがありそうですが、山陰地方で呉服店・和想館を経営する和と着物の専門家である池田訓之さんは、「着物を着るのはそこまで大変ではなく、そして本来苦しいものではない」と話します。着物の心地よさと、秘められたメリットについて池田さんに解説いただきました。*医療情報監修:芝千太郎さん(本名:森川由基。医学博士、芝流舞踊療法研究所・家元付師範、もりかわ在宅ケアクリニック楠・院長)

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着物で身体も軽やかに?


飽食の時代である現代、ついつい食べ過ぎて、気づけば動くのが苦しい状態に…。

そんな日々の中、ダイエットに取り組んでいる方も少なくないと思います。

実は着物には、「着ていると痩せやすくなる」効果があると言われています。これは決して眉唾の話ではなく、学術的な裏付けのあるもの。

たとえば、日本着物学会会長で京都大学大学院医学研究科健康情報学講座の高橋裕子特任教授が実施した、着物着用群240人(平均年齢50代)を対象とした「着物着用による身体的・心理的影響の検討」に関する科学研究費助成事業において、国民健康・栄養調査による一般的なBMIの数値と、着物着用群のBMIの数値を比較したところ、着物着用群、特に40代から60代の方のBMIの数値において<明らかに低い>という結果が得られたそうです。

お腹周りの体幹が自然に鍛えられて…


着物を着ると、足回りは着物の生地で足首まで覆われているぶん、タイトになります。

すると足が常に閉じ気味になるので、膝や腿(もも)の内側にいつも力を入れていることになり、骨盤底筋群などお腹周りの体幹が自然と鍛えられるのです。

さらにいえば体幹が強くなるということは、筋肉量が増えるということであり、それは基礎代謝が増加し、脂肪の燃焼を増やします。

これらの結果、着物を着ていると痩せやすい身体になる、といえるでしょう。

なお、弊社に勤めている60代の女性は、以前は毎日1万歩、さらに週に1回はスポーツジムに行くというダイエットプランを実行するも、なかなか結果が出なかったそうです。それが、着物生活を始めたら、あっという間に体重が減ったそうで、体が楽になったと大層喜んでいました。

日本人と着物の歴史


そもそも太古の昔から、人類がまとってきた衣服。歴史を振り返れば、日本人の着てきた衣だけでも実は多くの変遷があります。


(写真:stock.adobe.com)

その変遷の中で、生地を四角形に切って、縫い合わせ、それを体に巻き付けて着るという「直線裁ち」を着物の特徴と捉えるなら、我々は弥生時代には着物という衣を考え出して着ていたことになり(貫頭衣)、その歴史は2000年にも及ぶことになります。

それが敗戦後に欧米化が進み、洋服の生活に変わっていくなか、わたしたちは過去の日本的な価値観、文化から距離をとるようになりました。

しかし、そもそも欧米と日本では風土が異なります。そして湿度の高い日本の風土と、そこで暮らす日本人に適している衣を考えれば「洋服」よりも断然「着物」だと私は考えています。

着物生活の感想


弊社の新入社員は、最初3〜5時間かけて着付けを覚えてもらい、入社式以後の仕事中は着物で過ごしてもらっています。

2週間もすれば15分くらいで着られるようになる彼女らに着物生活の感想を聞けば、次第に着物の機能性から「洋服よりもラク」と感じるようになるそうです。さらに、着物で街を歩いていると、周りの視線を感じる機会が増えるようですが、それも楽しいと口をそろえて話します。

お客様も同じ感想をお持ちになります。最初は特別なイベントの時しか着物をお召しにならなかったのが、だんだん着物を着るのが楽で、楽しくなってきて、結果、多くの方が普段から着物をお召しになるように変わっていきます。 

着物生活は、みなさんが想像されているより、ずっと簡単に始めることができます。

日本の風土や日本人の特性に合った着物。「着物は苦しい」という思い込みを捨て、もっと気軽に楽しんでいただけたら、着物を社会に広げる努力を続けてきた筆者としてとても幸いです。

婦人公論.jp

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