『Mardelas III』メンバーが各キャラクターに扮した仁義なきコンセプトアルバム!「Mardelasは4人それぞれに強い個性があって、それが売り」

6月9日(土)19時0分 おたぽる

 国内のハード・ロック/メタル・シーンを牽引する4人組、Mardelasがサード『Mardelas III』をリリースした。ベーシストを交代しての初アルバムで、何とこれがMardelas流“仁義なき世界”を舞台としたコンセプト・アルバムとなっている。蛇石マリナ(vo)、及川樹京(g)、弓田秀明(ds)に加え、新加入した本石久幸(b)も含め、メンバー全員が実名で物語の登場キャラクターに扮するという仰天アイディアなど、注目のニュー・アルバムについて、蛇石&及川にたっぷりと語ってもらった。

──新作について語ってもらう前に、まずはベーシスト交代の件から。前任のhibikiさんの脱退、後任の本石さんの加入の経緯について教えてください。

及川樹京(以下、及川):hibikiの脱退については、簡単に言うと方向性のちがい……でしょうか。彼の本心は、本人に訊いてみないと分かりませんが。後任のもっさん(本石久幸)は、もともと自分と同じバンド(SCREAMING SYMPHONY)で活動していたベーシストで、最初は「いいベーシストいたら紹介してくださいよ〜」とお願いしていたんです。でも、なかなか求めるレヴェルのプレイヤーが見つからなかったので、自分からすると、素性も(ベースの)腕も分かっている彼に、サポートからお願いすることになりました。

蛇石マリナ(以下、蛇石):hibikiとは今でも一緒にイヴェントをやったり、交流はあるので、つまらない仲たがいではないです。彼は忙しいバンドを色々掛け持ちしていて、バンドのスケジュールが組み辛くなっていたのも事実なので、いま思うと、脱退は必然だったのではないでしょうか。その後オーディションを行ない、沢山の方とスタジオに入りましたが、hibikiと正反対のタイプである本石が、「最もバンドに合う」とメンバー満場一致し、サポート期間を経て加入に到りました。もともと樹京と同じバンドにいたので、素性もハッキリしていましたし、その辺の安心感があったのも大きいですね。結果的に、新作で“素性の知れないキャラ”になりましたけど(笑)

──新作『Mardelas III』はオリジナル・ストーリーを下敷きにしたトータル・アルバムとなっていますが、このタイミングでこれをやろうと思ったキッカケは?

蛇石:実は、こういったコンセプトの曲は、“魔界都市新宿歌舞伎町シリーズ”としてファースト・アルバム('15年『Mardelas I』からずっとあったんです。ファーストの「D.D.C.」や、セカンド『Mardelas II』('16)の「D.G.L.」、他にも新宿で飲んでいる女という設定の曲「Cheers!!」や、会場限定シングルに収録されている「Jaywalker」などもそうですね。

 そういった舞台を背景に、今回のような世界観が確立されたのは、セカンド収録の「蛇に牡丹」いう曲によってでした。“演歌ブルース・ロック”と言いますか、ロックと演歌が好きな私の趣味が存分に反映された曲調で、“刺青”をモチーフに極道の男との泥沼恋愛をテーマにしています。セカンドはとてもヴァラエティに富んだアルバムに仕上がっていますが、その中でも特に「Mardelasにしか出来ない曲だ」と評価をいただいたと思っています。そして、本石の加入が最終的な決定打となりましたね。ヒットマンの役は、このバンドに限らず、このシーンにいるミュージシャンの中でも、彼にしか出来ないと思いましたから(笑)

──コンセプトのストーリーを考えたのは?

蛇石:私が考えました。

──歌舞伎町を舞台にした裏社会モノということで、人気ゲーム『龍が如く』を思い出しました。ただ、オープニング曲「Mardelas the THIRD」を聴くと、『ルパン三世』も入っていますよね? また、登場人物の相関図の緻密さと複雑さは、いわゆる“海外ドラマ”的だとも思いました。それぞれ参考にしたり、イメージしたということはありますか?

