閉店が一転、奇跡の大復活『マルカン百貨店』の大食堂が愛され続ける理由

5月18日(金)11時0分 週刊女性PRIME

老若男女でにぎわうマルカン大食堂のショーケース。働いているスタッフも半数は、以前働いていた経験者を迎え入れたそう

写真を拡大



 デパートと聞くと大食堂を思い浮かべる人も少なくないだろう。家族で食べたお子さまランチ、ライスカレー、ソフトクリーム……。

 岩手県花巻市にあるマルカン百貨店は、地下1階、地上8階からなる地元唯一のデパートで、花巻のランドマーク、市民の憩いの場として親しまれてきた。

 しかし、郊外に大型チェーン店が進出するなど、時代の変化とともに建物も老朽化。

 ’15 年には耐震基準を満たさないと診断されてしまい、改修を断念。2016年6月7日に43年の歴史に幕を下ろした。

 この百貨店で最も親しまれていたのが、6階の580席のマルカン大食堂。閉店が発表されて間もなく、地元の高校生による「マルカン食堂の移転存続」を求める署名活動がスタートした。

 そんななか、花巻駅前を活性化させ、新たな手法で雇用を生み出す取り組みをしていた会社『花巻家守舎』が、百貨店側に大食堂を含めた建物全体の運営引き継ぎを申し入れた。



 代表の小友康広さんが言う。

「移転案も出ていたのですが、やはりこの場所、この眺めでないと意味がないと考えました。

耐震補強にかかるプランを吟味し、改修に必要な資金調達方法を協議して、インターネットを通じて資金を募る“クラウドファンディング”も活用しました。

 結局、事業計画をもとにした金融機関から融資を受けられたのですが、寄付をしてくれた人を仲間にしたかったんです」



 ’17 年2月20日午前11時。小雪がちらつく曇天模様にもかかわらず、マルカン大食堂の復活に、ビルの前には市内外から集まった人々で長い行列ができていた。

 マルカン大食堂といえば、はしで食べる高さ25センチメートルの10段巻きソフトクリームが名物。メニューは100種以上もあり、ナポリカツなども人気の品だ。



 現在、6階の大食堂とファッションと雑貨のセレクトショップ、カフェ、マッサージ店が入る1階のみが営業している。

 2〜5階を埋めるには設備改修などの投資がかかるので、あえて封鎖しているという。

 興味深いのは、駐車場だ。もともと百貨店の無料駐車場は60台分あり、近所に商店街の140台の有料駐車場があった。つまり、早い者勝ちである。そこで、小友さんたちは、これをビジネスチャンスと見て、商店街と話し合い、百貨店分も有料にして、駐車場運営会社に貸し出したのだ。

「ビジネスとして成立できるように運営しています。マルカン大食堂の集客力を生かして、マルカンビル周辺の遊休化した土地建物に事業者を誘致することで収益を上げたり、マルカン大食堂のブランド力を生かしたグッズ開発などを地元企業と共同で手がけています」

 大食堂復活から、はや1年以上が経過。現在は、どれくらいの集客があるのだろうか。

「レジを通過する人数でいうと、平日で平均500組、土日祝で750組ですね。だいたい1組で2、3人以上ですから繁盛しています。



 今後は、地下にスケボーパークを作ろうとか、屋上を温泉施設にしようという案もあります。いま、どこでも買えるものでは勝負はできません。そこでしかできないことに価値がある。マルカン大食堂は、その象徴になったらうれしいですね」

 市民の新たな憩いの場として、これからも愛され続けることだろう。

週刊女性PRIME

「百貨店」をもっと詳しく

「百貨店」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