女性用風俗の43歳人気男性セラピストが考える“夫婦生活”で最も大事なこと「確かに技術は必要。だけど最後はやっぱり…」

5月14日(土)18時0分 文春オンライン

「旦那に夜の営みを打診したことはあるけど…」20年以上セックスレスだった53歳主婦が女性用風俗を利用した“切実な理由” から続く


 近年、着々と市場を拡大している「女性用風俗」。大学生や専業主婦、会社員のような“普通の女性たち”が気軽に利用するようになった背景には、深刻なセックスレスや女性の社会進出、性経験年齢の高齢化などの社会的な要因が関係している。


 ここでは、女性用風俗の全容に迫ったノンフィクション作家・菅野久美子氏の著書『 ルポ 女性用風俗 』(筑摩書房)から一部を抜粋。女性用風俗の老舗店、名古屋萬天堂でセラピストを務めるけんさん(43歳)の本音と実情を紹介する。(全2回の2回目/ 1回目から続く )



この写真はイメージです ©iStock.com


◆◆◆


43歳の女性用風俗のセラピストの本音


 女性たちの心と体を、真っ正面から受け止める職業——、それが女性用風俗のセラピストだ。なぜ、男たちは女性用風俗で働こうと思ったのか。そして日々彼らは、どんなことを感じているのか。この章では彼らが抱える苦悩や葛藤、そして喜びなどに肉迫することで、「売る」男性たちの本音とその実情に迫った。


 女性たちの欲望は、多種多様だ。女性用風俗の世界において、高身長で誰もが振り向くようなイケメンのセラピストは確かに圧倒的な人気を誇る。


 しかしそんな艶やかなルックスではなく、自らのテクニックのみを武器にして女性たちを虜にするユニークなセラピストたちもいる。女風の取材を始めてすぐに、ある女性ユーザーから、ぜひこのセラピストを取り上げてほしいというあつい要望が届いた。


 それが、女性用風俗の老舗店、名古屋萬天堂でセラピストを務めるけんさん(43歳)だ。けんさんは、とっておきの「武器」を売りにしている一風変わったセラピストだ。けんさんのツイッターのプロフィールには「三枚舌から繰り広げる、舌の魔術師」という言葉が躍る。


 その名の通りけんさんの得意技は、クンニリングスである。聞くとその常人離れした舌遣いを求めて、けんさんを指名する女性たちが後を絶たないのだという。けんさんとは何者なのか。けんさんの居住地が名古屋でなおかつコロナ禍だったため、Zoomで取材をさせてもらった。


 画面の向こうに現れたけんさんは、とても人懐っこい笑顔で、こちらに手を振っている。


 けんさんは、見るからに気さくで素朴な感じの男性だ。


女性たちがけんさんに与えた称号とは?


「女風って、色々なニーズがあると思うんですが、自分は完全にテクニックを売りにしています。女風の世界はイケメンやかっこいい男は沢山いる。でもぶっちゃけて言うと、本当にテクがある人って少ないと思うんですよ。他のセラピでイケなかったという女性もいらっしゃいます。そういう人が僕のところに来てくれて、イケましたと言ってくれたりする。


 僕はイケメンでもないし、背も低いんですよ。160センチしかない。しかもあっちの方は最近だとすっかりED気味でたたないから射精も難しい。43歳だから若くもない。


 でもクンニだけは、絶対に誰にも負けないという自信があるんですよ。女性を喜ばせる一流の技と武器を持っていると自負しています。お客さんは、そんな僕のテクを求めてきてくださる方がほとんどですね」


 実際、けんさんの技を体験したお客さんの評判は上々だ。リピーターも多い。そしてその証拠に、けんさんは女性客に様々な名誉ある称号を与えられている。


「神クンニ、ペロリスト、舐め舐め星人、絶叫クンニ、舌ではない舌、舌ルンバ、舌のCTスキャン、女体診断士、唾液妖怪、舌技オリンピック日本代表」


 歴代のお客さんたちが、けんさんにおくった愛称だ! そのネーミングセンスに思わず吹き出しそうになる。女性を性的に喜ばせることを自信満々で話す男性は多い。しかし実際女性の本音を聞くと、その多くが男たちのお粗末な驕りや勘違いに基づくものだと感じる。しかしどうやらけんさんの自信の源は、一般の男性とそれとは一線を画すようだ。


「ちょっと見てみますか?」


 そう言って、けんさんは画面越しに舌を突き出してくれた。舌が見事なコの字形にとがっている。見事な三枚舌だ。この三枚舌でクリトリスを包むようにして刺激するそうだが、けんさんの武器はそれだけではないという。


「この三枚舌自体あまりできる人はいないと思いますが、それでクリを包むだけでは弱いんです。ギリギリまで舌をとがらせたり、場合によっては舌を筒状にしたりする。


 僕は、舌の太さも思い通りに変化させることができるんです。あと、唾の濃度も変えられるんですよ。唾って普通はサラサラしてるじゃないですか。でも自分はまるでローションみたいにトロトロにして出すことができるんです。わかりやすく言うと、普通のつばと痰を使い分けられるといえばいいのかな。やっぱり女性にとってはトロトロで濃度が高い方が気持ちいいんですよ。だから、うまいと言われるんだと思います」


