「ソロヌン活」のすすめ。空前のブーム、スコーンは縦に割るとNG?ティーフーズは手でつまんでOK?

2024年5月19日(日)14時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

「ホテルや高級カフェでアフタヌーンティーをすること」=「ヌン活」が人気です。第一の理由は「映え」だと思いますが、もはやブームではなく定着したともいえるかもしれません。「東京ドームテーブルウエアフェスティバル」の主催者展示、J:COMの新作ドラマお披露目パーティーのプロデュースなどを手掛ける山野舞由未さんが、数々のヌン活経験を通して、ヌン活の魅力やマナーについて、解説してくれます

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そもそもヌン活とは?


今、空前の英国ブームであることをご存知ですか?

私は何を隠そう(今は社会人)の子供達が毎夏イギリスのサマースクールに参加していて、それに便乗して渡英したので渡英回数は8回に及び、英国好きと紅茶好きが高じてティーインストラクターの資格をとったくらい、大の英国贔屓なのです!

私たちが渡英していた今から15年前は「英国好き」はマニアックで「フランス好き」に完敗していた気がします。

それが5年くらい前からでしょうか、高級ホテルでのアフタヌーンティーが大人気になり、英国ブーム、英国展ブームそして昨今は空前の「スコーンブーム」なのだそうです。

いやはや時代が変わったな〜と感慨深しです。

「ヌン活」という言葉は2022年(コロナ禍)で流行語大賞にもノミネートされ話題を呼びました。

平たく言えば、英国式アフタヌーンティーに行く事を「就活」や「終活」に肖って「ヌン活」と言います。

ヌン活ブームの理由


それではなぜここにきて、英国展ブーム、アフタヌーンティーブームが巻き起こっているのでしょうか?

それはSNSの普及が発端と考えられます。

要はアフタヌーンティーは「映える(写真映えする)」のです。

3段スタンドに載せられた、色とりどりのティーフーズたちとティーポットと紅茶カップたち。

高級ホテルという背景も相まって、女友達とティーカップを持って微笑んで写真を撮れば、エレガントでリア充な自分を演出できるというものです。

それを証拠に都内の高級ホテルのアフタヌーンティーは休日ともなれば女子会風の女子グループで満席。

最近はカップル利用もよく目にします。

背筋がすっと伸びる時間


英国贔屓、アフタヌーンティー好きの私としてはまだヌン活をしたことがないという方にこそヌン活をぜひお勧めしたい理由があります。

私は日常に疲れた時や忙しい時に一人でフラッと高級ホテルのアフタヌーンティーへ行きます。

身なりを整え高級ホテルへ一歩足を踏み込めば背筋がすっと伸びます。

そのホテルのパティシエールの渾身のスイーツを、一流のサービスを受けながら紅茶をいただく時間は、煩雑な日常をしばし忘れて、自分と向き合う時間でもあり非日常の優雅な時間を束の間過ごし、明日からの活力を得る時間でもあります。

こんな素敵な時間をインスタ女子にばかりに占領させていては勿体無いではありませんか。


(写真提供◎筆者 以下すべて)

最低限知っていて欲しいエチケット


まず、アフタヌーンティーをいただく時の決まり事はマナーと言わずエチケットと言います。それはイギリス英国では「manner」は「方法・やり方」という意味で「etiquette」が「作法」を意味するからです。

その1●アフタヌーンティーはコース料理
アフタヌーンティーは実はコース料理と同じ。
頂く順番がとても大切です。
3段スタンドには通常、下からセイボリー(塩気のあるもの。例えばサンドイッチ)・スコーンズ・ペストリー類(タルトやケーキなど)の順で載せられています。
頂く順番は(1)セイボリー(サンドイッチなど)(2)スコーンズ(3)ペストリー類(ケーキ類)となります。

逆戻りはできません。ロンドンのドーチェスターホテルなどでは最初に大皿でサンドイッチを席まで持ってこられ好きなだけお皿にとり、終わった頃にスコーンズが運ばれます。
そして最後にペストリー類が運ばれてきます。
糖度を少しづつ上げていくので食事の仕方として理に叶っています。