蛇石:感じていただいたエッセンス、その通りです。紅一点のバンドとなると、どうしても女性ヴォーカルが大きく前に出て、そこにだけスポットが当たりがちになりますが、このバンドはそうしたくないんですよね。4人それぞれに強い個性があって、それが売りですから。そう考えた時に、『ルパン三世』の構図が理想的かつ、“3”枚目(のアルバム)というタイミングもあって、今しかないと思ったんです。MV内に登場する、らーめん弓ちゃんの前の通りの道路名もそこにかけ、“三世通り”になっています。ちなみに、道路番号は(アルバムの)発売日ですね。

 複雑なストーリーの組み方に関しては、私が海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の大ファンでして、その辺りの影響が強くあると思います。ファンタジーよりもヒューマン・ドラマの要素が強いドラマなので。

──メンバー全員が物語の登場人物となり、しかも実名がそれぞれキャラクター名にそのまま採用されているのはユニークだと思いました。これも蛇石さんのアイディアですか?

蛇石:そうです。本石が加入した時点で、このコンセプトをやるにあたって欠けていたピースがそろったと思いまして、それぞれの個性を活かしたキャラクターを描きました。それぞれの性格の延長線上にあるので、本人たちにも気に入ってもらえたようで良かったです(笑)

──アルバム・タイトルは、これまでの『〜I』、『〜II』という流れをくんで、今回『Mardelas III』になったのだと思いますが、『〜III』だとコンセプト・アルバム、トータル・アルバムだということが伝わり難いとは思いませんでしたか?

蛇石:先ほどもお話しした通り、こういったコンセプトは、元々Mardelas特有の、お得意の世界観だったんですよ。それをアルバム全体で、より振り切らせたのが今回の『Mardelas III』なので、ファーストからの流れはしっかり汲まれたモノになっています。『〜III』からMardelasを初めて聴かれた方で、コンセプト・アルバムだということを知らなかったとしても、他のバンドにはないMardelas節を感じてもらえれば、それで全然いいと思っていますよ。

及川

──物語と音楽はどちらが先でしたか? シングル既発曲が2つありますが、そのシングル・リリース時には、もう物語やコンセプトは見えていたのでしょうか?

蛇石:音楽性の方向は(シングル・リリース時には)見えていました。“魔界都市新宿歌舞伎町シリーズ”を続行しようというのも決めていましたが、具体的なストーリーは、その時点ではまだ出来ていなかったですね。現体制になって、キャラクターそれぞれのバックグラウンドの物語から書き始めましたから、ストーリーが出来上がったのはその後です。

──曲作りはどのようにして? 蛇石さん、及川さんの単独作もあれば、2人の共作曲もありますが、それぞれどのように仕上げていくのですか?

蛇石:共作は大体、樹京発のデモから歌メロを中心に、2人で意見を出し合いながら完成させていく感じですね。

及川:自分が作曲する場合は、歌メロ先行、オケ先行など様々ですが、最終的には、打ち込みとギターでデモをかなりかっちりと作っていきます。それをメンバーに投げてからプリプロですね。歌メロは基本鼻歌で、それを打ち込みで音符にしていく。下手クソな鼻歌なんですけど、これは密かなこだわりなんです(笑)

──蛇石さんは作曲時、どんな楽器で?

蛇石:キーボードで打ち込みです。アレンジに関しては、樹京に投げたり、自分でやったりしながら、最終的にメンバー全員でスタジオにこもって完成させます。このプリプロが最も大事で、ここで時間をかけるので、レコーディング本番はいつもスムーズに進みますね。

──「Mardelas the THIRD」は、言わばギター・インストながら、作曲は蛇石さんです。ヴォーカルが書いたメロディをギターで弾き、ギターで歌わせるというのはいかがでしたか?

蛇石:初めてのインスト曲で、他人が“歌う”曲を作ったのも初めてですね。樹京のギターは、一言でいうと“歌心”だと思うんです。私としては、樹京に“歌わせる”曲として作りました。

及川:ぼくは、この哀愁溢れるメロディにギターで命を吹き込むには「どうしようかな?」「どう料理してやろうかな?」とワクワクしました。いま思うと、ファースト・アルバムを出した頃は、こういうギターは弾けなかったかもしれません。最終的には、かなりの“泣き”になったんじゃないかと思います。

──PV「Mardelas the THIRD」〜「World vs Honor -仁義なき世界-」は、かなり本格的なドラマ仕立てになっていますね? 撮影時のエピソードや、裏話、苦労話などありましたら……。

