自治体から「地方六団体」に流れる税金、使いみちは? 見えにくい実態

5月24日(木)10時6分 弁護士ドットコム

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意外と知らない税金の使いみち。普段あまり目にしない自治体の予算書を見ると、思わぬところに支出されていることがわかります。予算書は自治体のホームページで公表されていますので、その中の事項別明細を見ることで、詳しい税金の使いみちを知ることができます。今回、その中でも、首長や議長による連合組織である地方六団体に注目してみました。税金の流れがなかなか見えにくい実態がありました。(ライター・はるの)


●市町村の予算書・事項別明細の「負担金」の欄に注目

各自治体はホームページ上で予算書や決算書を公開しています。その中でも、実際にまちづくりなどに使われる事業部門や、議会や役所の人事総務的な部分に使われるものは比較的理解しやすいでしょう。その自治体で消費されるものが多く、実際に住民にメリットが還元されやすい部分であると言えます。


一方で「負担金」の部分は、自治体から外部の団体に支出されるお金にあたり、外部団体に支出されたのちの使われ方に関しては、自治体の決算書などから読み取ることはできません。この負担金の支出先として、「地方六団体」に関連したものがあります。


●地方六団体は首長や議長による連合組織


地方六団体は地方自治法に定められている、地方公共団体の首長や議長による連合組織です。各地の知事、市長、町村長、議長が連合して総務大臣を通じて内閣に申し出を行う、国会に意見書を提出するといった、政治的な活動をしています。


地方六団体は、全国知事会・全国市長会・全国町村会の執行3団体と、地方議会の議長の連合組織である全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会があります。さらに、これとは別に、各地に市長や町村長、議長が任意に設立した東京都市長会、東京都町村会、東京都町村議会議長会などといった団体があります。


●住みたいまち吉祥寺がある武蔵野市では

では、実際の例として、リクルート住まいカンパニーによる住みたい街ランキングで3位(2018年)になった吉祥寺がある東京都武蔵野市の2018年度予算を見てみましょう。実際に地方六団体にいくらくらいの支出を予定しているのでしょうか。


まずは実際に地方六団体にあたる、「全国市長会」に573,000円、「全国市議会議長会」に588,000円の歳出予算が組まれています。他に、「全国市長会関東支部」に40,000円、「東京都市長会」に2,254,000円、「関東市議会議会議長会」に65,000円、「東京都市議会議長会」に120,000円の歳出予算が組まれており、武蔵野市だけで、これらを合計すると、2018年度に3,640,000円支出される見込みです。


他の自治体でも、金額は違えど同様に歳出予算が組まれていますので、現在全国の市町村の数は1718市町村あることを考えると、全国規模で言えば相当額が支出されていると推測できます。


(参考:武蔵野市H30予算書)


http://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/018/450/30-04.pdf


●活動内容は公表されているが、決算状況などは一般公表されていない


地方六団体は、その知名度の低さから、お金の使われ方もあまり知られていないのが現状です。ホームページを確認しても、活動内容は読み取れますが、予算書や決算書は公表されていません。このため、財政規模についても正確なことは一般市民には簡単にはわかりません。


実際に、全国市長会に問い合わせたところ、現在は会員である団体のみに公開しているとのことでした。とはいえ、自治体から負担金を支出している以上、その活動原資の少なくとも一部は税金をもとにしていると言えるでしょう。税金以外の資金源や、その使われ方については、非公開ゆえに見えづらいと言わざるをえません。


●全国市長会から、各市長会への支出も

全国市長会に問い合わせをしたところ、都道府県ごとにある市長会にも全国市長会からの助成金などといった形で支出をしているとのことでした。同様に全国町村会や全国議会議長会、各地の町村会・議長会にも助成金などといった形で支出をしている可能性がありますが、どちらも具体的な金額はホームページなどでは公表されていません。


一方、各自治体からの支出については、各自治体の予算書などから読み取ることができます。自治体がホームページで公開している予算書の「事項別明細」「負担金、補助及び交付金」の欄を見てみるとわかります。予算書は事業ごとに項目が分かれているので、議長会関係であれば議会費、市長会や町村会の負担金は主に総務費に計上されています。ほかの事業に振り分けられている場合も、負担金といった形で支出するのは同様です。


このように、地方六団体だけでなく、任意団体である各地の市長会・町村会・議長会にも、市町村などから直接的に、または全国組織である地方六団体を通じて間接的に支出されていることは間違いないようです。



一方で、少なくとも一部は公金の入っている団体であるにもかかわらず、予算書・決算書を公表している団体はほぼありません。任意団体であるため、公表義務はないのですが、原資に税金が含まれている以上は、一般公開し、その内情を市民があたりまえに知ることができてしかるべきではないでしょうか。


●見えにくいお金の使われ方や職員採用


地方六団体はや地域ごとの任意団体である市長会や町村会においては非公開であるがゆえにお金の使われ方は不透明であるのが現状です。公金を原資にしていても、内情は見えにくく、ゆえに関心も持たれにくいという問題点があります。


また、職員採用も公募を行わず、所属町村の元副首長を幹部として採用している団体もあります(関係者談)。当然こういった人件費も公表されていないため、不明です。このように、公共団体ではないがために、市民の目が届きにくい存在となってしまっている部分は否めません。義務はなくとも決算書の公表など、内情を明らかにすることにより、よりクリーンな組織であることを示していくべきでしょう。


(弁護士ドットコムニュース)

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