NHK連続テレビ小説「朝ドラ」のヒロインはどうやって決まる?2025年秋の主演を大予想

2024年5月23日(木)6時0分 JBpress

(小林偉:放送作家・大学教授)


2010年が転換点となった朝ドラ

 前回は、NHK連続テレビ小説、通称“朝ドラ”のヒロインについて、その歴史と原点を深掘りさせていただきましたが、今回は、その現在と未来について書かせていただこうと思います。

 現在放送中の『虎に翼』が通算110作目となる“朝ドラ”。現在、地上波のNHK総合では午前8時ちょうどから8時15分までの1話=15分で放送していますが、1961年の第1作『娘と私』は、午前8時40分から9時までの1話=20分。翌年の第2作『あしたの風』から午前8時15分から8時30分までの15分となり、そのスタイルが2009年10月スタートの第81作『ウェルかめ』まで47年にわたって続けられました。

 この間、特に21世紀に入った頃から視聴率の低迷が囁かれ始めたことから、NHKは遂に英断を下します。2010年4月スタートの第82作『ゲゲゲの女房』から開始時間を15分早め、午前8時ちょうどスタートとしたのです。これが功を奏してか、以降、朝ドラ人気は回復基調となり、現在に至るというワケです。背景には、15分早めたことにより、通学・通勤前の若年層が視聴可能となる率が増し、間口が広がったとの指摘が大勢。いずれにしても、朝ドラにとって2010年が転換点となったのは間違いありません。

 さて、その転換点たる2010年春以降、朝ドラの主人公にはどんな俳優が起用されてきたのでしょうか。その顔ぶれをリスト化してみましょう。

※カッコ内は、放送開始当時の主演俳優の年齢(年/春/秋)

2010/松下奈緒(25)/瀧本美織(19)
2011/井上真央(24)/尾野真千子(29)
2012/堀北真希(23)/ 夏菜(23)
2013/能年玲奈(のん・19)/杏(27)
2014/吉高由里子(24)/玉山鉄二(33)
2015/土屋太鳳(20)/波瑠(24)
2016/高畑充希(24)/芳根京子(19)
2017/有村架純(24)/ 葵わかな(18)
2018/永野芽郁(17)/安藤サクラ(32)
2019/広瀬すず(20)/戸田恵梨香(31)
2020/窪田正孝(31)/杉咲花(23)
2021/清原果耶(19)/上白石萌音(23)深津絵里(49)川栄李奈(26)
2022/黒島結菜(25)/福原遥(24)
2023/神木隆之介(29)/趣里(33)
2024/伊藤沙莉(29)/橋本環奈(25)
2025/今田美桜(28)/???

 以上、既に発表されている今年秋と来年春の2名も含め、31作33名。本当に人気者ばかり、錚々たる顔ぶれですよね。

 男女別ですと、男性3名、女性30名と1対10の比率ですから、やはり“朝ドラ=女性の一代記”と言っても過言ではないでしょう。ちなみに平均年齢は25.4歳。男性の場合はアラサーばかり(平均31歳)で、女性だけに限ると24.9歳と6歳ほど若くなるという点も指摘しておきます。


朝ドラの主演俳優はどうやって決められているのか?

 さて、この朝ドラの主演俳優ですが、どうやって起用が決められているのでしょうか?

 これには、一本釣りのオファーによる場合と、オーディションを経て決定される場合の主に2パターンがあるようです。NHKの資料によると、2010年放送以降にオーディションが実施されたのは、2010年秋、2011年秋、2012年秋、2013年春、2015年春・秋、2016年春・秋、2017年秋、2018年春、2021年秋(深津絵里以外)、2022年秋、2023年秋、2025年春の14回。1回に数千名の応募があり、当然のことながら選ばれるのは1名ですから大変な激戦。

 2021年秋の『カムカムエヴリバディ』でヒロインに選ばれた川栄李奈は「6回目の朝ドラオーディションだった」と語っています。元国民的アイドルグループ出身の彼女ですら・・・ということです。ただし、落選しても主演以外にキャスティングされる可能性があることも申し添えておかねばなりません。

 このオーディションについて、最新の2025年春スタート予定の『あんぱん』を例にとると、NHKが公式ホームページを通じて募集を開始したのが2023年9月、放送の1年半ほど前ですね。その要綱に、タイトルと簡単な内容説明と共に記されていたのが以下のような文言。

「1988年〜2006年生まれの女性の方で、すでに劇団・プロダクション・演劇事務所に所属し、プロの俳優・タレントを目指している方。またはすでに活動している方」

 2025年春スタートで1988〜2006年生まれとなると、放送開始時に18〜37歳ですが、これは前述の主演以外のキャスティングへの含みも持たせているから多少幅を設けているんでしょうね。ちなみに、この際には3365名の応募があった中から、今年2月に今田美桜が主演に選ばれたことが発表されています。

