ネコは日常生活の中で友達の名前を学習…京大調査

2022年5月11日(水)18時15分 リセマム

日常生活の中でネコは友達の名前を学習する

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京都大学は2022年4月25日、「ネコがヒトの発話を識別しているのかについて」研究成果を発表した。特に訓練せずとも、ある個体の名前とその個体の顔との対応を学習していることがわかった。

 研究の背景には、天才的にヒトの単語を覚える能力を持ったイヌは、おもちゃの名前を4,000語程度覚えることがわかっている(一般的なイヌはここまでの能力はないこともわかっている)他、ヒトの発話を学習していることがわかっているが、イヌと並ぶ伴侶動物であるネコがどの程度ヒトの発話を理解しているのかは、まったくわかっていなかったことにある。

 今回の研究では、ネコが日常生活の中でヒトの発話を理解しているのかを明らかにするために、ネコが同居する他のネコや同居するヒト家族の名前と顔の対応を理解しているのか、家庭で飼育されているネコとネコカフェで飼育されているネコを対象に調べた。そこで、期待とは異なる事象が起きるとその事象を長く見ることを利用し、動物や乳児が何を期待しているのかを調べる期待違反法を用いて研究を行った。

 実験1では、モニターの前にネコを座らせ、同居する他のネコの名前を呼ぶ声を再生した後に、それらの名前の人物と一致・もしくは不一致の顔写真を呈示した。

 実験2では、モニターの前にネコを座らせ、同居するヒト家族の名前を呼ぶ声を再生した後に、それらの名前の人物と一致・もしくは不一致の顔写真を呈示した。

 もしネコが同居するネコやヒトの名前と顔の対応を理解しているのであれば、期待違反法により不一致条件でモニターを注視する時間が増えることが予想される。

 実験の結果、実験1では家庭ネコ群で名前と不一致のネコ写真を長く見ることがわかった(ネコカフェ群では注視時間に条件間の差はみられなかった)。

 実験2では、全体的な差は見られなかったが、詳しくみると、飼育期間が長く・家族の多い家庭で飼育されているネコほど、名前と不一致の家族写真を長くみることがわかった。

 これらの結果から、少なくとも家庭で多頭飼育されているネコは、同居する「友達」の名前を認識しており、その名前を聞いた時に、その個体の顔を予測することがわかった。実験2からヒト家族の名前の学習には、どれくらいその名前を聞く機会があるのかが関係している可能性が示唆された。

 ネコは科学的にはヒトの発声をどの程度理解しているのかはわかっていなかったが、ヒトとの日常生活の中で、特に訓練せずとも、ある個体の名前とその個体の顔との対応を学習していることがわかった。同研究成果は、2022年4月13日に国際学術誌「Scientific Reports誌」にオンライン掲載された。

 京都大学の共同研究グループは今後、どのようにネコが名前と個体(人物)の顔の対応を学習していくのかを調べていきたいとしている。

リセマム

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