私たちの生きる空間を満たし続ける、大林組のサステナビリティ

2023年6月5日(月)18時0分 ソトコト

株式会社大林組(以下大林組)は「スーパーゼネコン」として知られる、日本を代表する総合建設会社です。「地球に優しい」リーディングカンパニーを企業理念とし、近年そのサステナビリティへの取り組みが注目されています。学生編集部は、ゼネコンである大林組が建設を通してどのように持続可能性を実現しようとしているのかについてまず興味を持ち、建設事業以外にもグリーンエネルギー事業など様々な事業を通じて、SDGsのあらゆるゴール達成への貢献に取り組む大林組の、 サステナビリティへの考え方を知りたいと考えました。





社会や業界の抱える課題を踏まえて6つのマテリアリティを定め、SDGs達成に貢献する取り組みを推進する


学生編集部 本日は大林組のSDGsやサステナビリティの取り組みについてお話をうかがいたいと思います。
瀨古健太さん(以下、瀨古) 大林組のサステナビリティの取り組みは、SDGsが入り口ではありませんでした。言葉にしたものとしては、2017年に策定した中期経営計画において掲げた「ESG経営」が最初でした。今では広く知られるようになりましたが、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス/公正な判断・運営のための監視・統制システム)を重視した企業経営のことです。
企業が利益のみでは評価されなくなり、サステナビリティの取り組みを対外的に示すことが必要になってきたことから、翌年にはESGの観点からの重要課題であるマテリアリティを6つ(環境・品質と技術・労働安全衛生・人材・コンプライアンス・サプライチェーンマネジメント)設定しました。
大林組がステークホルダーから求められていることや社会の課題を考えてマテリアリティを特定する中で、切り離せないものとしてSDGsが見えてきました。私たちがマテリアリティとして定めた重要な課題と関連して推進している取り組みをSDGsと紐付けていったところ、結果的に17のすべてのゴールと結びつくこととなりました。こうしてESG経営の推進やSDGs達成への貢献の取り組みが可視化されることになりましたが、それは大林組がこれまでも進めてきた基本理念の実践を続けることに変わりはありません。
その後マテリアリティごとに取り組むべきこと、アクションプランを策定して、毎年度の経営計画、事業施策に落とし込んできました。マテリアリティに対する進捗状況はKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)という指標を用いて毎年度確認・評価しており、その結果に基づき計画・施策を見直しています。SDGsのゴールを目指して取り組みを行うというより、ESG経営を通じてSDGsのそれぞれのゴールの実現に貢献していくという姿勢です。


事業としてのカーボンニュートラルとウェルビーイング


学生編集部 様々な取り組みをなさっていますが、特に注目している業界課題・社会課題はありますか?
瀨古 建設業全体の課題としては、業界に対するネガティブなイメージがあります。工事における事故や品質上の不具合によって皆さまに不安を抱かせてしまわないよう、それらの発生防止を第一にしています。また、少子高齢化の影響もあり、入職者の確保と定着も課題となっています。そのためには、生産性向上による生産規模の維持とともに、労働時間の縮減も必須と考えています。働きやすい環境の整備は非常に重要と捉えており、品質・安全・人材の課題はマテリアリティに反映されています。
学生編集部 人材の確保に関して、採用活動の場面で注目していることをお聞きしたいです。
樋田理沙さん(以下、樋田)  近年のSDGsへの若者の関心はかなり高く、学生の方もSDGsに積極的に取り組んでいる会社を希望する時代になりました。様々な事業を通してSDGsに対して取り組んでいることは大林組の強みですが、世間での認知は高くはないのではないかと思います。私は人事部という立場なので主に学生の方へ向けてになりますが、取り組んでいることを積極的に発信し、もっと広めたいと考えています。できれば、会社だけでなく、業界のイメージが変わっていくと良いですね。
黒崎まりなさん(以下、黒崎) 大林組として注力する社会課題は、カーボンニュートラルとウェルビーイングです。2022年からの中期経営計画の重要なテーマとなっています。カーボンニュートラルは、環境の観点で喫緊かつ最重要課題として掲げています。
瀨古 ウェルビーイングについては、建設業として、まず安全安心に力を入れています。自然災害の多い日本では強靭なインフラ、災害に強いビルやまちづくりが重要です。そして快適さという面では、施工して建物を発注者に引き渡した後、利用者が快適に過ごせるように考えています。例えば建築物の木造・木質化は、カーボンニュートラルへの貢献にとどまらず、湿度調整効果や木の香りによるリラクゼーション効果が期待できます。また、横浜に建設した純木造の研修施設Port Plusでは、バイタルデータを利用した室内環境の調整を行っています。システムやツールの導入によってウェルビーイングな暮らしを実現する研究をしています。





