じわじわ進む、地方行政のAI導入 ドコモが描く未来とは

2018年5月24日(木)11時0分 Jタウンネット

インターネットを初めとしたITに関わる技術は、今や我々の生活になくてはならないものとなっており、「AI」という言葉を聞く機会も増えてきた。AIとは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略語だ。面接サービスの「SHaiN」や、専用アプリを用いて買い物を行う無人コンビニ「Amazon GO」など、AIに関する技術の応用は進んでいる。


実はこうした動きは企業間のみならず、地方自治体にも広まっている。AIを用いたサービスを地方自治体に導入している会社の1つが、携帯電話会社のNTTドコモ(東京都千代田区・以下ドコモ)だ。Jタウンネットは、ドコモがAIを通して、どのように地方創生を進めようとしているのか取材した。


地方公共団体との連携では、AI活用の価値が分かりやすい


ドコモは、横浜市資源循環局と共同で、AIによるごみの分別案内のサービス「イーオのごみ分別案内」を2017年3月に導入。「チャットボット」という対話型のシステムを利用したもので、捨てたいごみの名称を入れると、どこに分別をすればよいかを教えてくれる。


従来は検索システムを導入していたが、回答にたどり着くまでに時間や手間がかかることが問題点とされてきた。「イーオ」導入で効率よく情報提供できるようになり、当初は17年3月から6月下旬までの実施期間だったものの、好評だったことを受けて18年4月から本格的に導入されている。


Jタウンネットが、ドコモのイノベーション統括部クラウドソリューション担当の小林拓也氏に聞くと、


「横浜市には、民間事業者との連携を仲介する『共創フロント』という窓口があります。そちらに、いくつかドコモの技術をご紹介させていただいた際に、興味をもっていただいたのがチャットボットでした」

と、その連携の経緯について語った。連携の結果、チャットボットの導入にあたっての知見が得られたほか、顧客のニーズ傾向なども把握できたという。


「地方公共団体との連携はお客さまに対し、わかりやすい価値を提案できます。企業との連携の場合、連携企業の業界ならではの課題もあり、専門にしていなければ実用化のイメージが湧かない場合もあります。しかし、地方公共団体との連携の場合、市民や区民等の課題の解決策となるため、誰もがその課題に対し共感しやすいという点があります。また、利用ユーザ数も市民や区民等を対象とするため、社会的にも大きな影響を与えることができます」

と、地方公共団体との連携におけるメリットについても言及した。


ドコモではほかにも、各種自治体とAIに関する取り組みを行う。その一例が、名古屋市の東山動物公園との連携で導入している「教えてズーボっと」だ。


これも「チャットボット」の技術を用いたもので、園内でどこに動物がいるのかを教えてくれる。「広大な敷地を有する施設などにおいては、返却された位置情報をタップすることで、GoogleMap等で自分の位置と探しているものの位置関係を即座に確認することができます」と説明している。


今後は自治体の「定型業務」の自動化を目指す


ドコモのAI技術の強みと弱みについては、


「ドコモにはAIを用いた様々な技術があります。たとえば、翻訳や自然対話、画像認識などですが、これらをドコモで研究・開発しているため、それぞれの技術を組み合わせた取り組みが期待できます。一方、ドコモでは様々な業界のデータを有していないため、AI技術の精度には課題があります。様々な業界の企業と連携が、精度の高いAIに必要不可欠であると考えています」

と分析。今後の展望については、


「地方自治体の窓口対応業務がよりよいサービスを提供できるように定型業務の自動化を行っていきたいと考えております。具体的には、窓口に行かなければ問合せできないような、手続き書類の案内等の自動化を進められればよいと考えております」

と述べた。


こうした定型業務の自動化にAIを利用する取り組みは、ドコモのみならず、一部の地方自治体で始まりつつある。たとえば、大阪市では17年秋から、戸籍に関する業務にAIを活用。法律や過去の判断例から、AIが適切な回答を導出してくれる。


他にも、徳島市では審議会の議事録や文書の要約にAIを用いていたり、栃木県宇都宮市では市に寄せられる「よくある質問」にAIを活用し、質問を入力すると内容に合った回答がすぐ得られる仕組みだ。学習機能も持っているため、回答の精度も高めていくとしている。

Jタウンネット

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