 三枚舌、太さを変えられる舌、自由自在に操れる唾の濃度、この三種の神器がけんさんの武器だ。その舌が作り出す七変化は、まさしく舌の魔術師という称号に相応しいものである。


 けんさんはこれらの武器を手に入れるために、鏡の前で日々トレーニングするなどの地道な努力を10年以上にわたって続けてきた。女性たちがけんさんに与えた愛称は、そんな長年にわたる血もにじむような研究と努力の結晶なのだ。


 テク売りを貫くけんさんだけあって、サービスの形態も独自流だ。NG項目などを聞くカウンセリングまでは通常のセラピストと一緒だが、揉みほぐしなどの行程はたどらないという。


「僕の場合、まずはリップで全身を舐めるんです。ベッドに寝てもらって、背中から舐めていきますね。足の指とか脇の下を舐めるのも好きなんです。ずっと舐めてますね。上から下まで、指先まで。性感帯を探すのも好きなんです。それで大体体がほぐれてきた頃に前を向いてもらって、クンニという流れです。それも、ずっと舐められるんです。舌が痛くなるまで舐めてます。舐めすぎて、首が痛くなりますけど、それでも舐めてますね。


 1回イって、それ以上は触らないでという女性の場合は、責めない。でも何回もイケる人であれば、ずっと責めますね。相手が喜んでくれるのが嬉しいし、何よりも舐めるのが好きなので、全然嫌じゃないんですよ」


 普通の男性はこんなに舐めてくれない。これまでの人生でこんなにまで舐めてもらったことはなかったー。イキすぎて体がガクガクになってしまった。あんなに濡れると思わなかった。すごく気持ちよかった。それがけんさんのテクを経験した女性たちの感想だ。


テクニックでなく愛が大切


 けんさんの常連のほとんどが40代以上の人妻だ。会社勤めでポジションも安定し、お金もそこそこ自由になり、子どももある程度手がかからなくなる年齢である。彼女たちは、パートナーはいるが、イったことがない、舐めてもらえない、そんな不満を抱えてけんさんのもとにたどり着く。


 夫婦生活を聞くと、夫とはセックスレスだったり、極端に回数が少なかったりといった悩みを日常的に抱えているという。家族もいるし浮気をする気はないが、性欲は満たしたい。そんな切実な願望を抱えた女性たちが後を絶たないのだ。その多くが夫婦関係でも性的なコミュニケーションがないのだという。彼女たちはけんさんの秀逸なテクによって、これまで閉ざされていた扉をゆうゆうと開いていく。


「例えばとても真面目な方で、これまでセックスにおいて旦那さんしか知らなかったから、感度が極端に低くなっている人もけっこういらっしゃるんですよ。僕のお客さんの場合、性欲解消のためにスポーツ感覚で、女風を楽しんでいるお客さんが多いんです。たくさん舐めてもらって、ああ気持ちよかった、さあ帰ろう、みたいな感じですね(笑)」


 テクに関しては百戦錬磨のけんさんにとって、女性がイクための要素として必要なものはなんだろうか。聞くと意外な答えが返ってきた。


セラピストとして日本の男性たちに願うこと


「最後はやっぱり愛だと思うんです。確かに、性感を開発するのに技術は必要だと思います。だけど、そこには相手への愛がないと無理だと思うんです。ここがよいとかこっちはあまりよくないとか、お互いの体を勉強するという姿勢ですね。話し合いってとても大事なんですよ。やっぱり、ちゃんと人間としてしっかりコミュニケーションを取るのが大事だと思います」


 コミュニケーションは人間関係の基本だが、それが特に性的なことに関しては、男女ともにあまりにも欠けているのではとけんさんは感じている。けんさんは、女性たちが快楽に目覚めることに無償の喜びを感じている。しかし彼が理想とするのはその一歩先だという。女風を利用することで女性たちが性的にも成熟し、リアルなパートナーとの関係へ還元される関係が最も望ましいと言うのだ。


「本来は、夫婦関係で満たされるのが一番いいと思うんです。でも現実はそうはなれないから自分たちの仕事があるんですよね。女性がイけないのはパートナーさんのテクが未熟だったり、単にご本人が快感に慣れていなかったり、様々な理由がある。でも性的な感度ってトレーニングで上がるんですよ。


 僕に開発された女性が、イキ癖がつく可能性は高いと思います。そういう意味で、僕は女性の感度を上げるお手伝いはできる。女性たちがイケる身体を手に入れた後、パートナーさんたちと満足のいく関係が築けるという形が一番いいと思っているんですよ」


 なるほど、と思う。これだけ女風が流行る背景の一部にあるのは、女たちのリアルな男たちへの諦めがあるのは紛れもない事実だ。セラピストも資本主義経済の中で需要と供給のバランスの中に身を置いている。


 それでもけんさんは、女性たちが社会にリリースされた後のことに思いを馳せる。そして、女性たちが自分たちから卒業することが理想なのだと考えている。けんさんは女性たちが本気で好きだからこそ、その幸せを心から願っているのではないか、そう感じずにはいられなかった。


 その願いの実現は、日本の男性たちが女性たちとどう向き合うかにかかっている。男たちが、女性たちの欲望を受け止めるちゃんとした受け皿になってほしい。それは数え切れないほどの女性たちの欲望と向き合ってきた「舌の魔術師」が、日本の男性たちに切に願うことなのだった。


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(菅野 久美子)

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