都心3区のうち、もう購入できるのは「中央区」しか残されていない - 港区・千代田にはない“強み”とは

2025年5月18日(日)10時0分 マイナビニュース


近年、東京都心部の中古マンション市場では価格の高騰が続いています。特に中央区は、湾岸タワーマンションエリアなどで注目を集めており、マンション市場においても際立った伸びを示しています。
○「人口増加率」も「マンション坪単価の高騰率」も一番高い「中央区」
2024年の東京都23区ごとの「人口増加率」と「マンション坪単価の高騰率」を散布図で示したデータによると(グラフ1)、全体としては両者に明確な相関性は見られませんでした。
しかし、中央区に関しては「人口増加率」と「マンション坪単価の高騰率」がともに最も高いことが確認されました。一方で、港区は「人口増加率」が最も低いにもかかわらず、「マンション坪単価の高騰率」は中央区に次いで2番目に高い結果となっているのは、非常に興味深い点です。この点については、別の機会に詳しく分析できればと考えています。
○エリアとしての「中央区」のずば抜けた強さ
また次の表では、エリアごとの「価格が上がったマンション割合」と「平均高騰率」を示しています。
例えば千代田区では調査対象となった136棟のマンションのうち、実に105棟で平均7.3%の価格上昇が見られました。千代田区では棟数・上昇率ともに高い水準であることがわかります。
中央区においては、調査対象477棟中のマンションのうち389棟すなわち81.6%のマンションの価格が高騰。これは1番目に高い港区とほぼ同水準となり、23区内で2番目に高く、平均高騰率は9.2%と23区中で一番高い結果となりました。従って、都心3区内でも「中央区」が非常に強いエリアであることが分かります。
○買取再販市場の構造変化が示唆した点
不動産のプロマーケットである買取再販市場でもその構造に大きな変化が見られました。下の表2では東京都23区内、区ごとの2024年(2023年比・50平方メートル以上)の再販物件売出件数の増加率を示しています。
中央区では39.8%と23区内で1番高く圧倒的な増加率となりました。一方で「千代田区」はマイナス22.9%と一番、次いで「港区」がマイナス11.3%と「中央区」とは逆に大きく減少しました。
このような買取再販マーケットでの構造変化は、千代田区や港区の価格が高騰し続けたことにより、出口戦略が前提にある市場としては適さなくなってきたことが要因と考えられ、またその分が中央区にシフトしてきたと推察されます。従って、海外投資家や一部富裕層を除けば、日本国内における現行で購入可能な不動産価格の上限値は、「中央区」以上「港区」「千代田区」未満と考えられます。中央区は、価格の上昇余地がありながらも、まだ手が届く範囲にあると評価されている可能性があります。
今後も、中央区の人口増加や再開発の進展に伴い、中古マンション市場の動向には注目が集まるでしょう。特に、価格の上限値がどのように推移していくのか、引き続き注視していく必要があります。
福嶋真司 ふくしましんじ マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者福嶋総研 代表研究員早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。 この著者の記事一覧はこちら

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