その2ティーフーズは手でつまむもの
アフタヌーンティー用のナイフとフォークがテーブルセッティングされていますが、ティーフーズは手でつまめるものが用意されますので手でつまんで、3段スタンドからお皿へ移していただいて全く問題ありません。

その3スコーンは横に手で割る
スコーンのルーツはスコットランドのバースにある「スコーン城」の戴冠式に使用された椅子の土台の石と言われていて、その石が割れるときは国も滅ぶとい割れています。
ですからナイフは使わず縦に割らず手で横に割るのがエチケットとされています。

その4クロテッドクリームとジャムの塗り方
横に二つに割ったら、クロテッドクリームとジャムをトーストをいただく時のようにベッタリと塗っていただきたいところですがそれはエチケット違反です。
一口分づつ、クロテッドクリームとジャムを塗り、いただく、またクロテッドクリームとジャムを塗って一口いただく…を繰り返してださい。
ちなみにクロテッドクリーム(clotted crem)をクロテッドとは言わないようにしましょう。 

イギリス人は「clotted」というと凝固血をイメージするそうです。
またクロテッドクリームとジャムをどちらを先に塗るかですが、クロテッドクリームを先に塗るのがデボンシャー風で、ジャムを先に塗るのがコーンウォール風です。
ちなみに亡くなられたエリザベス女王はコーンウォール風の召し上がり方をされていたそうです。
(デボンシャーとコーンウォールは州の名前です。)

その5最後にペストリー類
そろそろお腹がいっぱいになってきた頃かもしれません。
しかしホテルのパティシエールの渾身のスイーツを頂かない訳にはいきませんね。
ロンドンのホテルでは食べきれなかったペストリー類を可愛いボックスに入れてお土産にしてくれます。
(日本は衛生上対応していないところがほとんどです。)
ところで、先ほども書きましたが、いくら甘いものを頂いて塩辛いものが欲しくなったからと言って残っているサンドイッチに手を出してはいけません!
繰り返しですが、アフタヌーンティーはコース料理なのですから。


コース料理として考える

服装のエチケット


どんな服装で行けばいいの?

とよく尋ねられますが、ロンドンでは(というかヨーロッパでは)ドレスコードがはっきりしていますので、決して露出の高い服装では行ってはいけないんです。

ジュエリーも昼間からダイアモンドをつけません。

王道アフタヌーンティーの服装といえばニットのアンサンブルにパールのイヤリングとネックレスではないでしょうか?

とはいえ日本のホテルはもっと自由な印象ですのでご安心ください。

ドリンクのメニュー


日本のホテルのアフタヌーンティーもドリンクのメニューが豊富でホテルのオリジナルブレンドからティーカクテル、紅茶に限らず、ウーロン茶や緑茶そして抹茶までメニューにありますので自由に楽しんでみてはいかがでしょう。

●紅茶のこだわり(私の場合)

アフタヌーンティーに合わせるのはしっかり目の渋めの紅茶が好きなので
日本のホテルでは「イングリッシュブレクファスト」や「セイロン」をオーダーします。

人気のある「ダージリン」は香りの紅茶なのでアフタヌーンティーに合わせるにはちょっと物足りない気がします。

ホテルのオリジナルブレンドがあればそれもオーダーします。

ホテルのアフタヌーンティーではないのですが

ロンドンのP O S T  C A R D T E A という紅茶専門店で一人で紅茶を飲んでいた時のこと。

紅茶専門店ではいわゆるティーコノサー(紅茶趣味の人)と呼ばれる人たちが一人でお茶を楽しんでいて国籍を超えて、好きなお茶について語り合える楽しみがあります。

「君はどんなお茶がすきなの?」素敵な英国紳士に尋ねられて

「セイロンティーが好きなの…何故なら…」

「僕はラプサンスーチョンや中国茶が好きなんだ…」

と話が弾んだことでした。

私は数ある紅茶の産地の中でもセイロンティーが一番好きです。
自分がすごく落ち込んだ時に飲んで救われた(ような気がした)のがディンブラ

(セイロンティーの一種)だからかもしれません。

嬉しい時も落ち込んだ時も寄り添ってくれるのがお茶時間だと思っています。

「おひとりヌン活」始めてみませんか?


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