医師の働き方改革 頭痛、腰痛、水虫など同じ医師が診る事も

5月18日(金)7時0分 NEWSポストセブン

ジャンルの異なる病気を一人の医師が診ることも

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 今国会では「働き方改革関連法案」が議論されているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。


 医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。複数主治医制で“主治医がコロコロ替わる”一方で、逆にジャンルの異なる病気を一人の医師が診るということも起こり得る。


 たとえば、頭痛で病院に行って医師に薬を処方してもらったついでに、同じ医師に腰痛の具合や水虫まで診てもらうという、まるで離島の診療所に来たかと錯覚するような状況になる。


 これは今年4月に新設された「総合診療専門医」制度である。高齢化によって複数の合併症を持つ患者が増えたことから、複数の診療科をまたいで診られる「総合診療専門医」を創設し、そうした患者を1人の医師が1回で診察できるようにして、効率化を図ろうとしたのだ。


「総合診療専門医」は全国の大学病院などを周り、約3年の研修を重ねた医師が認定され、名乗ることができる。


 何科を受診したらいいのか判断に迷うような症状の患者に対して診察および初期対応をし、自分で手に負えない場合は、より最適な専門医を紹介するとされている。


 なんでも診てくれる“スーパードクター”のように見えるが、実は違う。医師でNPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう指摘する。


「現行制度では、“原因不明の頭痛が続いている”など診療科の判断に迷う症状が出たとき、かかりつけ医は紹介状を書いて専門機関を紹介します。これまで行なわれてきたことと、実は総合診療医がやることに大差はないのです。


 逆に、腹痛であっても普通の内科医なら自己処置で済ませるところ、専門医への紹介機能が強調される総合診療医に診てもらうとそこから循環器専門医に回されることになるなど、患者は余計な“ひと手間”を強いられるケースも出てくるでしょう。時間もカネも二重に取られるだけという結果になる可能性は大いにあります。


 そもそも、わずか3年程度の研修で他の専門分野も網羅した知識や診断・治療の技術を習得することは不可能です」


 上氏は、総合診療医が新設されたのには、裏の意図があるという。


「総合診療医が研修元の大病院へ患者を次々と送り込むケースが想定される。病院の新たな“おカネ儲け”のシステムが完成するだけではないのかとの疑念が消えません」


 では、患者はどうすれば良いのか。


「手間を省くためにも、病気の原因がはっきりしている場合は、初めから専門医に診てもらった方が良いでしょう。『熱がある』『体がだるい』『足が痛い』など複数の症状が同時に出ている場合は総合診療医へかかることを検討しても良いかもしれませんが、信頼できるかかりつけ医をまず見つけておくことが大切です」(同前)


※週刊ポスト2018年5月25日号

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