【警告】2025年、さらに強力な太陽フレアが地球を襲い、過去165年で最悪の磁気嵐を引き起こす可能性

2024年5月21日(火)12時0分 tocana

 太陽活動の11年周期の中で最も活発な時期が2025年に訪れると科学者から警告がなされている。強力な太陽フレアが地球を襲い、165年ぶりに最悪の地磁気嵐を引き起こす恐れがあるというのだ。実際にこれが起きた場合、人工衛星の故障や電力網の途絶などの被害が発生するかもしれない。


太陽活動の周期的な極大への警戒

 1859年の「キャリントン・イベント」以来の最悪の太陽嵐に見舞われる可能性が指摘されている。天体物理学者らは、太陽活動の11年周期においてエネルギッシュな時期である「太陽活動極大期」が2025年7月に訪れると予測している。この時期には太陽から放出される放射線量が増加し、太陽面に巨大な太陽黒点が最大115個も出現すると推定されている。


 ハーバード大学の天体物理学者、ジョナサン・マクドウェル博士は、「今後1〜2年の間に、過去最大級の太陽嵐が発生する可能性がある」と警告する。マクドウェル博士によると、太陽活動は現在活発な時期を迎えており、太陽表面には巨大な太陽黒点が多数出現している。これらの太陽黒点から発生する強力な太陽フレアやコロナ質量放出は、地球の人工衛星に深刻な被害をもたらす可能性がある。具体的には、通信衛星の通信障害、GPS衛星の軌道変更、観測衛星の機能停止などが懸念される。また、電力網や航空機、通信システムなど、社会インフラ全体への影響も無視できないだろう。


 


衛星運用への影響と対策

 太陽嵐に伴う高エネルギー粒子の流入により、衛星が受ける直接的な影響としては、軌道高度の低下や電気的な障害が考えられる。すでに今年に入り、ハッブル宇宙望遠鏡の軌道減衰速度が平常時の2倍に達したことが確認されている。


 また、過去の事例として1994年の太陽嵐では、3機の通信衛星で電気的故障が発生し、何億ドルもの損失が出たと報告されている。このため、衛星を運用するオペレーターは太陽活動の極大期に備え、太陽黒点の動向を常に注視しており、必要に応じて一部の機能を事前に停止させるなどの対策を取っているという。


 しかし、太陽嵐の発生時期や規模を的確に予測することは困難であり、マクドウェル博士は「太陽嵐の襲来に対し、いくつかの注意を払って、その望遠鏡の一部を守るための措置をとった。特定の部分をシャットダウンすることで、センサーへの電気的損傷のリスクを下げるが、全体をシャットダウンするわけではない」と説明している。


先兆ともいえる最近の太陽嵐

 今年に入ってからすでに太陽嵐の影響が見られており、先週末には「極度の地磁気嵐」が発生し、アメリカ中西部の農家のGPS機器にも障害が出た。ミネソタ州の農家パトリック・オコナーは「私はこれまでにこのような事態に対処したことがありませんでした」とニューヨーク・タイムズに語っている。


 一部の天文観測プラットフォームでも軽微な影響があり、マクドウェル博士は「今回の嵐は、オーロラこそ美しかったが、確かに記録上最大の嵐ではありませんでした」と振り返る。しかし、それでも「これから、さらに大きな嵐が訪れる可能性がある」と科学者らは警鐘を鳴らしているのだ。


太陽活動の極大期に伴う大規模な太陽嵐の到来は、避けられない自然現象である。宇宙インフラを守るため、関係機関は太陽活動の推移を常に注視し、被害を最小限に抑える対策を徹底する必要があるのかもしれない。


(文:青山蒼)


参考:Daily Mail Online

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