私も教育虐待してるの?子供をいい高校や大学へ行かせたいのは親の自己満足?

2025年5月12日(月)16時20分 大手小町(読売新聞)

東京メトロ東大前駅(東京都文京区)で男性が刃物で襲われた事件で、殺人未遂容疑で警視庁に現行犯逮捕された男が、取り調べで「中学時代に教育熱心な親のせいで不登校になった。駅名が東大で、教育虐待を連想しやすいと思った」などと供述しました。子どもの成績や進路を気にする教育熱心な親にとっては、熱心な余りに「教育虐待」に陥っていないか気掛かりかもしれません。読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」にも、子どもの教育を巡って夫婦が対立したエピソードや、教育虐待への不安の声が寄せられています。

私は教育虐待をしているのでしょうか——。中学2年生の子どもの母親である「divaママ」さんは、そんな不安を投げかけるトピックを立てました。子どもは中学受験で私立中に合格したものの、第一志望だった国立中は不合格だったため、地元の公立中に通うことに。特に勉強嫌いということもなく、成績は5段階で平均4レベルを維持しているものの、地元で偏差値トップの高校を卒業し、大学へ進学したトピ主さんには、我が子がのんびり屋で要領が悪いように思えて、勉強について衝突することもあるそうです。

写真はイメージです

一方、高校中退で自営業の夫は、「そんなに上の高校を目指させて何になるのか? 学習のやり方でけんかをするくらいなら、塾も辞めて自分のやり方で勉強して、どこでも行ける高校に行くので十分じゃないか」と、妻のやり方に疑問を呈します。

これに対して、トピ主さんは「少し努力しなければならない程度に上のレベルの高校を目指して、広い価値観を身につけてほしいという思いが強く、(子どもに)結構強く言ってしまっている自覚がある」と打ち明け、「子どもに少しでも学力の高い高校を目指させようとするのは私の自己満足なんだろうか……」と悩みを吐露しました。

このトピに、「虐待じゃないよ」というコメントを寄せたのは、「むっちりもっちり」さん。甲子園に出場したいから常連校を目指す野球少年がいるという例を挙げ、「上の高校に行けばそれなりのご家庭の友人ができるわけだし、それなりの職業につく友人もできる。それはあなたのお子さんにとってもいい刺激になると思います」と説明。「いくら子どもの意思を尊重といっても楽な方に流されるようじゃダメなわけで、やりたいことがない人こそ大学に、それも高偏差値の大学へ行くべきだと思います」と持論を展開しました。

これとは逆に、塾講師の経験があり、何百人もの子どもを見てきたという「トピック」さんは、「親御さんがあれこれ口出しする家の子はなんかダメですね。親がのんびりしてる家庭の子のほうが、仮に成績が悪くてものびのび明るく過ごしている印象がある」とコメント。「結局本人にやる気があれば伸びるし、親が圧力かける家庭の子は成績が良くてもあまり幸せにならない」

子どもの教育方針を巡って夫婦で対立したというトピはほかにもあります。7歳の息子を持つ「コライス」さんは「これは教育虐待?困っています」というタイトルのトピックを立て、子どもの教育についての不安を明かしました。

「息子の将来を考えると、中学受験をして、良い大学に入学し、職業の選択肢を広げてほしい」とトピ主さんは考えていますが、当の息子は友達とゲームや外遊びに興じて、勉強好きではありません。教科書レベルより難しい問題に取り組もうとしても、やる気がなく、間違ってばかりの息子に声を荒らげてしまうこともあり、夫から「大声で怒るのは教育虐待だ」と指摘されるそうです。

このトピに、「私の母がそうだった」と体験談を寄せたのは、「和泉のおかん」さんです。「自分の満足のため、自分が周囲から誇られる立場を維持したいために、子を支配し続ける。私は殴られていました」とつらい過去を振り返ります。「和泉のおかん」さんは、母親から離れたい一心で、高校進学時に親元を離れ、そのまま都心の大学へ進学。就職、結婚した今でも距離を取っているそう。我が子に距離を置かれてしまった自身の母親になぞらえ、「あなたもそうなりますよ。本人のやる気や意向をまるで無視するやり方です」と忠告しました。

その一方で、厳しい中学受験に向けて、もっと踏み込んだ関わり方を勧めるコメントもありました。自身の経験を踏まえ、「中学受験させたいなら、もっと親がコントロールしないといけません」と話すのは「mother」さんです。「小1でもう(中学受験が)決まっていました。小3で塾に入ることも決まっていましたし。朝学習は就学前からしっかりやるように。学校の宿題なんて10分くらいで終わるので、ドリルなどを学年を飛び越えてやりました」という熱の入れようだったそう。「やるんだったら、とことん中学受験にふらないと。向いていない子なら撤退したほうがいいですよ」とくぎを刺し、「親子、夫婦間できちんと話し合ってください」と家族で考えるよう促しました。

中学3年の息子を持つ「トピ主」さんは、「行き過ぎた教育虐待?」というタイトルのトピックを投稿し、息子の勉強を付きっきりで見ている教育熱心な夫への不安を打ち明けました。

息子は、毎日勉強に励み、塾にも通っていますが、思うように成績が伸びません。ある日、塾へ迎えに行ったトピ主さんは、疲れている様子の息子に息抜きをさせようと、ラーメン店に立ち寄りました。そのため、普段より1時間ほど遅れて帰宅しましたが、夫は「時間を無駄にした」と息子の前でトピ主さんをののしり、殴りかかろうとしたといいます。子どもの頃、親から「勉強しろ」とうるさく言われた経験のないトピ主さんは、夫のやり方に疑問を抱かずにはいられません。

このトピを読んだ「jk」さんは、「息子の人生であり、夫の人生ではないからね。息子がお父さんに自分の人生ささげているようなものだよ。かわいそう」と同情を禁じ得ません。成績の良かった兄のことを思い出し、「jk」さんは「頭は良かったのに、結果、たいして成功していません。仕事も駄目です。精神病むんですよね。親の人生を生きると、挫折を乗り越えるパワーが出ない。自分がやりたい事でないから、別の人の人生を生きてあげているだけだから」と、子どもが主体性を持って生きることの大切さを強調します。

これに対して、「夏ミカン」さんは、「普段我が子の教育に関わっていない人、勉強に価値を感じていない人が語る『教育虐待』という言葉に反発を覚えます」とキッパリ。「もし息子さんが現状では手が届いていないけれど、どうしてもその学校に合格したくて、それをかなえるためにご主人が協力していたとしたら?」とトピ主さんに問いかけ、「私は人生において一度や二度、手に入れたいもののためにがむしゃらに頑張る時期があっても良いという考えなので、自分の都合で『かわいそう』と子どもを連れ回したら腹が立ちます」と、トピ主さんの夫に理解を示しました。

子どもの能力を高めたい、将来の選択肢を広げたい——。勉強のみならず、スポーツや音楽・芸術などの分野でも、親が子どもの可能性を伸ばしたいと思うのは当然でしょう。発言小町に届いたトピにはどれも賛否それぞれのコメントが寄せられています。「教育熱心」と「教育虐待」の線引きは容易ではありませんが、子どもに課していることが、はたして「子どものため」なのか、それとも「親のため」なのか。常にそれを考えることが大切なのかもしれません。(読売新聞メディア局 鈴木幸大)

【紹介したトピ】▼私(妻)は、教育虐待しているのでしょうか?▼これは教育虐待?困っています▼行き過ぎた教育虐待?

大手小町(読売新聞)

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