蛇石:監督や映像プロデューサーとは、お仕事以外のつながりがあり、もともと仲好くさせてもらっている間柄だったので、飲みに行ったりしながら、どんなMVにするか何回も作戦会議をしました。コミュニケーションの質って本当に大事で、そうでなければ、あそこまで手の込んだMVは作れなかったと思います。

 エピソードとしては、朝4時から始まり、かなりタイトなスケジュールの中での凄まじい衣装チェンジは本当に大変で、ヘアメイクさんと共に奮闘しました。あとはやっぱり、弓田のオネエ・メイク。タオルを詰めてちゃんと胸を作ってみたり、相当に楽しませてもらいましたね(笑) 弓田と目を合わせるシーンなんかは、笑いをこらえて、NGを出さないようにするのが大変で……!

及川:とにかく演技が難しい! 今回はドラマ・シーンがホント多くて、演奏シーンとちがい本業ではないので、最初は何か恥ずかしかったり…。でも、何事も思いきりが大事ですね。次回作までにそちらも練習しておこうと本気で思いました。

──合計で7分近くになるこの2曲を先行公開されるビデオ用に選んだ理由は? 所謂シングル的な考え方をしたら、もっとコンパクトでキャッチーな曲を選びがちですが?

蛇石:コンセプト・アルバムというのと、メタルでは“インスト〜リード曲”の流れをセットでやるのは、よくあることですからね。(「Mardelas the THIRD」は)初のSE曲でもありますし。リード曲を「World vs Honor」にしたのは、インパクトがあり、歌メロもキャッチーなのは勿論として、ファースト・アルバムのリード曲「Eclipse」以来の(及川との)共作だったというのもあります。単にシングル・カット出来そうな曲を選んでPVを作る……というのは、今回はちがうかなと思いました。

及川:「World vs Honor」を除くと、実は──僕は「Deception」、蛇石は「Bullseye」というお互いのリード・トラック的な曲があって、それぞれ候補には挙がっていたんですよ。でも、最終的にお互いの作曲における良いところを詰め込んだ、この曲にしようということになりました。SEからの流れは、3枚目を出すにあたって、最初から「こうしよう」って決めていましたね。定番ですし。2曲目で一気に世界観が広がる感じを表現出来たんじゃないかな……と思います。

──及川さんのギター・ソロは、楽曲によってかなり弾きまくったり、やや抑え気味にしたりと、よく練られ、考えられていると思います。そうした押し/引きのバランスはどのように決めていますか?

及川:う〜ん……最近は、頭で考えなくても出来るようになりましたけど、一番意識していることは、曲の雰囲気、空気感をとにかく大事にすることですね。

 若い頃はギター・プレイありき……みたいなアレンジになりがちでしたけど、今は最終的に、芸術作品として曲を最高のモノにしたいという気持ちで、色々と決めています。ギター・ソロも、“ソロ”というよりは“間奏”“曲の一部”だと思っていて、次の歌に対してどうつなごうかな…とかも考えていますね。全部、自分のボキャブラリーの中にあるプレイばかりなので、特に無理して練ったという感じではありません。あくまでも自然に、やりたいようにやっています。

──これまでもそうでしたが、今回も様々なタイプの楽曲が収められています。「World vs Honor」と「On The Lam」と「都会の黄昏 -Urban Twilight-」では、ある意味まるでちがうバンドのレパートリーかのようですが、こうした多彩さは意図的に盛り込んでいるのですか? それとも、特に意識せずとも自然と色々な曲調・曲想が生まれてくるのでしょうか?

蛇石:最近は、そういった変り種曲を作るのは私の役割のようになっていますが、自然体でもあり、意図的でもありますね。ジャンルでくくられない所謂“Mardelas系”をバンドとして目指しているので、まずは自由に書き始め、進めていく上で「これって○○っぽいなぁ」と感じてきたら、全く別のエッセンスを入れて、新しいモノを生み出せるよう、私自身がジャンルにとらわれないように心掛けています。

及川:自然とやっていますね。もちろん、音楽的に一番影響を受けたのがHR/HMなのはまちがいないんですけど、アウトプットしたいものは必ずしもイコールではなくて。そういったHR/HMのエッセンスを盛り込みながらも、自分の好きな歌謡曲やメロディのきれいな音楽を融合したいと思っています。そして、創り出すものは常に新しく、個性的でありたいとも思っていますね。

──ちなみに、『Mardelas III』は時系列で曲順通りにストーリーが展開していく作品ではありませんが、実際のところ物語はどこまで完成しているのですか? PVは蛇石さんが宮園(暗殺者X)らしき男を追い詰める場面で終わっていますが、既にその後の展開や、結末まで書き上げられているのでしょうか?

