江原啓之「高齢になり息子夫婦と同居。最初は幸せだったはずが、だんだん居心地が悪くなった。ひとり暮らしに戻るべき?感謝の気持ちを忘れないで」

2025年5月19日(月)12時30分 婦人公論.jp


(イラスト◎大野舞)

スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』での連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第41回は「高齢になり息子夫婦と同居したものの居心地が悪い。同居を解消したいが……」です。

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Q 高齢になり息子夫婦と同居したものの居心地が悪い。同居を解消したいが……

A)我慢しつつ、ほかに楽しみを見つける

B)たとえ生活を切り詰めても、ひとり暮らしに戻る

同居前にとことん考えて


高齢になると、元気なときは良くても、ひとたび病気やけがに見舞われたときは急に不安になるものです。そうでなくても同世代の友人が入院した、施設に入ったといった話を聞けば、自分の身に置き換えて「いつまでひとり暮らしでがんばれるかな」と心細くなったりもするでしょう。

そんなとき、離れて暮らすわが子から「お母さん、一緒に暮らさない?」と提案されたとする。「心優しい息子に育ってくれて嬉しい。お嫁さんも『どうぞ』と言ってくれるし」と幸せな気分で話を進め、同居。ところがしばらくして居心地の悪さを感じ始めたというのが今回のケースです。

考えてみれば、気ままなひとり暮らしとは打って変わり、常に誰かがいる生活ですから居心地が悪いと感じるのも当たり前。トイレにも長くは入れないし、お風呂に入る時間や順番にも気を使うでしょう。自分の個室が家族の気配のする場所であれば、「あ〜、疲れた」と独り言を発してくつろぐことすら、憚られるかもしれません。部屋が狭ければ、日がな一日籠もっていると気が滅入ってきます。

ただ、こうした想像は同居をする前にすべきこと。先のことを考えたうえでも同居をしたいか、とことん自問自答しなければならなかったのです。ですから、今回の幸せぐせは、A。「同居を我慢しつつ、ほかに楽しみを見つける」です。残念ながら、想像や考察が不十分だったようですね。とはいえ、今の状態からでも、選択次第で幸せな未来は待っています。

子どもの覚悟を理解する


幸せぐせがAと聞いて、「我慢するしかないのか」とがっかりする前に、息子夫婦の心情を想像してみましょう。同居を提案するまでに夫婦間で相当話し合いがされたはず。とくに息子の妻にとって、義理のお母さんとの同居がどれほど面倒か、読者のみなさんなら痛いほどわかるのではないでしょうか。それでも同居を提案してきてくれたのですから、息子夫婦にはかなりの覚悟があったと言えます。部屋が多数ある広い家ならいざ知らず、親のために部屋を空けたり、生活のリズムを変えたり……。息子夫婦は自由を手放しても母親と一緒に暮らすことを選択してくれている。そんな息子夫婦への感謝もなく、どうにも「居心地が悪い」だなんて、失礼ながらわがままではないでしょうか。息子夫婦とて、どこか居心地の悪さを感じているはず。お互い様です。時間をかけて、同居に馴染んでいくことが大切でしょう。

もちろん、ひどいいじめや虐待があるとか、最初から親の年金をあてに同居を提案し、お金を巻き上げているというなら話は別です。すぐに家を出るべきでしょう。ただ、そんな息子に育てたのは親である自分だということも忘れてはなりません。「いじめられているわけではないけれど、すごく大事にされている感じもないのよね。なんとなく居心地が悪くて」などというのはただのわがまま。昔の人ならそんなグチを聞かされたら、「お大尽じゃあるまいし」と一喝することでしょう。

では居心地の悪さに耐えるしかないのかと言えば、そこは視点を変えるのが幸せぐせです。家にいて落ち着かないなら、長くいなければいい。我慢は多少必要ですが、その時間をなるべく短くするのが得策でしょう。例えば、お友だちを作ったり、趣味を見つけたりして、外に出る時間を増やしてみてはいかがでしょうか。息子夫婦に感謝しながら、自分でもできるかぎり努力をするのが幸せへの道。

安易に答えを出さないほうがいい


Bを選んだ方は、居心地の悪さに耐え続けるぐらいなら、生活を切り詰めてでもひとり暮らしに戻ったほうがいいと考えたのかもしれません。ただその場合、病気になったり、いよいよ金銭的に厳しくなったりしても、息子には頼れないと腹をくくるべき。息子夫婦の気持ちを無下にして、自ら同居を解消したのです。この期に及んでサポートをお願いするのはあまりに都合が良すぎるというもの。つまり、同居をするのも、解消するのも、かなりの覚悟が必要なのです。

おとぎ話なら、年老いた親と息子夫婦が同居をしたところで「めでたし、めでたし」のハッピーエンドになるでしょうけれど、現実はそうはいきません。人生はその先も続きます。もし今、子どもから同居を提案されている読者の方がいらっしゃるなら、それがどんなに優しいわが子やそのパートナーとであっても、安易に答えを出さないほうがいいでしょう。「ありがとうね」と感謝しつつ、健康に気をつけながらできるだけ、ひとり暮らしを続けることをおすすめします。そのためにも、働けるうちは働き、将来のためのお金を貯めておきましょう。高齢になっても、「孤高が一番だ」ということを忘れないでください。


(イラスト◎大野舞)

前回「娘が夫に浮気され、孫を連れて戻ってきた。夫婦で話し合うよう促すべき?わが子を案じるあまり、感情移入しすぎないように」はこちら

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