学習塾の倒産、2023年は過去20年間で最多…原因は?
2024年5月13日(月)17時45分 リセマム
同調査は、負債1千万円以上の倒産集計から日本標準産業分類「学習塾」の倒産を抽出し、分析したもの。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、学習塾の売上高は2004年の3,078億2,600万円から2023年は5,540億6,500万円(速報値)へ、20年間で約1.8倍に拡大。また、受講生数も944万5,570人から1,409万2,656人へ約1.5倍に伸びている。
学習塾は、集団指導から個別指導にシフトし、オンライン授業やタブレットなどのIT技術を活用するといった、サービス開発に注力する事業者が増加。資金力のある大手学習塾がIT化を進め、実績やブランド力、認知度を高めて値上げを行い、シェアを広げている。一方で、中小・零細規模の学習塾は資金や講師陣のリソース面の制約からニーズに対応できず、市場からの撤退が加速しているという。
2023年の学習塾の倒産件数は45件で前年比28.5%増加、過去20年間で最多件数を更新した。
学習塾倒産を地区別にみると、「近畿」が18件で最多、ついで「関東」13件と、この2地区で68.8%を占めた。生徒数の多い大都市圏で、大手から中小・零細規模の塾が乱立し、淘汰が進んでいる。
原因別にみると、「販売不振」が41件で最多となり、全体の91.1%を占めた。ついで「事業上の失敗」「運転資金の欠乏」「他社倒産の余波」「既往のシワ寄せ」が各1件だった。
資本金別にみると、「1千万円未満」41件で、全体の91.1%を占めた。内訳は、「1百万円以上5百万円未満」15件、「個人企業他」13件、「1百万円未満」7件、「5百万円以上1千万円未満」6件だった。
学習塾は、対面授業が当たり前だったため、コロナ禍の外出自粛などにより、受講生が大きく減少した塾が多い。また、ニーズの変化に対応できなかった塾も多く、2022年以降倒産は2年連続で増加した。