命に関わる不整脈「心房細動」で脳梗塞を発症するリスク上昇

5月23日(火)7時0分 NEWSポストセブン

心拍の規則性が失われる心房細動を解説

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 心臓は4つの部屋に分かれ、上の2部屋を右心房、左心房、下の2部屋を右心室、左心室という。右心房の上部に洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分があり、安静時で1分間に50から100回電気を発生する。この電気は心房から心室に流れ、それぞれの部屋が協調して収縮し、体全体に血液を効率よく送り出している。つまり、心臓に流れる電気の異常や刺激が適切な経路以外を通ると不整脈が起きやすくなる。


 命に関わる不整脈としては、心拍の規則性が完全に失われる心房細動がある。現在、日本で170万人の患者がいると推計され、治療が必要な不整脈の中で最も患者数が多い。日本初の不整脈治療専門医療施設、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長に話を聞いた。


「心房細動になると1分間に約600回もの頻度で心房が興奮し、心房と心室の協調性が失われます。心房の中で血液が淀み、血栓が作られて、脳梗塞を起こしやすくもなります。さらに、心拍数が早くなるせいで、心臓が疲弊して心不全を発症し、死亡リスクが上昇します」


 心房細動の危険因子は、加齢、高血圧、心臓病、飲酒だ。中でも飲酒が大きな要因として挙げられ、日本酒は1合、ビールなら500ミリリットル、ウイスキーではダブル1杯がアルコール1単位に相当し、1日3単位以上飲む人は、心房細動リスクが上昇することがあるといわれている。


 他の心房細動の要因としては、甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)と睡眠時無呼吸症候群がある。甲状腺機能亢進症はバセドウ氏病といわれ、甲状腺ホルモンが上昇し、眼球突出、発汗、手の震え、頻脈などの症状があり、頻脈が重症化すると心房細動を発症する。睡眠時無呼吸症候群は、就寝中に大いびきをかき、ときに呼吸が止まることもあって、血液中の酸素濃度が下降し、結果的には心臓に負担がかかり、心房細動を起こすこともある。


「心房細動と診断されたら、まずは脳梗塞発症のリスクを評価することが大切です。年齢、既往症(きおうしょう)から患者さんごとにスコアを計算、ある基準を満たすようであれば、血液をサラサラにする薬を内服すべきです。以前はワルファリンという薬しかなく、食事制限と血液検査による厳格な用量調節が必要でしたが、最近ではその必要がないDOACという薬が発売され、内服しやすくなり、安全性も高くなっています」(桑原院長)


 心房細動の患者は高齢化とともに増加傾向にある。かつての心房細動の治療は、安静と投薬、電気ショックなどの対症療法しか選択肢がなかった。しかし、現在では医療技術の進歩によって、心房細動の原因となる高頻度で興奮する心筋を探し出すことができるようになっている。その場所に通電し、焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションで、多くの心房細動が根治可能になった。


●取材・構成/岩城レイ子


※週刊ポスト2017年5月26日号

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