一生モノと思っていたインプラントに大問題、歯周病で脱落も

6月3日(日)7時0分 NEWSポストセブン

一生モノかと思いきや…

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 口腔内の問題は、放置すると全身疾患につながっていくこともある。『やってはいけない歯科治療』著者で、“歯科業界に最も嫌われるジャーナリスト”の異名を取る岩澤倫彦氏が患者に知らされてこなかった重大リスクをレポートする。


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 歯を失った患者にとって、インプラント治療は魅力的に映る。チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込むので、入れ歯よりも強く噛めるし、見た目が自然だ。


 インプラント治療は自費診療なので、約30万〜70万円(1歯あたり)と高額な費用が必要となる。中には“一生使える”と聞いて大枚を叩く人もいるだろうが、何年か経過したあとに、それらが全てムダになる事態が起きている──。


 今年5月、スイスに本部を置く、FDI(国際歯科連盟)が、世界各国から24人の歯科医を招聘した。テーマは「インプラント周囲炎」。日本から参加した弘岡秀明氏(スウェーデンデンタルセンター院長)によると、いま、世界中で“インプラントの歯周病”が大問題になっているという。


「インプラント周囲炎は、現在のところ根本的な治療法がありません。進行すると、インプラントを撤去するしかない。年内にはFDIから診断基準などが出ますが、インプラント治療を行なっている歯科医にもこの“病気”を理解していない人が多く、患者にも情報が伝わっていません」


 インプラント周囲炎は、細菌感染や過重負担の結果、インプラント周囲の骨が溶ける症状。自覚症状がないまま進行するのが特徴で、悪化するとインプラントを支える骨がなくなってしまう。原因は、歯周病と同じくバイオフィルムによる感染が有力視されている。予防方法は、専門性の高い施設での定期的なメンテナンスと、患者自身による毎日のセルフケアだ。


「感染を防ぐには、インプラントが検査しやすい上部構造であること、そして人工歯が取り外し可能なネジ止めであることが重要です」(弘岡氏)


 歯科治療の先進国・スウェーデンでは、インプラント周囲炎の発生率が約15%と報告されている。日本では正確な実態を把握できていないのが現実だ。


◆高齢者のインプラントは「諸刃の剣」


 インプラントには様々な種類、メーカーがあり、玉石混交となっている。選択を間違えると、悲惨な老後となる可能性があることを知るべきだ。


 インプラントの構造は、大きく二つに分かれる。「ワンピース型」は、フィクスチャーと呼ばれるチタン製人工歯根と人工歯を固定するアバットメント(連結部)が一体となっている。製造販売元のA社は、『オペが一回で完了、時間と治療期間の短縮、テクニカルエラーとコストの軽減』と宣伝。費用も10万円台からあり、格安インプラント・クリニックで多く使用されている『早く、簡単、安い』タイプだ。


 一方、「ツーピース型」は、フィクスチャーとアバットメントが独立した構造。手術は2回に分けて行なわれ、3〜6か月の時間が必要。『遅く、面倒、高い』と言える。インプラント治療の権威である、小宮山彌太郎氏(ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター院長)は、こう指摘する。


「ワンピース型は、過大な力が加わった時、フィクスチャーに直接負荷がかかるので、最悪の場合、フィクスチャー本体が壊れたり、骨との結合がなくなって、撤去しなければなりません。これに対してツーピース型は、過大な力に対してアバットメントが安全弁として壊れ、一番大事な部品であるフィクスチャーと、周囲組織を守ります」


 重要な点が高齢者になった時のリスクだ。認知症になって、自分で歯の手入れができないと、インプラントが凶器になる可能性があるのだ。


「介護施設に入っている認知症の高齢者は、ワンピース型の土台だけが二本飛び出して、反対側の歯茎を突き刺してしまい、血みどろになっていました。ツーピース型なら、アバットメントを外すだけで解決できるので、こんな悲惨なことは起きません」(小宮山氏)


“インプラント治療は、手術が終わってから始まる”と言っても過言ではない。専門的なメンテナンスを受けていないとしたら、インプラントを失う可能性がある。すぐに専門施設に相談すべきだろう。


※週刊ポスト2018年6月8日号

NEWSポストセブン

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