なぜ?アメリカ各地の海岸で次々に打ち上げられる大量のコククジラの死骸。ミステリアスな死の原因は?

5月30日(木)9時30分 カラパイア

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 その体長は12〜14メートル。かつては北半球全域に生息していたコククジラはかつて絶滅が危惧されたが、世界的な保護活動により個体数は回復を見せているという。

 ところがだ。アメリカ各地の海岸では、謎の死を遂げたコククジラが次々と打ち上げられているという。一体何が原因なのか?
・アメリカの海岸で次々に発見されるクジラの死骸

 動物病理学者のキャシー・ブレク氏は、アラスカ州アンカレッジの浜辺に打ち上げられたコククジラの死骸を切り開きその標本を回収した。すると、2日後にまた別のクジラが上がった。

 コククジラの解体作業は困難が伴う。寒さに耐えるために蓄えられた15センチという分厚い脂肪を切るには鋭いナイフが必要だ。

 「時間が足りません。それがここの問題です」と脂肪を引っ張り出すのに苦闘しながらブレク氏は答えた。


Dead Gray Whale Washes Up on Shore in Alaska

 先週水曜日には3頭目がアラスカ州コディアック島に上がったと発表があった。

 だが、アメリカ海洋大気庁(アメリカ海洋大気庁)によれば、その3頭は今年に入って西海岸に打ち上げられた60頭のクジラの一部に過ぎない。

 しかもアラスカ以外では、カリフォルニア州で37頭、オレゴン州とワシントン州を合わせて61頭のクジラの死骸が発見されている。

 専門家はアラスカでのクジラの死骸はさらに増える見込みが高いと考えている。というのも、毎年春になると、コククジラはメキシコから北極の餌場まで8000キロを移動するからだ。

 「今後さらに多くのコククジラの死骸が上がる前触れでしょう」と生物学者のジョン・カランボキディス氏は話す。

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・クジラの死因は餓死か?環境収容力か?

 ブレク氏はNOAAの依頼で、アンカレッジ以外の場所でも死骸の標本を集めている。およそ2週間前は、ターナゲイン・アーム水路に浮かぶコククジラの死骸を調べた。

 彼女によれば、そのクジラは痩せた印象だったそうだ。

 専門家の目には、多くのコククジラは餓死したように見えるという。だが、その原因ははっきりしない。

 NOAAの推定では、北太平洋東部にはおよそ2万7000頭のコククジラがいるという。じつは1999〜2000年にも似たような死亡数の急増が見られ、そこから今の個体数まで回復したのだ。

 そして、もしかしたらこの現象の原因は単純に「環境収容力」——つまりクジラの生息域が維持できる個体数の上限に達してしまったからではないかという意見もある。

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・気候変動の影響も?

 だが近年における北極圏での温暖化と、それによる氷の融解がクジラの餌に影響を与えている可能性も疑われている。

 「温暖化との関係はあるのか? これがほかの種にも影響を及ぼすような別の要因と関係してはいないか? こうしたことを真剣に考えるべきです」とカランボキディス氏は言う。

 毎年春と秋になると、コククジラは餌を求めて哺乳類の回遊ルートとしては最長の距離を移動し、冬はメキシコ、夏は北極圏のチュクチ海やベーリング海で過ごす。

 餌となるのはアンフィポッドという小さなエビのような生物で、それらを海底から吸い上げては、クジラひげで泥や海水を濾しながら食べる。

 北極では、世界のほかの地域の2倍もの速さで温暖化が進んでいる。昨年夏のベーリング海は特に暑く、例年より9度気温が高かった。また前回の冬などは、氷の量が記録史上最低となった。


・クジラの死因は今もなお謎のまま

 アメリカでは、もしクジラの死骸を発見したらすぐに通報するよう呼びかけられている。死骸が腐敗してしまう前に、きちんとしたデータを集めるためだ。時間が経過したクジラでは、内臓がほとんど液化してしまい、まともな検死ができなくなってしまう。

 標本の質にあまり楽観的ではなかったブレク氏だが、クジラの状態は当初予想されていたほど悪くはなかった。

 脂肪を切り取り、腹部へ切り進むと、体内に充満していたガスが放出され、悪臭が漂い始める。これに耐えながら慎重に内臓を切り取ると、思ったよりもきちんと形が保たれていたのだ。

 クジラのミステリアスな死の原因特定につながる手がかりを得るために、これらは後で分析されることになる。

 過去、コククジラは乱獲によって絶滅しかけたことがある。しかし絶滅危惧種保護法の対象となったおかげで、個体数は回復し、1994年に保護法の対象から除外された。

References:dailymail / ktoo/ written by Scarlet / edited by parumo

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