「まずは……してみよう」家のどんな場面でも使える“魔法の一言”で子どもの能力が伸びる!

2022年6月9日(木)11時31分 マイナビ子育て

「数学の力」というと早くても小学生以降…というイメージかもしれません。しかし、もっと幼い2歳からの言葉のかけ方次第で子ども数学力は伸びるのです。書籍『子どもの「数学力」が自然に育つ2歳からの言葉がけ』(植野義明 著)より、幼児期の今しかできない、家庭での言葉がけのヒントをご紹介! 第八回は「予想を立てる」です。

はずれた予想に価値がある|はずれたら見直しをしよう

「予想をしてみよう」

※写真はイメージです

子どもが何かに取り組もうとしているときに有効な、魔法の言葉があります。それは、「予想をしてみよう」という言葉がけです。

この言葉がけは、子どもが何かの問題を解き始めているとき、実験に取りかかろうとしているとき、あるいは計算に取り組もうとしているときなど、どんな場面にも有効です。

例えば、目の前にパズルの問題があって、子どもは早く解きたくてうずうずしているかもしれません。やり方についてまだ説明していないのに、いきなりいろいろなものにさわってやり始める子どももいます。

しっかり、ゲームのルールや実験の方法について説明することはもちろんですが、こんなときに忘れずに言ってほしい言葉は、「まず、予想をしてごらん」ということです。

イラスト:Mariko Minowa「子どもの「数学力」が自然に育つ2歳からの言葉がけ」より

子どもは、予想をすることによって、これから起こる現象についてより興味をもつことができますし、また、想定される事態に対して心構えをもつこともできます。

予想を立てるということは、何らかの根拠のうえで思考するということなので、予想がはずれた場合にも、なぜその予想がはずれたのかを考えることによって、次に何をすればいいのかもわかります。

つまり、例えば何らかの実験であれば、やみくもに何でも事実を集めるのではなくて、背景となる理論に基づいて実験計画を立てること─ 科学に共通の枠組みからの思考法─に子どもを一歩近づけることになるのです。

何の予想ももたずに実験を始めてしまうと、結果として起こった事実をただ受け入れるだけの受け身の知識になってしまいます。

逆に、予想をもって実験をすれば、たとえ予想がはずれても、そこから何かを学びとることが可能となります。むしろ、はずれた予想のほうが役に立つ場合だってあるのです。

予想は、当たらなくてはいけないものではなく、むしろはずれた予想にこそ、価値がある。はずれた予想こそ考えを深めるチャンス! そう考えると、心理的なハードルが低くなるでしょう。そして、予想は、誰でも思いつくような素朴な予想でいいのです。

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\言葉がけのコツ/

自分の考えをもって進めてもらう

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コラム|生活の中で考える力を育てる

※写真はイメージです

「考える」とは、目の前にある具体的な課題を解決するために、脳を活性化させることです。では、子どもの考える力は、どのような言葉がけによって育つのでしょうか。

親がとるべき基本スタンスは、これまで述べてきたことと同じです。考える力を育てるのに最も効果があるのは、親子でいっしょに考え、楽しさを共有することです。

子どもは誰でも自分の頭で考えることが大好きです。でも、たいていの人たちは、大人になるまでに、何かのきっかけで自分の頭で考えることが苦手になったり、あるいは面倒になってしまったりします。なぜでしょうか。

本来、考えることは楽しいはずですが、例えば宿題やテストの問題を、ただ機械的に公式に当てはめて解くほうが楽だということを何回か経験するうちに、自分の頭で基本から考えることが面倒になり、心が離れていってしまうのです。このようなことは、子どもが点数で評価され、たくさんの課題に追い立てられる学校ではとくに起こりがちです。

だからこそ、子どもが小学校に上がる前から、考えることの楽しさを子どもに積極的に伝えていくことが必要です。

「考えることは楽しいね」という当たり前の気持ちを言葉でも行動でもはげまし、日々の生活の中でいっしょに考えることに参加できるように、サポートしなければならないのです。

「さあ、いまから考えなさい」と言われても、子どもはまず何について考えればよいのかがわからないでしょう。考える楽しさを体験するには、具体的な何かについて考えなければなりません。

日々の生活は、具体的な課題にあふれています。子どもの家庭での生活を振り返ってみると、家のお手伝いをする、簡単な料理を作る、お買い物をする、下の子の面倒を見るなど、子どもが自分で考えることのできる課題はたくさん見つかります。

「どんなお手伝いならできるかな?」

考えることの楽しさを伝えるには、生活の中で子ども自身が考えなければ一歩も前に進まない場面を見つけ出し、あるいはそのような場面を積極的に作り出して、楽しくいっしょに取り組んだり、そっと見守ったりして、常に子どもをはげましてあげることです。

書籍『子どもの「数学力」が自然に育つ2歳からの言葉がけ』について

\「考える力・見つける力」の芽を育てよう/

いつでもできる簡単な言葉がけで子どもの数学力(算数力)は大きく伸びます。

■子どもの数学的な力を育む「言葉のかけ方」をお教えします子育てでは、子どもへの声がけや話しかけが、とても大切です。子どもを伸ばす、子どもが変わるなど、様々な話しかけ方の書籍があります。本書は、子どもの数学的な力が自然と育つ、言葉のかけ方、話しかけ方を紹介する初めての本です。

■考える力の「芽」を育てよう小さな子どもの能力は無限大。幼少時にちょっとした声がけをしながら一緒に遊んだり、ゲームをしたり、実験をしたりすることで、考える力の「芽」はどんどん育ちます。「こっちには何個入っているかな?」「点をつないだら、何に見える?」「これと同じ形はできるかな?」「どうしたらいいと思う?」……などなど、少しのきっかけを作ってあげるだけで、子どもの頭はフル回転しはじめます。

■2〜6歳のいまだから渡せる一生モノのギフト著者の植野氏は、数学を教えて35年の経験から、幼少時の習慣が数学(算数)の力を育てることを実感しています。日々、いつでもできる話しかけで、お子さんに生涯使える大きなギフトを贈ってあげてください。

著者|植野 義明(うえの・よしあき)先生について

東京大学非常勤講師、くにたち数学クラブ代表、日本数学会会員、数学教育学会代議員。東京大学理学部数学科卒、東京大学大学院で数学を専攻、理学博士。1986年より東京工芸大学講師、准教授。2021年4月、定年退任と同時に国立市で3歳から100歳までの人たちが数学の美しさに触れ、数学で遊び、数学が好きになれる場所として「くにたち数学クラブ」を設立、代表。著書に『考えたくなる数学』(総合法令出版)がある。

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