【香港グルメ】香港史上No.1ヒット映画に登場した九龍城の潮州料理レストラン『楽口福酒家』に行ってきた
2025年5月13日(火)10時50分 食楽web
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昨年(2024年)に製作され、香港映画史上歴代No.1ヒットを記録した「トワイライト・ウォリアーズ 決戦 九龍城砦」。今年、日本でも上映されて話題を呼んでいます。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦 九龍城砦」のポスター[食楽web]
この映画、とにかく圧巻なのが、今はなき伝説のスラム街「九龍(クーロン)城砦」を精密に再現しているところです。
九龍城砦といえば、1960年〜70年代にかけて、香港の九龍城区に無計画にマンションを密集・乱立させた巨大スラム街。城砦の街路は迷路のように薄暗い暗闇で、香港の法律が適用されず、警察官も立ち入ることができない無法地帯。売春や麻薬、博打などがはびこり、“東洋の魔窟”、“犯罪の巣窟”、“一度迷い込んだら二度と出て来れない場所”などと言われて恐れられていました。
1994年に完全に取り壊されてしまってもう見ることはできませんが、この映画では、その城砦と、その中での暮らしぶりがものすごく細部に至るまで再現されており、ここで巻き起こる黒社会の抗争を描いているのが特徴です。
話が長くなりましたが、本題は、この映画にチラッと登場する潮州料理の名店『楽口福酒家』です。創業は1954年。九龍城エリアで長年にわたり香港人に愛されてきた老舗レストランですが、この映画の影響もあって、改めてその美味しさに注目が集まっています。
九龍城区にある潮州料理の名店『楽口福酒家』
潮州料理とは、中国広東省東部の潮州地区(香港から鉄道で2時間ほど)で発展した料理ジャンル。新鮮な魚介や乾物などを魚醤や沙茶醤、塩などで調理。繊細でさっぱりしていながらも、非常に奥深い味わいが特徴です。
『楽口福酒家』の大きなネオンサインは、この地区でもっとも古く美しいと名物になっている
九龍城区では、1940年前後に潮州出身の人々が多く移り住んだ歴史があります。この『楽口福酒家』も潮州人の手によって創業され、現在はその孫にあたる3代目が引き継いでいます。
潮州料理の魅力がたっぷり堪能できる『楽口福酒家』
「ガチョウのスライス盛り合わせ」(鵝片拼盤)
まずはこの店で外せないのが、前菜の「ガチョウのスライス盛り合わせ」(鵝片拼盤)。「鹵水(ローソイ)」と呼ばれる調味料で肉を煮込んだ料理です。ガチョウのさまざまな部位を中国のスパイスや醤油、動物系のダシなど、複雑なタレで煮込んであります。
部位によって、とろけたり、しっかりしていたり、くにゅっとしていたりと、ありとあらゆる食感が楽しめます。噛みしめるほどに旨味があふれ、潮州料理らしい巧みな味付けの妙を感じられる一品です。
前菜4種類盛り合わせ(錦繡四拼盤)
4種の前菜の盛り合わせ(錦繡四拼盤)もテッパン。食べ応えのあるクラゲ、フワフワのエビのすり身揚げ、イカの冷菜など、どれを食べても思わず「ウマっ!」と声が出るほどの美味しさです。
また、大きなエビを揚げた「大エビの塩コショウ揚げ」(椒鹽大蝦)もこの店の人気メニュー。
大エビの塩コショウ揚げ(椒鹽大蝦)
カリッと香ばしく、かじるとエビの新鮮さが伝わってくるプリプリ食感。味付けがしっかりしているので、ビールが進んで止まりません。
「海苔と牡蠣の豚ミンチスープ」(紫菜蠔仔肉碎湯)
汁物が欲しくなったら、「海苔と牡蠣の豚ミンチスープ」(紫菜蠔仔肉碎湯)がオススメ。潮州料理らしく、スープも魚介系のあっさりした味わい。あっさりしている分、牡蠣のコクと香り、旨みがじわりと響き、ホッとする一杯です。
そして「潮州焼きそば」(潮州炒麵線)も潮州らしさが楽しめる料理。広東式と潮州式の焼きそばの違いは、麺そのもの。潮州式は、麺をアヒルの卵で打つそうです。細麺で塩味。焦げ目が香ばしく、いくらで食べられます。
「潮州焼きそば」(潮州炒麵線)
最後に、筆者が食べた料理の一覧を挙げておきます。香港に遊びに行って、『楽口福酒家』に行く際の参考にしてください。
①鵝片拼盤(ガチョウのスライスの盛り合わせ)
②錦繡四拼盤(前菜4種類の盛り合わせ)
③潮汕煎蠔烙(潮汕オイスターオムレツ)
④椒鹽大蝦(大エビの塩コショウ揚げ)
⑤豆醬炒蕃薯葉(さつまいもの葉と豆ソースの炒め物)
⑥雜菌炒雞球(キノコ入り鶏団子炒め)
⑦紫菜蠔仔肉碎湯(海苔と牡蠣の豚ミンチスープ)
⑧潮州炒麵線(潮州焼きそば)
⑨香蔥反沙芋(ネギタロイモの砂糖まぶし)
⑩透明水晶包(蓮の実ペーストとあずきのバン)
●SHOP INFO
楽口福酒家
住:九龍城侯王道1-3號地舖
TEL:23827408
営:11:00〜23:00
(撮影・文◎土原亜子)