アメリカ最恐の未解決事件「謎のポラロイド写真」とは?

2023年6月5日(月)17時30分 tocana

 警視庁の統計によると、令和3年の行方不明者数は79,218人。数字だけみるととても多いように感じられるが、昭和31年以降で最少の記録だという。行方がわからなくなったしまった人はどこに行ってしまったのか。中には犯罪に巻き込まれてしまったケースもあるだろう。


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※ こちらの記事は2017年7月19日の記事を再掲しています。


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 アメリカでは失踪事件が多く、日常茶飯事と言っても決して大げさではないくらいだ。2013年のFBI統計では1日平均2000人が行方不明となっている。その中でも特に不気味な謎として人々の記憶に残るのが、1988年の未解決事件である「謎のポラロイド写真」である。


19歳の女子大生が忽然と行方不明に

 1988年9月20日の朝、19歳のタラ・カリコ(キャリコ)はニューメキシコ州ベレンにある自宅から、マウンテンバイクに乗って出発した。その日は秋晴れで、タラはソニーウォークマンで音楽を聴きながら約27キロをサイクリングし、その後にはボーイフレンドとテニスをする約束をしていた。しかし、それがタラの家族が彼女を見る最後の時になってしまった。


 家を出る時、タラは母親のパティ・ドエルにふざけて「正午までに私が戻らなかったら、探しに来て」とジョークを言ったという。ところが本当に正午が過ぎてもタラは帰宅せず、パティはだんだん心配になってきた。


 気が気でなくなったパティは家とその周辺を車で回ってみたが、タラはいない。彼女はパニックになりそうになるのを抑えつつ、車をゆっくり走らせると道路の側溝付近に、タラが家を出る時にウォークマンで聞いていたロックバンド「ボストン」の曲が入ったカセットテープが落ちているのを発見した。


 パティは直ちに警察に電話をかけた。タラはニューメキシコ大学バレンシア校に通う優秀な大学生で、いきなり失踪する理由は皆無であった。パティは娘が誘拐され、その際、ボストンのテープは手がかりとしてわざと落としたのだと考えた。


 しかし当初、警察は家族や友人たちがいくら訴えてもタラが18歳以上だという事を理由に介入を断った。しかしその後、道路の脇にウォークマンの破片、自宅から約32キロ離れたキャンプ場に近い溝にタラのピンクのマウンテンバイクが捨てられているのが見つかり、警察の態度は変わった。


 ニューメキシコ州警察はタラを探す手がかりを精力的に探し始めた。7人の目撃者が見つかり、タラが自宅から約3キロの地点で自転車に乗っているのを見たとの証言を得た。そして目撃者のうち5人が、キャンピングカーをけん引した1953年型フォードトラックが、タラの自転車の後にぴったりついていたと話した。タラはヘッドフォンで音楽を聴いていて、トラックに気づいていなかった様子であったとも証言した。


謎のポラロイド写真

 結局、何の手がかりも見つからず、時間ばかりが経過した。そしてタラが失踪した翌年の1989年夏、タラの家からはるか離れたフロリダ州ポートセントジョーの食料雑貨店で、買い物に来た女性が駐車場に落ちていた1枚のポラロイド写真を見つけた。


 その写真には手を縛られ、口にガムテープを貼られた10代にしか見えない少女と、その子よりさらに若い男の子の2人がカメラを見つめていた。彼らはどちらもベッドの上に横たわっていて、それはバンやワゴン車の後部スペースのようにも見えたが、背景が暗いので警察は撮影場所を特定できなかった。


 写真が見つかった場所には白いトヨタのバンが駐車されていて、運転手は口ひげのある30代白人男性であった。写真の女の子はタラに似ており髪、目、皮膚の色合いが同じで、またタラに傷痕があった右脚と同じ箇所に変色が見られた。また写真の女の子の隣には無造作に本が置かれているが、それはタラの好きな作家の本であった。パティは写真の女の子は娘であると確信した。


 フロリダ州で見つかった写真の調査を担当したガルフ郡のヌージェント保安官によれば、写真の2人は怯えているように見えるという。この写真を悪ふざけか、あるいはドラマ撮影中に撮られたものではないかという意見もあったが、ヌージェント保安官はこの写真は現実のものだと感じた。


 タラが失踪した1年後、有名なテレビ番組の「Unsolved Mysteries」がタラに関するエピソードを放送した。そしてこの事件は、「America’s Most Wanted」と「48 Hours」でも取り上げられ、全米で誰もが知る有名な事件となった。


ある証言

 この不思議な事件は全米中の話題になったにもかかわらず、未解決のままだ。もちろん、いくつかの仮説はある。


 2008年にニューメキシコ州バレンシア郡のリベラ保安官は、タラに何が起こったかを正確に知っていると語った。地元の当時10代の少年2人が運転するトラックがタラの自転車にぶつかり、彼女は死亡した(事故が公になるのを恐れて、彼らがタラを殺したとの説もある)。


 そして彼らの両親や友人が遺体や犯罪の隠ぺいを助けたというものであった。そしてリベラ保安官は彼らの名前も知っているが、証拠となる死体がないので、罪に問うことはほとんど不可能だと語る。そして死体はタラの家からそれほど離れていない場所に埋められ、犯人たちはもちろんその場所も知っているはずだと付け加えた。


 この不気味な写真についても、謎は解けていない。FBIは写真を調べたが、その女の子がタラかどうかを判断できなかった。その後、スコットランドヤードの写真分析官が「写真の女性はタラ本人」と結論付けたが、一方で米国ロスアラモス国立研究所は「写真の女性とタラは別人」という結論を出した。


 また写真の男の子は1998年4月に姿を消したニューメキシコ州のマイケル・ヘンリーではないかと言われ、タラの両親とマイケルの両親は共に捜査官に会った。しかしその後1990年にマイケルの遺骨がキャンプ場付近で見つかった。警察は彼が山で道に迷い、死亡したと結論づけた。その結果、今でも写真の若い女性と男の子がどこの誰であるか全く謎のままなのである。


 年月は流れ2002年にタラの父親、そして2006年には母親が亡くなった。FBIはタラが見つかった時のために、母親のパティからDNAを採取しておいたという。両親とも最期までタラはどこかで生きていると信じていたという。


事件の再調査が始まる

 そして2013年には連邦国土安全保障調査部、ニューメキシコ州警察、バレンシア郡保安官事務所、アルバカーキ警察、ベルナルリージョ郡が合同チームを組み、6人が専任調査官としてタラの事件を再調査することが決まった。


 チームの一員であるベルナルリージョ郡保安官ダン・ヒューストンは記者会見で、今後この事件はメサ・デル・ソルの連邦施設にある新しい機器を使用して、古い証拠を精査し直す予定だと語った。そして「テクノロジーは過去25年間で大きく変わりました。あの時、私たちができなかったことを今はやれるでしょう」と答えた。


 タラの親戚もいまだ諦めてはいない。インターネットを使って、全国の何千人もの人々が現在もタラを探そうと試みているのだ。
参考:「ANONYMOUS」「 Albuquerque Journal」ほか

tocana

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