「TikTok売れ」するも意外にアナログ? 今どき小中高生の読書事情「電子書籍より紙の本のほうが読みやすい」

2022年6月9日(木)19時1分 マイナビ子育て

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザースマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

お子さんは本が好きですか? 読書は知識が増えて想像力が広がり、学習面での効果も期待できるので、子どもの読書について気になる人も多いかと思います。読者のお子さん方もやがて自分で本を選び、読書を楽しむようになるでしょう。今やタブレットやスマホでも本が読める時代です。デジタルネイティブである今どきの小中高生の読書事情をお伝えします。

デジタルになじんでいても紙の本が読みやすい

はじめに、子ども達がどの程度本を読んでいるのか、全国学校図書館協議会が2022年6月に調査した結果をご紹介します。2022年5月の1か月間の平均読書冊数は、小学生(4〜6年生)は13.2冊、中学生は4.7冊、高校生は1.6冊という結果になりました。不読者(5月1か月間に読んだ本が0冊の児童生徒)の割合は、小学生(4〜6年生)は6.4%、中学生は18.6%、高校生は51.1%となっています。経年で見ると、小学生の読書量は増加傾向で、中学生も今年下がってはいますが増加の傾向があり、高校生は横ばいです。

過去31年分の5月1か月間の平均読書冊数(出典:全国学校図書館協議会)

過去31年分の5月1か月間の不読者(0冊回答者)の割合(出典:全国学校図書館協議会)

紙の本と電子書籍だと、どちらが読みやすいと感じているのでしょうか。本調査の詳細が2022年10月27日付けの読売新聞に転載されているので、参照します。電子書籍を読んだことがあると回答した人に「紙の本と、スマホやタブレットなどを比べると、どちらが読みやすい(わかりやすい)ですか」と尋ねたところ、小中高生すべてで「紙の本が読みやすい」との回答が得られたそうです。スマホの普及率が高い高校生でも、読書に関しては紙の本を好んでいるのですね。

本との出会いは書店や口コミが多い

そんな高校生たちがどのように本を手に取っているかというと、こちらも親世代とは変わらず、リアルを重視しています。LINEが運営する「リサーチノート」が2021年2月に発表した「高校生の読書事情」によると、1位は「本屋などのお店で買う」で男女ともに8割を超えています。2位は「図書館・図書室で借りる」、続いて「古本屋/リサイクルショップで買う」、「家族・友だちから借りる」、「インターネットで買う」でした。電子書籍に関しては6位に入っており、「電子書籍を買う/ダウンロードする」(11%)で、利用率は低めの結果になっています。

「どのようにして本を読んでいる?」(出典:LINEリサーチノート、2021年調べ)

紙の本を書店で買うのが好き、という高校生ですが、好きなジャンルは小説やライトノベルが圧倒的に人気です。表紙のデザインや裏表紙、帯を見て購入を決めたり、知り合いからのおすすめで手に取ったりしています。

「小説やライトノベルを読むきっかけは?」(出典:LINEリサーチノート、2021年調べ)

Z世代には「失敗したくないから口コミを信じる」という特徴があります。本に関しても、実際に書店に出向いて本の内容を吟味し、書店員や知り合いからの評判も聞いて読む本を決めているようです。

SNSでも本との出会いがある

親世代と同様にリアルを重視する一方で、ネットも活用しています。「TikTok売れ」という言葉をご存知でしょうか。TikTok売れとは、短尺動画サービス「TikTok」で紹介された商品が爆発的な人気で売れる現象のことで、2020年ころから話題になっています。

たとえば、2017年に発表された『桜のような僕の恋人』(著:宇山佳佑/集英社)は、あるTikTokの動画がきっかけで話題となり、累計発行部数が50万部を超え、2022年にはNetflix映画にもなりました。また、1989年に発売された『残像に口紅を』(著:筒井康隆/中央公論新社)もTikTokの動画で紹介されたことで突如人気となり、2021年の時点で計11万5千部の増刷となりました。

こうした本紹介の動画は、本の表紙を出し簡単な説明をするだけ、とっいたものから、TikTokerが顔を出して本の魅力を伝える、といったものまで数多く作られており、本選びのヒントになっているようです。TikTok以外にも、YouTubeやInstagramにも本を紹介する投稿がありますが、TikTokはユーザーの興味に合った動画を表示する機能「おすすめ」で偶然出会うことがあるため、本屋での体験に近いインスピレーションを感じるのかもしれません。

読んだあとの本は?

子どもたちはお気に入りの本は読むだけでなく、部屋に飾るなどしてコレクションのように楽しみます。とはいえ、お小遣いが限られているため、読み終わった本は古本屋やフリマアプリで販売します。読み終わったら売ることを前提に、売れそうな本を買ったり、傷つけないように読む人もいるようです。

ここまで漫画や雑誌を含まない「本」の話をしてきましたが、漫画については中高生の64.9%が「単行本(紙)」で読み、2位は「漫画アプリ」で44.5%となっています(2021年10月高校生新聞調べ)。

以前取材した高校生は、スマホアプリで無料の部分だけを読み、気に入ったら古本屋で単行本を買うと言っていました。古本屋やフリマアプリは漫画に関しても活用されているようです。

まとめ

紙とデジタルが混在する「本」の世界は、まだ親世代の常識がかなり通用しそうですが、ネットを駆使して賢く付き合っている若者も多いようです。新たな本に出会いたい大人にも参考になりそうな使い分けですね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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