アップルも参戦「ストリーミング音楽配信」——「プレイリスト」パクリ問題が起きる?

6月10日(水)10時36分 弁護士ドットコム

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米アップルは6月8日(日本時間6月9日)、米サンフランシスコで開催した開発者会議「WWDC」で、新たなストリーミング音楽配信サービス「Apple Music」を発表した。6月30日から100カ国以上でスタートする予定で、日本の公式サイトにも「まもなく登場」と記載されている。



報道によると、「Apple Music」はiPhoneやiPad、MacやWindowsのパソコンで利用することができる。iTunes Storeなど既存の音楽配信サービスと統合させた「ミュージック」アプリで、3000万曲以上の楽曲をストリーミングで聴くことができる。



音楽のストリーミングサービスは、海外では「Spotify」などが既に普及している。日本国内でも、5月末には「AWA」がサービスを開始し、「LINE MUSIC」も夏にスタートする予定だ。今回のアップルの発表もあり、「いよいよストリーミングサービスが日本でも普及するのではないか」という声も上がっている。



ストリーミング配信が普及すると、音楽を取り巻く環境はどう変わるのだろうか。アーティストにはどんな影響があるのだろうか。作曲活動を行うほか、ロックドラマー、DJとしても活動している高木啓成弁護士に聞いた。



●キーワードは「プレイリスト」と「ソーシャル」


「音楽ストリーミングサービスでは膨大な数の楽曲を聴くことができ、代表的な『spotify』には2000万曲以上が存在すると言われています」



リスナーは、どうやって楽曲を選べばいいのか迷ってしまいそうだ。



「そこで、『プレイリスト』の機能が重要になってきます。



代表的なストリーミングサービスには、リスナーが、自分の好きな楽曲を順番に並べてプレイリストを作り、友人とシェアし合う機能があります。これは、昔、好きな楽曲を選んでカセットテープやMDにダビングして友人と交換し合ったのと似ていますね」



ほかには、どんな特色があるのだろうか。



「有名アーティストや音楽雑誌社がプレイリストを公開しています。リスナーは、ツイッターのように、彼らをフォローし、そのプレイリストを聴くことができます。魅力的なプレイリストを作成して公開している『キュレーター(情報を選別する人)』がとても存在感をもっており、有名なキュレーターにはたくさんのフォロワーがいます」



DJが作るミックスCDのようなものだろうか。



「DJが無断でミックスCDを作って配布することは著作権法違反ですが、このようなプレイリストを作って公開することはもちろん合法です。ですので、ストリーミングサービスは、DJにとって、自分の選曲を合法的にリスナーに聴いてもらう絶好の機会だといえます。



他方、全く無名のアーティストが、有名なキュレーターのプレイリストに自身の楽曲を加えてもらい、一役有名になる、というシンデレラストーリーもあるようです。アーティストとしては、有名キュレーターに対して楽曲をアピールしたり、自らキュレーターとして活動することも求められています。



このように、ストリーミングサービスは、従来の音楽の聴き方に比べて、ソーシャルの要素がとても強くなっています」



●「プレイリスト」に著作権?


こうなってくると、楽曲とは別に、「プレイリスト」自体に価値があるように思える。「プレイリスト」には著作権は発生するのだろうか。



「これは難しい問題ですが、編集物であって素材の選択に創作性があるものは、『編集著作物』として、著作権で保護されます。プレイリストも、楽曲の選択に創作性が認められれば、編集著作物に該当すると思います。



ツイッターの世界では、おもしろいツイートを無断転載される『パクツイ』が問題になりましたが、近い将来、キュレーターが『プレイリストをマネされた』ということで問題になるケースも発生するかもしれません」



●ストリーミングサービスを望まないアーティストは?


ストリーミングサービスといえば、昨年、テイラー・スウィフトがspotifyから全アルバムを引き上げたことがニュースになった。アーティストがサービスに疑問をいだき、楽曲を引き上げるようなことは、国内でも起こる可能性があるのだろうか。



「大手レコード会社に所属しているアーティストについては、アーティスト自身がストリーミングサービスから自身の楽曲を引き上げることは困難です」



それはどうしてだろうか。



「ストリーミングサービスに楽曲を提供したり、あるいは楽曲を引き上げる法律上の根拠は、楽曲のレコード原盤に関する権利(原盤権)に基づいています。



アーティストは、歌を歌ったり楽器を演奏したりして、レコード原盤制作の重要な役割を担っていますが、通常、レコード原盤制作の費用を負担して、原盤を制作しているのは、レコード会社やプロダクションです。



ですので、通常は、レコード会社やプロダクションが原盤権を保有しており、アーティストは原盤権をもっていないことが一般です。



したがって、レコード会社などの原盤権者が楽曲をストリーミングサービスに提供した以上は、原盤権者の同意がない限り、アーティストがストリーミングサービスから自身の楽曲を引き上げることはできません」



高木弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)


【取材協力弁護士】
高木 啓成(たかき・ひろのり)弁護士
福岡県出身。2007年弁護士登録(第二東京弁護士会)。ミュージシャンやマンガ家の代理人などのエンターテイメント法務のほか、IT関係、男女関係などの法律問題を扱う。音楽事務所に所属し作曲活動、ロックドラマー、DJとしても活動し、「hirock’n」名義でiTunes等にて自らの楽曲を音楽配信している。
事務所名:アクシアム法律事務所
事務所URL:http://www.axiomlawoffice.com/

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