「熱あたり」とは? 昨夏は3人に2人が症状を経験、対策に暑さに体を慣れさせる「暑熱順化」も
2025年5月22日(木)12時14分 マイナビニュース
ダイキン工業はこのほど、「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」の結果を発表した。調査は2025年3月14日〜3月18日、全国47都道府県に住む20歳以上の男女14,100人を対象にインターネットで行われた。
○3人に2人が経験した「熱あたり」とは?
「熱あたり」は、体の外に「熱」を逃がし続けることで蓄積する疲労や、体に「熱」が溜まりすぎることで起こる熱中症など、体が「熱」にあたる」ことで起こる身体的な不調全般の総称と定義される。公的機関より発表される熱中症の患者数は、熱が人に及ぼす不調のうちの氷山の一角で、さらに多くの人が熱による体調不良を引き起こしていると考えられる。
熱中症と診断されるような症状から軽い不調までを含めた「熱あたり」の症状を感じた経験がある人を調査したところ、2024年の7月から8月の間に、全国20歳以上男女のうち、おおよそ3人に2人にあたる64.6%が「熱あたり」の状態を経験した可能性があることが明らかとなった。
また、熱中症患者よりも多くの人が、夏場に熱による体調不良を感じたり、日頃のパフォーマンスが低下したりしている可能性があることがわかった。こうした症状にならないためにも、熱が体に与える影響を知り、対策に取り組むことが大切と言える。
○「熱あたり」は世代を超えた夏の共通課題
高齢者が熱中症になりやすいと言われるが、「熱あたり」として捉え直すと世代間の差は大きくなかった。全世代で6割以上が「熱あたり」を経験しており、これは老若男女問わず、夏に共通する健康課題と言えそうだ。
○「熱あたり」の症状トップ3
「熱あたり」経験者の不調で多かった「睡眠の質の低下」(51.4%)、「疲れがとれない」(46.0%)のほか、食欲不振(16.6%)は、軽い「熱あたり」症状である。そんな症状でも、仕事や勉強などのパフォーマンス低下につながることがある。
それ以外に挙げられたのは、病院に行けば熱中症と診断されるような症状だ。最初は軽い症状でも油断せず、涼しい環境で過ごし、体に熱を溜めないことが重要となる。
○「熱あたり」症状経験者の6割超がパフォーマンス低下を実感
病院で熱中症と診断された人を除いた「熱あたり」経験者の多くは、パフォーマンスの低下を感じている。約半数が「そこそこ低下」、2割強が「かなり低下」または「大幅に低下」と感じていた。「熱」が引き起こす仕事や勉強などのパフォーマンス低下は、多くの人に波及することで社会の発展に影響を与える可能性も考えられる。
○「暑熱順化」の認知率は約3割
気温が上昇する時期が早まる中、暑くなる時期に備えて、汗をかきやい体をつくる「暑熱順化」に取り組むことが重要となる。しかし今回の調査では、「暑熱順化」があまり認知されていない結果となった。夏を迎える前の準備として、エアコンの試運転と合わせて、ウォーキングや筋トレなどで体も汗をかけるようにしておくことが重要であるとされている。
○都道府県別「熱あたり」症状経験者の割合
今回の調査で全国47都道府県の「熱あたり」症状経験者の割合を算出したところ、大分県が最も高く、福島県と広島県が同率で続いた。また、青森県、静岡県、滋賀県が最も低い結果となった。
一方、最も高い県と低い県の差は10.7ptと僅差であり、全国的に「熱あたり」は地域差が小さく、誰もが意識すべき問題と言えそうだ。
○「熱あたり」対策としてできることは?
済生会横浜市東部病院の患者支援センター長を務める谷口英喜氏によると、夏前のまだ暑くなっていない時期には、暑さに体を慣れさせる「暑熱順化」に取り組むことが有効であるという。以前は、季節がゆるやかに移り変わる中で自然に体が順化していたが、春が短くなってきた最近では、急に暑くなる傾向が続いている。これからの時代においては、意図的に暑熱順化を行う必要があるという。
暑くなってからの対策は、できる限り暑さ(熱)を避けること。エアコンを使うことを中心に、扇風機を使ったり通気性のある服を着たりするなど、できることをいろいろ組み合わせた「合わせ技」で「熱あたり」への対策を進めることが推奨されるという。