「PayPay」と「Olive」が連携へ - 三井住友カードとソフトバンク、デジタル分野における包括提携を発表
2025年5月16日(金)9時10分 マイナビニュース
三井住友カードとソフトバンクは5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携に関し、基本合意書を締結したことを発表した。
○より便利でお得なキャッシュレスサービスの創出へ
近年、テクノロジーの進化、デジタル技術の進展により、業種や業態を超えた協業を含め、多くの革新的なサービスが生まれている。SMBCグループは、個人向け総合金融サービス「Olive」を主力に、顧客との接点をデジタルベースで提供できる環境を整えてきた。一方、ソフトバンクは、デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供するべく、各種サービスを提供してきた。
今般、ソフトバンクが持つデジタルテクノロジーを軸としたさまざまなサービスと、SMBCグループが持つオープンな金融プラットフォームを組み合せることで、より利便性や利得性の高い、先進的で優れたデジタルサービスを実現し、日本社会のデジタル化やキャッシュレス化の加速に寄与することなどの方向性が一致し、両社で新たなサービスの構築を進めることとなった。
デジタル分野での包括的なパートナーシップを構築することで、Oliveが持つ銀行口座、カード決済、ファイナンス、オンライン証券などのさまざまな機能と、ソフトバンクやソフトバンクのグループ会社が提供するヘルスケアや、小売り・飲食業界向けAI(人工知能)による需要予測、生成AI、ファイナンス領域などの幅広い商品サービスを掛け合わせること、また「Vpass」や「Olive」と「PayPay」の相互連携の実現により、圧倒的に便利でお得なキャッシュレスサービスの創出を目指す。
○1.ヘルスケア領域などの非金融サービスの展開
Oliveとソフトバンクが展開するさまざまなデジタルサービスを組み合わせることで、Oliveの非金融サービスの領域をさらに拡大させ、Oliveを金融の枠にとらわれないアプリへとさらに進化させていく。
第1弾として、2025年度中に三井住友カードのクレジットカード会員向けに、ソフトバンクの子会社ヘルスケアテクノロジーズと、ヘルスケアポータルを新たに提供する。これにより、Olive会員はアプリを介してシームレスに健康/医療サービスを利用でき、時間や場所の制約を受けずにいつでも医療者のサポートを受けられるようになる。また、今後は、Olive会員のニーズに合わせて健康維持・増進に資するサービスを幅広く提供し、健康増進のサポートだけではなく医療費の適正化に寄与していく。
さらに、健康への備えとして、保険商品の提供についても、ソフトバンクの子会社であるリードインクスと連携し、顧客のニーズに合った保険商品を、三井住友カードのデジタルチャネルからより簡単に申し込めるよう、保険ポータルのリニューアルや商品ラインナップの拡充を図る。
○2.新たな顧客分析ツールを提供へ
三井住友カードが保有する決済データと、ソフトバンクが持つ人流統計データやその他外部データを組み合わせた、新たな顧客分析ツールの提供に向け、両社共同で検討を進める。
三井住友カードは加盟店向けのマーチャントビジネスとして、決済データを活用したマーケティング支援を実施している。決済データは、クレジットカード会員の属性データと、加盟店の属性データの2つを把握できる特徴を持ち、購買行動を詳細に理解できるポテンシャルを持つ。
このデータに、ソフトバンクの子会社で位置情報を活用したビッグデータ事業を手掛けるAgoopが持つ、高精細な人流統計データを組み合わせることで、自社店舗や周辺への来訪者数などの来訪と購買の動向を掛け合わせた分析が可能となり、自社店舗の購買者と周辺来訪者の属性差分による未獲得顧客層の把握や、各種施策の集客と購買への寄与効果の確認などが可能となる。
また、三井住友カードが保有する決済データ、ソフトバンクが保有する人流統計データ、気象やカレンダー情報などの外部データを、ソフトバンクが開発したAIアルゴリズムで分析し、小売り・飲食などの加盟店店舗やその周辺エリアにおける将来需要の予測も可能となる。
加えて、三井住友カードでは、Vポイントをフックとした加盟店向けの送客サービスも提供しており、これらを組み合わせることで、三井住友カードの加盟店を中心に、これまでよりもさらに高度なマーケティングにおける示唆の提供や、実行の支援する。
○3.生成AIを活用したビジネスの創出
ソフトバンクでは、AI時代を支えるインフラとしてAIデータセンターの建設や、国産の大規模言語モデル(LLM)の内製開発に取り組んでいる。また、三井住友カードでは、Oliveなどのデジタルベースのサービスについて、生成AIを活用したUI/UXの抜本的なレベルアップやパーソナライズされたサービスの提案など、さらに進化させるべく検討を進めている。
今回の提携を機に、三井住友カードの顧客基盤や保有するアセットに、ソフトバンクの先進的なAIサービスを組み合わせることで、日々の利用シーンにおける顧客体験の飛躍的な向上を目指すべく、あらゆる領域でのAIを活用した協業について検討を進めていく。
第1弾として、三井住友カードのコンタクトセンターに、ソフトバンクの子会社で企業の業務改革を生成AIで支援するGen-AXが開発を進める、音声生成AIを活用した自律思考型AIサービスを導入する。自律思考型AIによって、顧客ひとりひとりに最適な対応を提供することで、いつでもつながるという安心感や利便性を体感できるコンタクトセンターの運営を実現していく。
○PayPayとVpass・Oliveによる顧客起点での連携
2024年、国内のキャッシュレス決済比率は、政府の目標である40%を超え42.8%となった。特に、コード決済は年間決済回数が前年比23%増、クレジットカードの決済回数の半分超にあたる115億回超えとなり、年間取扱高が13.5兆円に達するなど、PayPayの登場から約6年半で劇的なスピードで拡大してきた。また、クレジットカードの年間取扱高は120兆円に迫り、全体の8割をカバーするなど、日本のキャッシュレスの中心として幅広く利用されている。
PayPayと三井住友カードの両社が提供するスマートフォンアプリ同士で連携し、さらに「PayPayポイント」と「Vポイント」の相互交換を実現することで、PayPayと三井住友カードによる、圧倒的に便利でお得なキャッシュレス決済サービスを目指していく。
○その他、さまざまな事業領域における協業検討
上記の取り組みの他にも、モビリティサービス(シェアサイクル・タクシー配車)など、ソフトバンクのさまざまな領域と三井住友カードの顧客を結び付け、金融の枠にとらわれない新たなビジネスの創出に向けた取り組みを共同で進めていく。