蛇石:4枚目へのストーリーは、いま構想中です。私が本当に描きたかったのは、ストーリーどうこうよりも、その中で見られるキャラクターそれぞれの心の葛藤です。それをより浮き立たせるために物語を書いた……と言ってもいいぐらいです。同じひとつの世界に生きていても、人の数だけ人生があり、何が良いか悪いかなんて人それぞれの価値観だということですね。綺麗事一切なし、人間の良いところも悪いところも、リアルに歌っていくのが私のスタイルですから。

──次作以降も、この世界観、キャラクターを使った楽曲をやる予定はありますか? あるいは、続編として再びトータルなアルバムが制作されることもあるのでしょうか?

蛇石:コンセプトやストーリーをどういう形で見せるかは考え中ですが、この世界観やこういったストーリー感というのは、Mardelasでやる以上、必須であると思っています。なんだかんだファースト・アルバムからずっと続けてきているし、“魔界都市シリーズ”の楽曲はライヴでも人気ですからね。今後も“Mardelas系”を追及していく所存です。

及川:その辺りは蛇石に任せていますけど、自分もこのコンセプトは面白いなと思っています。「好き」だとか、「愛してる」なんて単純なことを、今さら曲で表現したくないですし(笑) もっとリアルな現実を表現していくっていうのは、とても共感出来ますね。

──6月以降のライヴ/ツアーでは、ステージで『Mardelas III』のキャラクターに合わせた衣装を着ますか? 蛇石さんの和装でのパフォーマンスや、及川さんのホスト風プレイ(?)にも期待していいですか?

蛇石:そうですね(笑) それぞれが個性を発揮出来るようなキャラクター、ヴィジュアルになっているので、そういったパフォーマンスにもぜひご期待いただければと思います。オネエ弓田がどこで出てくるか──ザワザワしそうですね(笑)

及川:自分は(キャラクターの)イメージ通りの人間なんで、自然体で表現していきます。まぁ、他のみんなも個性的なので、負けていられないですけど(笑)

──今後、『Mardelas III』の全曲再現ライヴをやる予定/計画はありますか? ステージ・セットに凝ったり、他の登場人物をステージに呼び込んだり…といった演出面でも色々と期待してしまいますが…?

蛇石:なるほど……(笑) どこまで出来るかは分かりませんが、コンセプトを主張したライヴは計画中ですよ。

及川:MCの代わりにSEを差し込んだりして、ショウとして世界観を表現していくのもいいかな……なんて、ふわっと考えたりもしています。CDだけじゃなくて、とにかくライヴも観て欲しいですね。そこにロック・バンドの神髄があるので!

──では最後に、このサイトを見ている人達に向けてひと言ずつどうぞ!!

蛇石:最後までご覧いただき、ありがとうございます! 我々が満を持してリリースしました『Mardelas Ⅲ』、バンド史上最高傑作になっております! 曲だけをとっても非常にキャッチーに仕上がっていますし、歌詞をじっくり読んで、世界観に浸ってもらえれば、より一層楽しんでいただけるかと思います。バンドも今までで一番いい状態なので、ライヴにもご期待ください。皆様に“生きる”というパワーを感じていただくべく、一回々々のライヴに全身全霊でぶつかって参ります。会場でお待ちしております!!

及川:自分のお父さん・お母さんのような世代にも、音楽マニアにも、ギター・キッズにも楽しんでもらえる内容になっているので、ぜひ一度『Mardelas Ⅲ』を聴いてみてください! また、ギター好きはツイッター(https://twitter.com/mardelas_oikawa)で質問してくれたら、何でも(?)答えますので気軽にどうぞ〜。
(文/構成=奥村裕司)

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