「パンプス強制は社会の問題」#KuToo 発信者の石川優実さん「選択肢を広げて欲しい」

6月11日(火)19時17分 弁護士ドットコム

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職場でヒールやパンプスを履くよう強制する風習をなくしたいーー。女優でライターの石川優実さんの呼びかけで始まった「#KuToo」運動が反響を呼んでいる。



「#KuToo」とは、「靴(くつ)」、「苦痛(くつう)」、「#MeToo」を合わせた造語。6月3日にはインターネット署名サイト「change.org」で集めた1万8856人分の署名が厚生労働省に提出された。



署名の賛同者が増え続ける中、「パンプス押し付けにさよなら!緊急院内集会」(主催・KuTooキャンペーン)が6月11日、東京・永田町の衆議院議員会館でひらかれた。



石川さんは「これは個人の問題ではなく社会の問題なのかもしれない。自然に大きくなっていった運動で、それだけ皆が困っていたことなんだと気づいた」と話した。



●「ハイヒールが好きな人は全然履いてもらっていい」

署名提出後、石川さんの元には「我慢していたけど、これっておかしなことだったんだと気づいた」、「自分だけじゃないことがわかってよかった」などの声が寄せられた。このムーブメントをきっかけに、複数人で上司に掛け合い「フラットな靴でも大丈夫」と言われたという報告もあったという。



一方で、「ハイヒールは履いてはいけないのか」、「きちんとした場でもスニーカーにするのか」といった意見も届いた。



石川さんは「私たちは選択肢を増やしてくださいという訴えをしているだけで、ハイヒールが好きな人は全然履いてもらっていいと思う。TPOはあると思っているので、きちんとした場では『男性の履いているようなヒールのない靴を選ばせて欲しい』と言っている」と説明する。



●「フラットな男性靴よりも不利益性が高い」

パンプスやヒールの着用強制を、法的にどう捉えるか。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の副主任研究員・内藤忍さんは、女性にだけパンプスやヒールの着用を義務付けることは、「健康被害や災害リスクという意味で、フラットな男性靴よりも不利益性が高いのは明らか。性差別に当たる可能性がある」と指摘する。





「女性なんだから、パンプスやヒールを着用しなさい」といった言動は、「義務付けされたかどうかは不要で、そうした発言があったことが、世界的にはジェンダーに関するハラスメントに当たる場合がある」と話した。



また、過去の裁判例として、東谷山家事件(平成9年12月25日、福岡地裁小倉支部判決)を紹介。これは、髪の毛を黄色く染めたトラック運転手に、黒く染め直すようにとの命令に従わなかったなどとして、会社が運転手を論旨解雇にしたことが有効かどうか争われた事件だ。



判決は、髪の色・型、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、企業が企業秩序の維持を名目に労働者の自由を制限しようとする場合、「その制限行為は無制限に許されるものではなく、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内にとどまるもの」と示している。



内藤さんは「外見や服装は、本来的には各人の自由ということ。業務上の理由なく、パンプスやヒールの着用を義務付けることは、自己決定権の侵害と言える」と話した。



●根本大臣の答弁「パンプス強制容認ではない」

パンプスなどの着用を義務付けることについては、根本匠厚生労働相が6月5日、衆院厚生労働委員会で答弁したが、その解釈を巡って報道がわれていた。



集会に参加した厚生労働省の雇用機会均等課の担当者は、「あらゆるパンプスの強制を容認したかのような報道が一部あったが、そういうことではない」と「事実上容認する考えを示した」とした報道を否定。



答弁の趣旨について「業務上の必要性かつ相当性が判断のポイントになるということ。例えば、健康被害がある中でパンプスを強制することが適当ではないというのは当然と考えており、怪我をして嫌がっているのに無理やり履かせるような場合は、パワハラにもあたりえる」と説明した。



●パンプス強制「パワハラにあたり得るかという考え方」

「例えばCAの仕事にパンプスが必要なのか」と問われると、「具体的にどこまで必要なのかを個別に厚労省の方で業界ごとに判断するのは難しい。現場で議論いただきながら考えていくところと思っており、問題か問題でないかのコメントは控える」とした。



「女性だけにパンプスを履かせる業務上の必要性はあるのか」という質問には、「パンプスの必要性については、個別の判断になるのでコメントが難しい」とし、次のように話した。



「具体的にどういう服装をしないといけないのかで男女に差がある場合、どこまで問題になるのかは難しい。片方の性に何もルールがなくて、片方の性にあるというのは問題がありうるが、それぞれの制服や服装のルールに違いがあることについて、何か問題だということは解釈等で示してきていない」



男女雇用機会均等法は、募集や採用、配置などについて、男女で異なる取り扱いを禁止しているが、女性のみ特定の服装をさせる取り扱いの是非については「法律にないため、現行ルールでは対応できない問題」とコメント。



パンプス強制については「(男女の異なる取り扱いよりも)パワハラにあたり得るかという考え方で議論を進めていくのが当面の対応としては考えられる」と説明した。

弁護士ドットコム

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