中高年、スマホ頼りが原因の「デジタル認知症」にならぬ方法

5月18日(金)7時0分 NEWSポストセブン

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

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 スマートフォンが普及し、疑問があったらすぐに調べられる環境が手軽に利用できるようになった。実に便利なものだが、それゆえの弊害も生まれつつある。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、「デジタル認知症」とその予防について解説する。


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 若い世代でネット依存症が心配される一方、中高年も注意すべきことがある。「デジタル認知症」だ。スマホを使えば何でも調べられる。わからないことがあればググればいい。ものを記憶しておく必要もないし、記憶したものをとりだす必要もない。その日の予定や、知人の電話番号、漢字など、きちんと記憶していなくても、スマホさえあれば支障はない。


 しかし、こんな生活を続けていると、記憶の中枢である海馬の働きが低下して、40代からもの忘れが目立つようになってしまう。


 ドイツの脳科学者マンフレッド・シュピッツァーは、これを「デジタル認知症」と呼んだ。デジタル認知症は本物の認知症ではないが、放っておくと本物の若年性認知症になる人が14%いると報告している。


 カナダのオンタリオ大学が660人を対象に、計算、語彙力、論理的思考など、さまざまなテストを行った研究では、スマホの利用時間が短い人のほうが認知能力や分析的な考え方のスコアが高いことが判明した。


 スマホやネットのやりすぎは、依存症や認知症以外にも、さまざまな健康被害を起こす可能性がある。スマホ老眼はその一つだ。いつも同じ焦点に合わせているために、眼球を動かす筋肉が機能低下を起こす。そのため、若いのに老眼と同じような症状が起きてしまうのだ。


 また、画面のブルーライトは脳を刺激し、睡眠障害を起こすおそれがある。睡眠リズムの乱れは、自律神経の失調やうつなどにつながる。


 長時間、同じ姿勢を続けることで、首が変形し、本来の湾曲が失われてしまう。いわゆるストレートネックだ。この状態になると、肩こりや頭痛、めまい、手のしびれなどの症状が起こる。


 肘を曲げてスマホを持つために、テニス肘のような症状が起き、肘や腕に痛みやしびれが生じる。指の変形や腱鞘炎になる人もいる。これらの健康被害を予防するには、まず長時間、連続使用しないことが原則だ。時々、休憩して、目を休めたり、肩や首、腕、指などストレッチするといい。


 デジタル認知症を防ぐには、意識的にアナログを取り入れることをすすめる。スケジュール管理は、手書きの手帳を活用しよう。必要な情報は、メモにまとめておいて、時々見直して覚えるようにするのもいい。


 忘れたからといって、すぐにネット検索するのではなく、思い出す訓練をすること。計算も、計算機アプリを使わず、暗算でやってみるといい。ラインやメールのご時世だからこそ、ぼくはあえて筆で返事や礼状を書くようにしている。つまり、全部、スマホで解決しないようにすることが大切なのだ。これらの作法は「生き方の哲学」にもつながる。スマホという道具の奴隷にならないようにしたいものだ。


●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『人間の値打ち』『忖度バカ』。


※週刊ポスト2018年5月25日号

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