 また、春・秋とされているのは、春がNHK東京の制作で、秋が大阪制作。実施されたオーディション14回中9回が大阪制作ですから、NHK大阪の方がオーディション好きということが言えますね。

 さてさて、ここからは2025年秋・大阪制作の朝ドラ主演俳優が誰かを予想してみたいと思います。あくまでも筆者の憶測ですけどね。

 今回は開始1年半前を切ってもオーディション募集がなかったので、オファーパターンとなるようですね。また、男性は5年に一度ほどの起用ですので、直近2023年春に男性主人公だったことを鑑み、やはり女性に絞って予想してみます。これまでのデータから放送開始時、年齢が25〜30歳前後となる人気女性俳優であることは確実だと思います。

 それともう一点、過去に脇役として朝ドラに出演歴がある方が主演に選ばれることが多いということも考慮させていただこうかと。スタッフ目線で言うと、やはり毎朝放送する過酷な現場を経験しているという点も評価の対象になるでしょうからね。

 ということで以下、本命・対抗・穴に分けて予想してみました。


2025年秋の主演の本命は?

◎本命

①川口春奈・・・現在、CM出演本数がトップとなっている人気者。民放ドラマでの主演経験も豊富で、過去に『ちむどんどん』『舞いあがれ』の2作に出演している点も大きいです。放送開始時は30歳。

②広瀬アリス・・・こちらもCMや民放ドラマで引っ張りだこ。実妹の広瀬すずが『なつぞら』で主演済みのため、初の姉妹でヒロインという話題性も。過去には『わろてんか』に出演しています。放送開始時は30歳。

③古川琴音・・・独特な個性で様々なドラマに出演し続けている方。大阪制作は個性を重視する傾向が強いことも考慮しました。過去には『エール』に出演。放送開始時28歳。

④松岡茉優・・・持ち前の明るさと演技力の確かさが評価されている彼女。過去には『あまちゃん』に出演しています。放送開始時30歳。

 もう一人、本命に挙げたいのが小芝風花ですが、彼女は来年の大河ドラマ『ぺらぼう』への出演が決定しているため、来秋朝ドラ主演はスケジュール上、難しいと判断し除外しました(でも近い将来、起用される可能性は高いかと)。

〇対抗

山下美月・・・先日、乃木坂46を卒業したばかりの彼女は、グループ在籍時から民放連続ドラマに続けて登場し、主演も務めています。過去には『舞いあがれ』に出演。放送開始時25歳。

生田絵梨花・・・こちらも元乃木坂46。舞台・映画・ドラマに引っ張りだこで、7月から民放での連ドラ主演も決定しています。過去に朝ドラへの出演はありませんが、音楽番組『Venue101』のMCを務めるなど、NHKへの貢献度は大。放送開始時28歳。

生見愛瑠・・・現在のドラマ界でめざましい活躍を続けている彼女は、朝ドラのヒロインに相応しいと思うのですが、過去、朝ドラはおろかNHKドラマへの出演歴がないため、対抗に位置づけました。放送開始時23歳。

田辺桃子・・・彼女も朝ドラに相応しい逸材ですが、主演経験の少なさと朝ドラ歴がないことからこの位置に。放送開始時25歳。

▲穴

①堀田真由・・・彼女も今、メキメキと台頭している俳優ですが、2025年秋時点では即ヒロインは難しいかも。放送開始時27歳。

②吉川愛・・・子役時代から培った演技力は若手ナンバーワンの呼び声も高く、20代からの支持も高い彼女。放送開始時25歳。

③原菜乃華・・・10代からの支持が高く、既に去年、大河ドラマへの出演も果たしています。一気に朝ドラヒロイン大抜擢があるかも。放送開始時21歳。

④河合優実・・・今年1月クールのTBS系『不適切にもほどがある』で大ブレイクした注目株。現在、民放では主演ドラマが放送中ですし、CMにも登場。この勢いで一気に朝ドラヒロインも? 放送開始時24歳。

 ・・・という12人を挙げてみましたがいかがでしょうか? この他にも、山本舞香、本田翼、岡崎紗絵、平手友梨奈なども候補に挙げようか、正直迷いました・・・。

 2025年10月スタートの朝ドラ主演俳優発表予定は今年8月上旬とされています。果たして、筆者の予想は当たるのか? その際に“答え合わせ”を行いたいなとも思っております。

筆者:小林 偉

JBpress

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