スーパーの中に猫!キャットフード売り場に誘導してきて...... 猫天国のトルコ・イスタンブールに暮らす人に現地の事情を聞いた

2024年5月25日(土)23時59分 キャリコネニュース

キャットフード売り場で催促する猫。西村さん提供


「猫の都」と言われるトルコのイスタンブールに住み、「猫探し散歩」を日課としている——。そんな「アジアねこ散歩」さん、こと西村さんご夫妻のX(@nekosanpoch)が話題になっています。


投稿された画像では、道を歩いているとどこからともなく猫が擦り寄ってきたり、お店の商品の上にも猫が寝ていたりと、あちらこちらに猫がいるように見えます。一体どういうことなのでしょうか。イスタンブールの猫事情について教えていただきました。(取材・文:辻ひかり)


猫に出会わずに目的地に着くのは不可能なくらい猫がいる



公園の植木にいた子猫たち。西村さんXより


西村さんは、2021年3月頃からイスタンブールに住んでいるそうです。「夫の僕が30代、妻は40代、仕事は共にウェブ系です」と言います。猫の都だからと移住を決めたわけではないようですが、もともと猫好きだったお二人には居心地がよさそうです。


「イスタンブールの街を歩く時に、猫に出会わずに目的地に着くのは不可能なくらい猫がいます。以前、イスタンブールの中でも特に猫保護が進んでいるカドゥキョイという地区で実際に数えながら動画をとった時は、5分で15匹の猫に出会いました」(西村さん、以下同)


外で出会う猫のなかには、飼い猫もいるようです。


「カフェや雑貨屋など路面の多くのお店は猫を飼っていて、その子たちは近くを勝手に散歩します。なので外で見かける猫の中には飼い猫も混じっています。ただイスタンブールは都会で集合住宅暮らしの人が多いので、その猫たちが外に出てくることはないと思います。野良猫の保護は進んでおり、家猫が一番幸せという意識は共通しています」


野良猫たちはどこにいることが多いのでしょう。また、ごはんやトイレの世話をどうしているのか伺いました。


「猫が特に多いのは公園やモスク、学校などの公共の場です。そのような場所には警備員さんと清掃員さんがいて、猫の糞尿もついでに掃除してくれます。ごはんは地域の人たちが自由にもってくるほか、警備員さんがあげるケースも多いです。トルコではどのような場所でも自由にごはんを配ることができます」


たくさんの野良猫たちが暮らすイスタンブールですが、西村さんによると、野良猫への避妊や去勢手術は適切に行われているそうです。


「増えすぎないように、でも減りすぎないように、猫と人間が幸せに暮らせる環境を守るために行われています。手術が必要な猫を見つけた場合、公立の動物病院に持っていけば、全て無料で行ってくれます」


野良猫に対してこれほどまでに手厚いのは、宗教など何か理由があるのでしょうか。


「日本とは衛生観念など全ての事情が異なるので比べることはできませんが、イスタンブールの人たちはすごく寛容だと感じます。それは猫だけに向けられるものではなく、宗教的(編集部注釈:イスラム教)に不浄とされるはずの犬の保護も進んでいますし、僕たち外国人に対しても同様に大らかに優しく接してくれます。宗教だけでは説明できない優しさと大らかさが街全体にあって、猫の表情はその一つの現れだと思っています」


スーパーで猫がキャットフード売り場に誘導、商品に爪をたてアピール


公園の警備員さんに抱かれる子猫。このあとすぐ家猫になったそう。西村さんXより


西村さんのXの投稿からもイスタンブールの人々の寛容さが伝わってきます。例えば、モスクでの礼拝中、置いてあった空のベビーカーに野良猫が忍び込んだこともあったそう。少なくとも10分はそこに滞在していたと西村さんは言います。


「ベビーカーを取られた家族も周りの人も笑顔になって、みんなで写真を撮ったりして楽しんでいました」


日本では考えられない光景ではないでしょうか。スタバのソファで猫がくつろいでいる動画もあり、驚かされました。なかでも西村さんが一番驚いたエピソードを教えてもらいました。



「スーパーの中に猫がいるのには驚きました。僕がスーパーに入ると猫がすり寄ってきて、キャットフード売り場に誘導してきたんです。そこで買ってほしいものがある子どものように猫が商品に爪をたて、キャットフードの袋が破れてしまいました。それを見た店員さんは怒るのかと思いきや、優しく猫を撫でていました」


西村さんはYouTube「アジアねこ散歩ch」(@nekosanpoch)で、こうした猫たちの日常のほか、グルメ・旅行情報を配信しています。初著書となるフォトエッセイ『猫の都イスタンブールに住んでみた』も4月26日に発売しました。


猫好きさんが一度は訪れたいイスタンブールの猫事情をお届けしましたが、日本とはだいぶ異なる魅力で溢れています。私もいつか訪れようと思います。

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