サウナは体に「良い?」「悪い?」 賛成派・反対派医師激突

5月18日(金)11時0分 NEWSポストセブン

リフレッシュに最高…と思っていたサウナの功罪は

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 入るとさっぱり気分爽快。ちょっとしたリフレッシュであり、憩いの場でもあるサウナ。だが、有名人がサウナに入った後に倒れたという話もよく聞く。実は専門家の意見も割れている。最新の知見とは──。


 興味深い研究結果が、サウナの発祥地であるフィンランドから出た。英ブリストル大学のセトー・クヌツォー博士らは、フィンランド東部に住む53〜74歳の1600人を対象に、サウナ利用と脳卒中との関連性について約15年にわたって追跡調査。その結果を5月2日、米国神経学会の医学誌で発表した。


 それによると、サウナに週4〜7回入る人は、週に1回のみの人と比べ、脳卒中のリスクが約61%低かったというのだ。サウナー(サウナ愛好家)にしてみれば、まさに“我が意を得たり”というところだろう。


◆心臓の負担が軽くなる!


 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。


「この研究グループは2015年に医学専門誌『JAMAインターナルメディシン』で、サウナが心臓疾患による死亡リスクを下げるという研究結果を発表したことでも注目されました。サウナの効能を科学的に検証しようとする研究者が、新たな成果をあげたといえます」


 論文の執筆者であるクヌツォー博士は、本誌にこう話した。


「私たちが手にしているエビデンスからいえるのは、サウナには血圧を下げる効果があるということです。それにより自律神経が安定性を増し、抗炎症作用などが期待できるため、脳卒中のリスク因子が減っていくのだと考えています」


 この研究成果は意外にも思える。これまではむしろサウナは脳卒中や心筋梗塞を引き起こすという印象が強かった。サウナ好きで知られる長嶋茂雄氏や西城秀樹氏が脳梗塞を発症し、最近でも、二所ノ関親方(元大関・若嶋津)がサウナから出た直後に倒れて、一時は意識不明の重体になった。


 秋津医院の秋津壽男院長は、「医師の立場から見れば、サウナは健康に悪いことずくめです」と注意を促している。


「100度近い室内で汗をかくと、急激に発汗するため体に必要なナトリウム、カリウム、カルシウムなどの必須ミネラルが汗とともに出ていってしまいます。さらに脱水症状で血液がドロドロになり、血栓が詰まる可能性が高い。命の危険にもつながりかねない」


 専門家の間でも、意見は真っ二つに割れているのだ。イシハラクリニックの石原結實院長は、“印象論”に惑わされてはいけないとする立場だ。


「著名人がサウナに入った直後に倒れたということをもって“サウナは体に悪い”と印象づける報道が見られますが、サウナに入らずに脳梗塞などで倒れる人の方が圧倒的に多いのです」


 その上で、サウナによって体にどのような変化が起きるかをまず理解すべきだとする。


「高血圧の一因として塩分摂取過多があります。塩分を摂りすぎると、血液の浸透圧を一定に保つため、血液中の水分が増えて血液量が増加し、それを押し出す心臓の負担が大きくなって血圧が上がります。サウナに入ると逆に、多量の発汗で塩分と水分が排出され、体が温まることで血管も拡張する。高血圧の要因を排除することになるのです。


 サウナで発汗すると、心臓の負担が軽くなることに着目し、鹿児島大学名誉教授で和音療法研究所の鄭忠和所長は、2000年から心不全(心臓のはたらきが弱くなった状態)の患者にサウナ療法を施し、治療効果をあげています」


 これはクヌツォー博士の研究結果に対する理論的な説明といえるかもしれない。


◆運動の代わりにはならない


 そのメカニズムを理解すると、気を付けなければならないこともわかってくる。“否定派”の秋津院長はこういう。


「日本人の場合は“体調が悪いから入ってスッキリしよう”と考える人が多いことがとりわけ問題なのです。また、サウナの直後に水風呂に入ることは20代でも危険で、高齢者になればなるほど急激な体温変化は心臓麻痺のリスクが生じる原因となります。急激な血圧上昇で血管が傷つき、心臓に負担がかかって突然死する危険さえある」


 サウナに入って血管が拡張して血圧が下がっても、水風呂で血管が収縮すれば血圧は上がる。


「入る時間にも注意が必要です。フィンランドで毎年開催されていたサウナ世界選手権は110度のサウナ室内にどれだけ留まれるかを競う我慢大会でしたが、2010年に2人が倒れ、1人が死亡する事故が起こっています。それ以降、開催されていません」(秋津院長)


 この点については“肯定派”の石原医師も、「よく『○分入る』と決めている人がいますが、避けたほうがいい。自分が気持ちいいと思う段階を超えないように、つらいと感じたらすぐに出ること」とする。前出・クヌツォー博士も、サウナは決して万能ではないと釘を刺す。


「心臓発作や脳卒中をすでに起こしている人、狭心症患者、低血圧の人などは控えるべきと考えます。また“血圧を下げるためにサウナに入る”といった考え方はすべきではない。健康不安があればサウナに入るより、医師に相談したほうがいい」


 注意点を頭に入れて、サウナを楽しもう。


※週刊ポスト2018年5月25日号

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