【麻薬密輸】日本人、禁固16年から一転、終身刑に−恐ろしきインドネシア司法

6月6日(土)13時0分 tocana

画像は「YouTube」より

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【魔都ジャカルタシリーズ】インドネシアは、世界の摩訶不思議が全て集まった国だ。最先端の技術と古来からの発想が複雑に混ざり合い、インドネシア国民は他に例のない驚きの文化を築き上げた。そんな国にも今、高度経済成長の波が押し寄せている。だが国民が受け継いできた摩訶不思議の宝箱は、様々な怪奇現象を生み出し続けている。そう、今でも——。

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 以前、トカナで報告した、インドネシアに2.3キロの覚せい剤を持ち込み、重罪を言い渡された日本人・川田大被告(73)が、先月20日、終身刑を言い渡された。「世界銀行幹部を名乗る男にだまされた。終身刑の判決には到底納得がいかない」と主張していた川田被告だったが、結局は控訴を取り下げる道を選んだ。すなわち終身刑の確定である。

「薬事犯に恩赦はない」

 筆者は川田被告が逮捕されて間もないころ、このニュースをトカナで報告した。その際に「この裁判は、終身刑か有期刑かを議論するものになるだろう」と書いた。その予想自体は的中したが、判決に至るまでの過程は非常にイレギュラーなものだった。

 まず、筆者が先の記事を書いた数日後、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領がジョグジャカルタにあるガジャ・マダ大学で講演を行った。その中でジョコ氏は、「我が国の麻薬汚染は深刻である。薬事犯に恩赦を与えてはいけない」と明言したのだ。

 ウィドド大統領の言うように、インドネシアの麻薬汚染は急速に広がっている。首都ジャカルタのいくつかのディスコでも、数十ドル程度の金さえあれば2〜3グラムほどのブツ(純度はともあれ)を買うことができてしまう。そのディスコの店名は、ここでは明かせないが。

 話は逸れたが、ウィドド大統領の講演から今日に至るまで、インドネシアに麻薬を持ち込んだとされる外国人死刑囚の刑執行が、容赦なく進められた。その数、実に12人。ウィドド大統領は各国首脳の減刑嘆願に対しても一切応じなかった。

 となると、川田被告にも情状酌量の余地はないのではないか。だが、西スマトラ州検察は、法廷で予想外の求刑を口にした。

「川田被告は禁固16年及び罰金刑に処すのが妥当である」

 インドネシアにおいて、2キロ超の覚せい剤を持ち込んだ被疑者への検察求刑が有期刑というのは、まさに幸運と言ってもいい。これで死刑はおろか終身刑も回避できると、日本のマスコミは推測した。

 だが、それで終わらないのが、インドネシア司法の恐ろしい部分である。

■検察求刑を上回る

 日本では裁判所が検察求刑より重い判決を出すということはまずない。しかしインドネシアは違う。13年1月、バリの地方裁判所では検察から禁固15年を求刑されていたイギリス人女性が、判決で死刑を言い渡されたということがあった。彼女は4.7キロのコカインを所持していた罪で逮捕されていた。

 川田被告の裁判を担当した西スマトラ州地裁のジョン・エフェディー裁判長は判決文の中で、

「現在、我が国は麻薬の巨大消費地と化している。川田被告の行為は、我が国の若者を死に追いやるものだ」

と、言及した。情状酌量の余地は一切ないとした上で、川田被告に終身刑を告げたのだ。そもそもエフェディー裁判長は公判の際、「世界銀行幹部を名乗る男にだまされたというあなた(川田被告)の話は、非常識過ぎてまったく信用できない」と口にしていた。この時から、川田被告の運命は決まっていたのかもしれない。

 インドネシアの刑務所は日本のそれよりも開放的とはいえ、その分弱肉強食の関係が根付いているという。一言で言えば、「金を持っている囚人が強い」というものだ。財力が秩序という世界で、この70代の日本人は余生を過ごさなくてはならない。

 インドネシアにおいて、麻薬は、かかわったすべての人の人生を、まるごと奪い去ってしまうのだ。
(文=澤田真一)

※画像は「YouTube」より

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