学生編集部 企業のウェルビーイングというとまず組織内が思い浮かびますが、事業そのものが社会の中でウェルビーイングに繋がるのですね。内部の取り組みについても事例をお聞きしたいです。
黒崎 ダイバーシティ&インクルージョンを推進していくことで、いろんな人たちが働きやすい会社にしようと取り組んでいます。性別問わず全ての人が利用できる「みんなのトイレ」、いわゆるオールジェンダートイレの設置もその一つです。この「みんなのトイレ」の看板は社会福祉法人の方に製作を依頼しており、活動の中でも当社内だけでなく社会全体のダイバーシティ&インクルージョンの推進にも貢献していくという視点を持って進めています。その他には、子育てしながら働きやすい環境づくりのため搾乳スペースを設置したり、多様な宗教に対応するため会議室をプレイヤールーム(礼拝室)として開放したりしています。このような取り組みは社員の働きやすさにつながり、マテリアリティに掲げる「人材の確保と育成」にもつながっていくと考えています。





社内で共有される高い意識


学生編集部 社内のESG・SDGsの推進はどういったものなのでしょうか?
黒崎 ESG経営に対する理解を深めるため、グループ全社員に向けてeラーニングを実施しています。また、大林組の取り組みがSDGsにどのように貢献しているかを社内外の誰もが把握できるように、SDGsの各ゴールと紐づけて整理し、社外webに公開しています。環境への配慮や人権などの社会課題に関しては、社長の蓮輪が自ら全社員にメッセージを発信するなど注力していることもあり、課題解決への意識は社内に浸透しています。ESG・SDGs推進部発足当初は、従来の取り組みや実績をいかにESGと結び付けていくかが中心でしたが、今ではESGの課題解決を意識して主要事業の施策に織り込んで取り組まれるようになってきました。
 
学生編集部 啓発活動の中で大変だったことはありますか?
瀨古 本業の建設業に直接結びつく安全や品質に対する取り組みは理解が得やすい一方で、一見事業と結び付かない課題については必要性について理解を得ることが難しい場面もあります。そのような場合には投資家の意見や研究データ等の具体的な情報を用いて納得してもらえるようにすることも大切にしています。


未来を見据え、今に敏感に。これからも変わり続ける


学生編集部 今後の展望、目指している姿についてお聞かせください。
黒崎 「Obayashi Sustainability Vision 2050」で描いた2050年の「あるべき姿」は「地球・社会・人のサステナビリティ」が実現した状態と定義しています。その目標実現に対してバックキャストして、今何をしなければいけないのかを毎年度の経営計画や事業別施策に落とし込んで取り組んでいます。2030年を達成目標年とするSDGsはその過程にある国際的な共通目標であり、当社は「あるべき姿」に向けて取り組むことでSDGsの達成に貢献していきます。今年度から始まっている「中期経営計画2022」ではカーボンニュートラルとウェルビーイングを重要なテーマとしビジネス機会と認識していて、今まさにそこに注力して技術開発を進めながら強みを伸ばしていこうと考えています。
学生編集部 2050年のビジョンを定めてから、時間と共に見え方が変わってきたようなところはありますか?
瀨古 長期にわたる計画は、先の未来を見据えて作成するため、時代が進めば、自然に求められていることややるべきことが変わってきます。仕事をする中で、求められるスキルや能力も常に変化していることを日々実感しています。将来を読むことは難しいですが、市場や社会の変化を敏感に感じ取って、その都度求められている技術を開発、研究していくことが必要です。時代のニーズに対応して敏感に変化を続けていくのは全く悪いことではなく、求められていることに合わせて変わっていく、それこそが会社のあるべき姿だと考えています。
学生編集部 求められるものが変わってきていることはどのような場面で実感されていますか?
瀨古 発注者から環境性能の高い建物を作りたいというお話がきたり、脱炭素に向けた取り組みに関する相談が寄せられたりといったことが増えています。少し前はいかに早く、費用を抑えて経済的に建物をつくるかということに焦点が当たっていたのですが、今では、いかに環境配慮を意識した建設計画・建物とするかということにシフトしつつあります。需要が高まっている環境性能の高い商品ですが、コストとのバランスを見て選ばれないこともまだ多くあります。環境に配慮した建物を普及させるためには、コストを低減する一方で、環境に配慮したサステナブルな建物であるということが社会的な価値としてお客様に認められ、評価されることが重要だと考えています。
学生編集部 本日はありがとうございました。


取材を終えて


菅野 環境性能の高い商品を提案する技術力と、浸透した社員一人ひとりの高い環境意識は、大林組の大きな特徴だと感じました。環境負荷といった世間の持つ建設業へのイメージは良いものではない、と考えながらも、SDGsを「ゴール」ではなく「通過点」として捉えて精力的に取り組んでいることがダイレクトに伝わり、感銘を受けました。正解がない中でも行動に起こし、常に振り返りながらより良いものへと改善していくということは私自身の生活の中でも実践できることであり、環境に対してだけでなく、様々な場面でこのような意識を持ち行動していきたいと思いました。
赤星 様々なサステナビリティの取り組みは、大林組として為すべきことを考えてきたことの結果であると分かりました。SDGsという言葉ばかりを重視するのでなく、実現すべき社会の姿を見据えていることが印象的でした。社会課題に取り組むこと自体やその宣伝が目的になることなく、誠実に取り組んでいるという誇りが伝わりました。そして、軸を持ちながら、修正していくことこそがあるべき姿であるという意識に感銘を受けました。大林組の考えと取り組みが、より広く知られるようになることを願います。

ソトコト

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