ケンカで分かる!夫婦の心の成熟度

5月12日(日)21時15分 All About

感情のぶつけ合いを繰り返すカップルもいれば、冷静に話し合って理解を深め合える夫婦もいます。その違いはどこにあるのでしょう?

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感情に振り回されて、ケンカが増えていませんか?

「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」の言葉通り、夫婦のケンカは犬にさえ無視されるようなたわいのないことだとよく言われます。カップルのケンカも同様です。

とはいえ、口を開けばののしり合うばかりで、関係を修復できないケースや、家族や他人を巻き込んで問題を複雑にしてしまうケースなど、こじれる方向に突き進んでしまう例も少なくないものです。一方で、ケンカに至ることなく冷静に話し合えるカップルもいれば、話し合うごとに関係を深めていける夫婦もいます。この違いはどこからくるのでしょう?

その謎を解くヒントの一つに、アメリカの精神科医 ボーエンが説いた「自己分化」という言葉があります。自己分化とは、「情緒」と「知性」が分かれ、感情に巻き込まれずに、物事を考えたり行動したりできる心の状態です。

自己分化度が高い人は、情緒と知性、それぞれを豊かに発展させることができ、豊かな感情を持ちながら感情コントロールも上手く、物事を冷静に判断することができます。一方、自己分化度が低い人は、情緒と知性が融合しているため、感情に振り回されて人や物事を判断する、行動が感情に邪魔をされる、といったことがよく起こります。

したがって、自己分化度の低いカップルや夫婦が話し合いを始めると、感情がぶつかり合うばかりで、収拾がつかなくなってしまうことが少なくありません。

自己分化度が低いと他者を巻きこみやすい

さらに、自己分化度が低いと、人間関係の葛藤などの場面で他者を巻き込みやすくなると言われています。

カップルや夫婦の関係にトラブルが起こった際にも、子どもや友だちと同盟を組んで2対1で相手を責めたり、親を味方につけて自分の正しさをアピールするといった例が、よく見られます。自分の立場を有利にするために、無意識に行ってしまう行為ですが、第三者を巻き込むことで、問題をややこしくしてしまうことは少なくありません。

そんな私も、夫に文句を言った末、つい息子に向かって「お父さんひどいよねぇ。そう思うでしょ?」と同意を求めてしまったことがあります。息子に「さあね!」と突き放されてハッとしましたが、恥ずかしながら、これは母親である私が、息子を巻きこもうとした悪い例です。

感情との付き合い方を分析してみよう

感情的なケンカを繰り返して、傷つけ合い、信頼関係を失わないためには、自分とパートナーに次のような傾向がないか、チェックしてみましょう。感情に振り回されやすく、自己分化度が低いと思われる人に、よく見られる傾向を上げてみました。

・ イライラした感情をどうにもできず、そのまま誰かにぶつけてしまう

・ 「あの人はこういう人」などと、感情で人や物事を判断してしまう

・ 気に入らないことがあると、すぐに不機嫌になる

・ イヤなところがよく目につき、イライラしてしまう

・ 賛成、同意してくれる人がいないと、不安になってしまう

「感情に振り回されない自分」を育てよう

前出のような傾向に気づいたら、何かを決断する前や相手に何かを伝える前、行動を始める前に一呼吸置き、「今、感情に振り回されてないだろうか?」と自問自答してみるといいでしょう。自分の感情の動きを「もう一人の自分」が冷静に眺めて、自分自身に知らせるようなイメージです。

また、感情が高ぶったときには、その感情に集中しないことも大切です。人や物に当たれば、一時的にすっきりするかもしれませんが、それがきっかけで不快な感情に火をつけたり、自己嫌悪を感じてしまったりします。湧き上がった感情から距離を置くには、その場から離れて外の空気を吸い、他のことをするなどして、気分を換えるといいでしょう。

そして、相手と話し合う際には、感情を脇に置き、伝えるべきことを冷静に伝えましょう。不快な感情は、刺激しなければ自然に鎮静化していくものです。

さらに、カウンセリングによって自分の感情を受容され、カウンセラーと一緒に「感情との長期的な付き合い方」を考えていくのも、お勧めしたいことです。感情に振り回されやすい傾向は今に始まったことではなく、子どもの頃から長い時間をかけて培われてきた可能性があるからです。カウンセラーと共に自分のこれまでをじっくり見つめながら、自分自身の再構築を考えていくといいでしょう。

感情とのお付き合いは、「子育て」でも役立つ

感情とうまく付き合っていく努力は、自分自身のためだけでなく、子育てにおいても大いに役立ちます。自己分化度の高い親は、子どもを感情的に叱らず、かんしゃくを起こした子どもの気持ちに巻き込まれず、冷静に対応することができます。

そして、子どもはそんな親の姿勢を見ながら、感情との付き合い方を覚えていくことができます。つまり、親自身が感情に振り回されない姿勢を身につければ、子どもにも、それを継承することができるのです。

難しく考えず、まずは、イライラしたときや不安になったときに、意識してその感情に振り回されて決断したり、行動したりしていないか、自分自身を振り返ってみてください。人は、ちょっとした心がけで大きく変わることができます。
(文:大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー))

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