ギャンブル好きな30代OLがはまり込んだ「ネットカジノの沼」

5月21日(土)6時0分 JBpress

 ニュースで連日取り上げられている、山口県阿武町から新型コロナウイルス対策関連の給付金4630万円を誤って振り込まれた男。「返せない」とされていたお金は、海外を拠点とするネットカジノ数社で使われていた疑いが浮上した。一般にはあまり馴染みのないネットカジノだが、日本国内からのサイトアクセスも増えているという。過去に興味本位でネットカジノにはまり、大金を費やしてしまったという30代OLの体験談を聞くことができた。以下、彼女から聞いた生々しい話をそのままお伝えする。


紹介サイトで謳われていたネットカジノの魅力

 阿武町のニュースを耳にしたとき、私の脳裏には2年前の苦い記憶が蘇った。

 2019年の年末、その年は帰省する予定もなかったため、年末年始をどう過ごそうか考えていた。そんなときに、ふと海外のネットカジノを紹介するサイトを目にしたことが悪夢の始まりだった。

 紹介サイトでは数社のネットカジノを「国や政府がライセンスを発行している」、「第三者機関が公平性を公表している」などと紹介していた。当初は胡散臭いなと感じていたものの、勝ったお金は自分の銀行口座に出金できるという一文を見て俄然やる気が出てしまった。年末年始に家に居ながらにして空いた時間で楽しく稼げる可能性に魅かれ、試しにやってみることにした。

 まずは、どのネットカジノで勝負するかを選ぶ。比較サイトで検討し、国内で人気があり、マルタ共和国のネットカジノ運営ラインセンスを取得していて信頼できそうという点からA社を選ぶことにした。

 クレジットカード決済で入金。入金する金額は自分で決めることができ、決済代行業者を経由して手数料を支払い入金する。最初に入金したのは100ドルで、当時のレート換算で手数料も含めると1万1500円程度。決済をすると数十分程度で反映されたように記憶している。現在では、銀行振り込みや仮想通貨、電子決済なども利用できるようだ。


ネットカジノの沼、気がつけば損失は100万円に

 年の瀬も迫った12月30日、さっそく勝負を始める。ネットカジノでは、一般のカジノと同じようにスロットゲームやルーレット、バカラやブラックジャックをプレイすることができる。

 普段からパチンコホールに通っていた私は、スロットが好きなこともありオンラインビデオスロットをプレイすることに決めた。よくルールが分からないバカラやブラックジャックなどとは違って、タップするだけで簡単そうというのも選んだ理由だった。

 スロットの種類も豊富で、ぱっと見ただけでも数十種類はありそうだ。それぞれ特徴があり、ジャックポットで一攫千金を狙うタイプ、小さい当たりの頻度が高く長く遊ぶタイプなど様々だ。絵柄も可愛らしいものから格好いいもの、シンプルなものまで幅広く、ボーナスの種類も豊富で楽しそうだった。どの機種でプレイしようか、とてもわくわくしたのを覚えている。

 手始めに一番人気という『ハワイアンドリーム』をプレイしてみる。抜けるような青空、波が打ち寄せる砂浜を背景に絵柄がスピンする。ウクレレのBGMが心地よく、まるでバカンスのような雰囲気に胸が高鳴った。ベット金額は自分で設定でき、0.20ドルから500ドルまであり、まずは1ドルでプレイすることにした。

 タブレット端末でプレイしていたため、1タップで1スピン、オートプレイも設定でき、ものの数分で40ドルほど溶けたところでRESPIN図柄が連続で揃い、7が揃った。キュキュキュキュイーンという音とともにハイビスカスが激しく点滅する。8回のフリースピンに突入し、この8回の間に7図柄が再度揃うと、再び8回のフリースピンが継続する。どれだけ継続できるかが獲得金額を左右する。

 プレイをはじめて20分ほど経つ頃には100ドルが150ドルほどになり、浅はかだった私は「ネットカジノって意外に稼げるかもしれない!」と舞い上がってしまった。そして、他の機種もプレイしながら当たっては飲まれるを繰り返し、夜20時頃から始めたネットカジノの初体験は気が付けば夜中の3時、入金金額は5万円を超えていた。

