松坂大輔の「ゴルフ問題」が日本で断罪される理由

5月23日(木)8時30分 JBpress

「平成の怪物」に逆風が吹きつけている。中日ドラゴンズ・松坂大輔投手のことだ。右肩を痛めて開幕に間に合わず二軍調整を強いられているにもかかわらず、5月上旬のファーム練習日に早朝からゴルフをしていたことが写真週刊誌の報道によって発覚。球団側からペナルティーを科され、本人が謝罪したものの世間の反応は冷たい。


擁護論も一部にあるものの

 関東近郊で右肩の治療を行い、そのスケジュールの合間を縫って問題となった当日に千葉県内のゴルフ場でプレーしたようだ。松坂本人の弁明によれば、ゴルフをした当日もその後に治療とトレーニングを行っていたという。いくら練習日だったとはいえどもチームから離れることを球団側から許可されているし、完全に一日中サボっていたわけではないので問題視しなくてもいいのではないか——。球団内でも少数派だが、このように指摘する擁護論もある。

 それとは別にメジャーリーグのシカゴ・カブスに在籍するダルビッシュ有投手もツイッターで「こっちの人は全然気にしない。肩痛めててゴルフダメは無いと思う」などと投稿。日米の認識の違いを取り上げながら、松坂を擁護した。

ニューヨーク・メッツ時代、14MLBオープン戦、セントルイス・カージナルス戦に先発登板する松坂大輔(2014年3月2日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Joel Auerbach〔AFPBB News〕

 しかしながらいいか悪いかで言えば、中日側がペナルティーを科す処分を下したのだから「NG」に決まっている。メジャーリーグでは許されるかもしれないが、ここは日本だ。まさか自分が元メジャーリーガーだから許されると思い込んでいたわけではないだろう。しかも松坂は右肩に問題を抱えて、リハビリ中の立場なのだ。ただでさえ、Bクラスに沈んで低迷中の一軍に大きな迷惑をかけているのである。

 百歩譲ってどうしてもゴルフをしたいならば、チームを離れる許可をしている球団側に事前報告をするのが筋だ。それすらせず練習日にコソコソと黙ってゴルフに興じていれば、多くの日本人の感覚からすれば「肩をケガしていて何やってんだよ」とツッコミも入れたくなる。日本プロ野球界、というよりも日本の常識ぐらいはさすがに分かっていてほしい。


プロとしての自覚が欠けているのではないか

 古参の中日球団関係者も「まったく、その通りです。日本人として日本の球団に属しているのだから、どういう行為をすればひんしゅくを買うのかぐらいは分かっていないとおかしい」と釘を刺した上で次のように続けて憤慨する。

「正直に言うが、松坂には危機感がまるでない。去年のシーズンで復活したから、それでもう安心しきってしまっているのか。そうだとしたら今、ケガをしてチームに迷惑をかけている立場なのに勘違いも甚だしいと思います。今回の一件について『球団側が松坂を守ってあげるべきだった』との意見も目にしましたが、とんでもないですよ。今回のゴルフの一件は写真週刊誌の報道で明らかになったとはいえ、もともと球団内部でもシーズン中にチームを離れて遠方に治療へ行く彼の〝VIP待遇〟に対して色眼鏡で見る向きがあった。『見られていないからと言って、何かコソコソやっているんじゃないか』という声が結構あったのも事実。そうしたら案の定でしたよ」

 2018年のシーズンはテスト入団した中日で6勝し、カムバック賞も受賞。センセーショナルな話題を呼んだが、このたった1年だけの成績によって松坂は持ち上げられ過ぎてしまった感がある。冷静に思い起こしてほしい。メジャーリーグから戻って2015年から3シーズン在籍した福岡ソフトバンクホークスではコンディション不良に悩まされ、1勝も出来ないまま契約満了。3年12億円ともささやかれた大型契約を結んでいたことで「給料泥棒」とブッ叩かれていたのだ。

 しかもホークス1年目となる2015年シーズン開幕直前の3月中にはオープン戦の試合前練習に朝寝坊して遅刻。罰金18万円を科せられる騒動によって早々からチーム内で「この人、大丈夫なのか」と厳しい目を向けられるようになり、その後の大低迷を暗示させた。

 もちろん怪物と呼ばれ、一時代を築き上げたことは誰もが知っている。しかしながら、その反面で松坂にはどこか「プロとしての自覚に欠けるのではないか」と感じられる一面があるような気がしてならない。

 グラウンド外でも時代をさかのぼれば〝前科〟もある。西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)時代の2000年9月に引き起こした「身代わり出頭事件」だ。当時から交際中だった現夫人の自宅マンションに行った際、自ら運転してきた球団名義の車で駐車違反を起こし、その身代わりとして球団関係者が出頭。写真週刊誌の報道によって松坂が免停中に車を運転し、さらに身代わり出頭の事実も明らかになり、東京地検から書類送検され、世間から猛バッシングを浴びた。松坂にとっては封印したい黒歴史であろうが、あらためて脇の甘さが露になっている今こそ過去の失態を反省の意味でも顧みる必要性がある。


密かに復帰を願っていたライオンズ関係者も落胆

 古巣の西武も松坂にはかなり落胆しているようだ。実を言えば、ライオンズの球団内には松坂に「あれだけの功労者なのだから、引退する時は古巣のウチでユニホームを脱いでほしい」と願う関係者が数多くいる。だが、親会社・西武ホールディングスの意向にならう形で近年の西武球団は12球団の中でも特にコンプライアンス遵守に厳しいとされ、実際に「西武グループ企業倫理規範」と題した統一ルールを所属選手たちにも徹底させているのが現状だ。さまざまな面でコンプライアンス的にも怪しい「灰色」と言わざるを得ない松坂は今回のゴルフ騒動によって、どうやら古巣からアウト宣告を食らってしまったようである。

 松坂を西武在籍時代から知るライオンズの有力OBは、こう述べながら肩を落とす。

「何とかしてわれわれOB、そして球団内の有志たちも大輔に最後はライオンズへ帰って来て欲しいと願っていたが、ゴルフの一件で上層部はゴーサインを出しづらくなった。残念だが、これで大輔には『叩けばホコリが出る』というイメージが強く植えつけられてしまっただろう」

 昨オフはせっかく賞賛の嵐でヒーロー扱いされていたのに、すべてパーになってしまった。想像以上に、松坂への風当たりは厳しい。開幕前の沖縄・北谷キャンプでファンから強く引っ張られたことが負傷した原因とされる右肩のコンディションについても「実はもともと悪かったのではないか」と一部から疑われているとの話も聞こえてきている。

 もう一度、信頼を取り戻すためにはマイナスからのリスタートを覚悟した上で日本のしきたりに従い、一刻も早く一軍のマウンドで結果を出さなければいけない。

筆者:臼北 信行

JBpress

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