鳥越俊太郎氏と佐伯啓思氏が「安楽死」について考えた

6月10日(月)16時0分 NEWSポストセブン

鳥越俊太郎さんは4度のがん手術を経験している

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 スイスで安楽死を遂げた初の日本人女性(当時50歳)に密着し、最期の瞬間まで映した衝撃の内容だったNHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』(6月2日放送)は、多くの視聴者の心を揺さぶった。NHKには放送翌日までに約300件もの感想が視聴者から寄せられたという。


 4度のがん手術を経験した鳥越俊太郎氏(79)は、妻と釘付けになって観たそうだ。


「安楽死を選んだ女性は、言葉に少し障害が出ていましたが、顔もふっくらとして、にこやかで元気そうで、安楽死するにはまだ早いんじゃないのと思いました。頭もしっかりしていて、言葉での意思表示もできて、それで死を選ぶというのは、正直なところビックリした。すごい女性だなと。


 最期の場面で、女性は死の間際も苦しむことなく、2人のお姉さんに見守られながら『幸せだった』と言い残し、スーッと眠るように亡くなった。亡くなるまで30秒くらいで、ああ、こういう最期はいいなあと思いましたね。私ももう79歳で、そんなに長くはありませんからね。一緒に見ていた女房に『俺もこうやって死にたい』と言ったら、何も言わず黙っていました」


 京都大学こころの未来研究センター特任教授で『死と生』などの著作がある佐伯啓思氏(69)にとっても、「番組は衝撃的だった」という。


「この女性のように、自分も死にたいと思った人は非常に多かったのではないでしょうか。私自身も、もし体が動かなくなるような難病になったら、延命治療はせずに積極的な安楽死を望みます。ただ、やっぱり家族や周りの人たちとの間で問題が出てくると思う。近親者の人たちも、あまり自分のエゴで『生きていてもらいたい』と思わずに、自分がその状態になったらどう考えるかという視点に立って、みんなで決断をしていく必要があります。


 安楽死というのは日本でも西洋でも難しい問題です。しかし、それを直視するという姿勢が西洋にはあり、日本の場合はやっかいな問題から目をそらしてしまっている。それはやはり、日本には戦後の『生命至上主義』が根底にあるからで、殺人も自殺も安楽死も全部一緒くたに扱われて、目をそらされているようなところがあります。長生きしたい、寿命を延ばしたいという生命至上主義を見直すことから始めるべきではないでしょうか」


※週刊ポスト2019年6月21日号

NEWSポストセブン

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