「思ったよりも使ってしまったな。せめて半分でも取り戻したら出金してやめよう」そう思いながら眠りについた。

 翌日、起きてすぐベッドから出もしないままタブレットを手に取り、ネットカジノにアクセスする。大晦日、誰からの連絡も予定もない、時間だけはあるという独身生活なのが災いし、終日プレイしてしまう羽目に。

 そこからは転げ落ちるようにネットカジノにはまってしまった。正確には、取り戻すまでやめられない、という強い焦燥感に駆られて入金を繰り返してしまった。

 ベット金額が高いほど、高額のリターンが見込めると考え、ベット金額をあげていった。そうすれば1度の当たりで大きく取り返せると考えたのだ。マイナスどころか「一気にプラスで勝ち逃げしよう!」とまで夢見た。高額をベットすれば、それだけ溶ける速さも金額も加速度的に大きくなる。

 今思うと、本当にどうかしているとしか思えないのだが、最終的に1回のベット金額は10ドルになっていた。

 年が明け、三が日も誰にも会わず、起きてから寝るまでただひたすらにネットカジノ。出金もせず、回り続ける画面を見る生活で得たものは何もなく、気が付けば100万円近く失っていた。最後のほうは少しでも多く取り戻したい一心だったのと、今ここで止めてしまうと、取り戻せない=失うのが確定してしまう、という恐怖心からだった。


「24時間いつでもどこでもできる」の恐ろしさ

 金額が大きすぎて、現実を受け入れるのは辛かったが、カードの限度額と仕事が始まったことで物理的ストップがかかり、ネットカジノの沼から抜け出すことができた。

 一刻も早く忘れたい出来事なのに、遅れてやってくるカードの請求書で再び絶望させられる。この頃の明細は見るのが辛かったが、金額などを正確に伝えようと思い、今回引っ張り出してきた。ずらりと並ぶ代行業者の文字と数字にめまいがしたが、もう二度とあの思いはしたくない、とネットカジノには手を出さないという決意を新たにできた。

 その後、ネットカジノをプレイしているという数人と話をする機会があったが、一様に言われたことは、私のプレイの仕方が悪いということだった。

 オンラインビデオスロットならまずは少額ベットで台の調子を見たほうが良いという意見や、オンラインビデオスロットには手を出さず、一般的なカジノと同じく、マーチンゲール法やパーレー法といった攻略を駆使しプレイすべきという意見など。戦略的に攻略すれば勝てる可能性はあるのかもしれないが、理性的なプレイができない私にはとても無理なことに思えた。

 もともとギャンブル依存症体質だった私にとって、既存のパチンコ店や公営ギャンブルのように開催時間が限られたものではなく、24時間いつでもどこでもできるということが非常に恐ろしく感じた。実際に、起きて寝落ちするまでひたすら画面を見続けたからだ。もちろんトイレにもタブレットを持ち込んだ。

 また、掛け金を好きに高額にできるという点も自制心の足りない人間にとっては魅力的な罠だ。1日で負けることのできる金額が物理的にある程度抑えられているパチンコやスロットに比べ、いくらでも負けられるのだ。もちろんその分のリターンも大きいのだろう。

 これまでの報道でオンラインカジノに興味を持った人もいるかもしれない。一方で数千万円負けた人の体験談なども続々と語られている。それに比べれば私の負けた額などたかがしれているかもしれないが、私にとっては非常に大金で、今でも「あの時オンラインカジノをしなければ……」という後悔がずっとついて回っている。

 そして、今回の事件で知ったのはネットカジノの違法性についてだった。紹介サイトでは「違法ではない」という解説ばかりだったため、すっかり信じ込んでしまったが、紹介サイト経由でネットカジノの口座を開設すると、その紹介者に報酬が入るという実態があることも知った。

 今後、私のように愚かにも安易に手を出す人が増えなければいいなと思う。

筆者:斉藤 裕子

JBpress

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