【徹底取材】牛の除角作業が残虐すぎる! ショック死する牛も… 中韓より劣る日本の畜産環境

5月24日(水)7時0分 tocana

イメージ画像:「Thinkstock」より

写真を拡大

 牛の角というと、人間の爪のように神経も血管も通っていないと思われる読者もいるのではないだろうか? 筆者も最近までそう思っていたのだが、実際には牛の角には神経も血管も通っている。ところが、日本で家畜として飼育される牛の多くが、人に危害を加えたり互いに傷つけ合うことを防止するなど管理上の都合から、なんと“麻酔なし”で除角され、その過程ではショック死する牛さえいるというのだ。この事実に強い衝撃を受けた筆者は、動物愛護団体や企業に聞き込みを行うなど、牛の除角問題について徹底調査することを決意した。

【画像と動画はコチラから→http://tocana.jp/2017/05/post_13209.html】

■残酷すぎる除角、麻酔を使わない本当の理由

 まず、除角をはじめとする動物愛護の問題に取り組むNPO法人アニマルライツセンターの代表、岡田千尋氏は次のように現状を語った。

「日本で飼育されている牛の多くは、作業者の安全を守り、牛同士の突き合いを防ぐために除角されています。ご存知の通り、除角は一般的に麻酔なしで行われています。今年の初めごろ、ある畜産施設の従業員から内部告発がありました。除角により、牛が死んでしまったというものです。

 除角の道具は電気カッターのようなもので、まず角を切り落としてから、その後(傷口に)木炭で熱したコテのようなものをあてていたそうです。もちろん、作業員も血まみれになりながらの重労働だったといいます。

 しかしその時は、牛が興奮状態に陥って失神。獣医に診てもらうと心不全と判断され、やがて死亡が確認されたそうです。さらに、この一件があってもなお、農場主の要請で牛の鼻輪の穴開けまで麻酔なしで行われたといいます」

 なんとも悲しい事実である。それにしても、なぜ日本で牛の除角は麻酔なしで行われることが多いのだろうか?

「いくら除角に正当な理由があるにせよ、鎮静剤や麻酔を使用すれば牛に過度な苦しみを与えずに済みます。ところが、2014年度に国産畜産物安心確保等支援事業が発表した飼養実態アンケート調査報告書によると、日本では肉牛の59.5%、乳牛の85.5%が除角されており、そのうち麻酔を使用する農家は肉牛の場合17.3%、乳牛の場合は14%のみです。これは、麻酔を使用する場合には獣医師の処方が必要となり、コストがかかるためです」(岡田氏)


■農林水産省の見解は?

 では、この件について農林水産省はどのように考えているのか? 筆者が問い合わせたところ、次のような回答を得た。

「農林水産省としては、国際獣疫事務局(OIE)が示した指針も踏まえて策定された『アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針』に基づき、家畜の快適性に配慮した飼養管理の普及に努めているところです。

同指針において、除角については牛への過剰なストレスを防止するため、麻酔の使用の有無にかかわらず可能な限り苦痛を生じさせない方法を取ることとされ、除角によるストレスが少ないといわれている生後2カ月以内に実施すること等を推奨しているところです」 (担当者)

 しかし、たとえ生後2カ月でも、角に血管や神経が通っていることに変わりはなく、痛みを伴うことは間違いない。そして、残念ながら現在の方針では「麻酔を使用しなければならない」という具体的な規定がないのだ。


■激痛に苦しむ牛たちを救う企業が!

 では、なんとか牛たち救う方法はないのか? 筆者が調査を進めると、除角をせずに人と牛が共存共栄できる方法があることがわかったのだ。なんと、三重県四日市市の日新冷蔵庫株式会社が、牛の角を切断することなく、その危険を回避するための“角カバー”を販売しているではないか。早速、筆者は日新冷蔵庫株式会社に詳細について問い合わせてみた。

「牛の角カバーの開発経緯ですが、除角を初めて自分たちの目で見た時、牛がかわいそうと感じたことがスタートでした。そして、農家さんと牛たちに、ともに喜んでいただける商品を開発したいと考えたのです。

 私どもの独自調査の結果、(肥育牛の)除角の際、麻酔を使用している農家さまは0件でした。ゴムバンド等の使用率は高かったのですが、やはりコスト面や手間を考えると麻酔の使用は難しいようです。しかも、除角後の焼きゴテさえ、使用している農家さんはほとんど見られなかったのが実情です。
(中略)
 何人かの獣医師からは、現行の除角作業について『切断箇所からの細菌感染や動物福祉といった観点から感心しない』とのコメントをいただいておりますが、それでも麻酔の普及は難しいようです。そのため、弊社といたしましても角カバー着用への切替と普及に努めていきたいと考えております」(担当者)

 人間のみならず、家畜の愛護もしっかりと考えている実に立派な企業である。筆者は他にも、乳製品業者や酪農家、各協会などに問い合わせたのだが、ほとんどが「詳しいデータがない」との一点張り。乳製品業者で唯一、正式なデータを提示してくれたのは森永乳業株式会社のみという有様だ。他の組織は本当に「わからない」のだろうか? 日本社会が、畜産動物の残虐な扱いについて、目を背けているのではないだろうか?


■日本の畜産動物の扱いは中韓より劣る

 前述のアニマルライツセンターは、日本において過酷な扱いを受けている畜産動物は牛だけではないと指摘する。

「国際動物保護組織であるWorld Animal Protectionの調査によると、日本における畜産動物の扱いのグレードはDです。これは法規制、飼育環境や屠殺の問題まで総合した評価であり、グレードはA〜Gまでありますから、下位といえます。ちなみにイギリス、スウェーデン、オーストリアはA、ブラジルはB、中国と韓国でさえもCです。日本ではペットに関する動物愛護法はあっても、畜産動物に関してはほぼ規制がありません。

 しかも、牛だけでなく、日本では豚の81.5%が麻酔なしで尻尾を切られてます。豚はストレスがたまると互いの尾をかじってしまうため、それを防ぐためなのですが、より良い環境で飼育してあげれば尻尾かじりはなくなるはずです。また、同じく麻酔なしで豚の94.6%が去勢され、63.6%が脱歯されています。さらに、鶏もお互いを傷つけることを防止するためにクチバシが切り取られているのですが、83.7%は麻酔なしで激痛に苦しみます。欧米では、極力痛みがないように赤外線を用いる方法が広まっているのですが」(岡田氏)

 なんと! 日本の畜産の現場では絶え間なく残虐行為が繰り返されていることになる。

「問題の根底には、日本のアニマルウェルフェアに対する意識の低さがあります。対策としてはまず、消費者が行動すること、そして動物愛護法を変えることしかないと思います。来年に動物愛護法の改正が検討されていますが、私たちはしっかりとアニマルウェルフェアに沿った動物愛護法にするために、いま署名を集めています。よろしければご協力いただけますと幸いです」(岡田氏)

 多くの人々は畜産動物から命をいただくことで生きている。その命に感謝を忘れず、敬意を払うためにも、中韓よりも劣る日本の畜産動物の扱いを改善しなければならない。私たちはこの問題について、もっと真剣に議論する必要がある。
(深月ユリア)

※イメージ画像:ThinkStockより引用

tocana

「環境」をもっと詳しく

「環境」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