油断すると免許失効? 高齢者の免許更新講習で5か月待ちも

5月23日(水)11時0分 NEWSポストセブン

受講したくても受けられない…

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 高齢ドライバーの肩身は狭い。高齢者が事故を起こすたびに大きく報じられ、国からは免許返納を促され、家族からも「そろそろ運転やめたら」と忠告される。いや、私はまだ車を手放すつもりはない!と免許を更新しようとすると新たな壁が立ちはだかった──。


 7月で70歳になる兵庫県在住の団体職員がため息をついた。


「誕生月の半年前の1月末に3つ折りハガキで『高齢者講習』のお知らせが来ました。案内には県下の自動車学校のリストがあり、2月から8月の受講期間の間に受けてくださいと書いてある。近くの教習所に電話したが、5か月以上先まで予約がいっぱいで、入れられたのは免許の有効期間の2週間前。その日に体調を崩したらと不安です。運転免許の更新だけでも面倒なのにこんなことになるとは……」


 道路交通法で70歳以上の人には免許更新時に高齢者講習が義務づけられている。また昨年から新たに75歳以上の人は認知機能検査を受け、「認知症の疑いなし」と判断された後に高齢者講習を受けることとなった。この法改正によって高齢ドライバーの免許更新の手続きが煩雑になり、教習所はその対応に追われている。その結果、高齢者講習を受けようとしてもすぐに受けられない状況が生じている。


「近くの教習所では有効期間内に予約が取れず、焦って10数か所に電話しました。2時間以上もかかる遠い教習所で、ようやく3か月先の予約が取れた時はホッとしましたよ」(72歳男性)


 東京都では3か月待ちの教習所が11か所もあり、なかには5か月待ちという教習所も存在する(5月1日時点)。全国の平均待ち日数は56.4日で、奈良県では128日、埼玉県では102日待ち(警察庁公表の12月末の認知機能検査の予約から受検までの待ち時間)など、全国的に混雑しているのだ。


◆「まだ大丈夫だろう」で失効も?


 5月中旬の平日の朝。東京・鮫洲運転免許試験場の講習室前には、開始の1時間以上前に高齢者の列ができていた。


「半年前に通知ハガキが来て、『まだ平気だろう』と呑気に構えていたのが間違いのもと。近くの教習所に電話したら3か月待ちで、『失効してしまう』と泣きついたら、指導員が多く、期限の迫った人を優先してくれる鮫洲を紹介された。2時間かけてここに来ました」(78歳男性)


 なぜこんな事態に陥ってしまったのか。交通ジャーナリストの今井亮一氏はこう指摘する。


「教習所の絶対数は減少傾向にあるのに、受講する高齢者の数は年々増え続けている。教習所側の受け入れ態勢が整っていないのが現状で、その実態を精査せずに法改正したツケが回っている。受講者が多いのに、法改正により認知検査をやることになり、教習所の負担がさらに増え、“渋滞”を悪化させている」


 ツケを払わされているのは高齢者ドライバーなのだ。悲鳴を上げているのは、高齢ドライバーだけではない。ある自動車教習所関係者がこぼす。


「高齢者講習には60分の座学と運転適性検査、60分の実車講習がありますが、実車講習は3人に対して指導員1人という規定があるため、指導員が絶対的に不足している。教室も足りず、うちの教習所では、応急救護室を改修して高齢者講習の会場に充てています」


※週刊ポスト2018年6月1日号

NEWSポストセブン

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