「え、やめ…やめて…!」飲み会帰りで酔った旦那が妊娠中の妻を押し倒して…う、酒クサッ!!

2022年6月11日(土)7時31分 マイナビ子育て

最高の相性だと思って結婚した男女が、妊娠・出産を経て親になり、少しずつすれ違ってセックスレスに……これって、よくあること? せつない夫婦の胸のうちを描きます。

この作品を一気読み!【第1話から最終話まで公開中】

深夜に泥酔して帰ってきた夫は……

運命の相手・大輔と結婚した美咲は、ラブラブな新婚生活を経て希望通り妊娠。何もかもが順調に思えたが、重いつわりに苦しみ……。

はあ。ダメダメだ。私。匂いつわりと吐き気で、ろくにごはんも作れないし、部屋の中はぐちゃぐちゃ。ほとんど食べられないから体が弱っているのを感じる。こんな状態でお腹の赤ちゃんは大丈夫なのか、不安にもなる。

ずっと横になっているから、大輔とのスキンシップどころか会話も減っている。それでもいつも気遣ってくれて、食べやすいものを買ってきてくれたり、大輔は相変わらず優しい。

「ただいまー」「おかえりー……うっ……!」「美咲! 大丈夫? 料理も掃除もいいから寝てな」「うん。ありがと」

大輔が十分すぎるほど気遣ってくれても、楽になるのはほんの一瞬。容赦なく襲ってくる吐き気で、もうトイレに住んじゃいたいくらいだ。でも、これも愛する大輔との赤ちゃんのため。頑張らなきゃ!

そんなある夜のこと。リモートで業務を終えて、ソファでウトウトしていると、着信音が鳴った。大輔からだ。

「美咲〜! ごめん! 今夜飲み会になった」「いいよ〜。付き合いもあるでしょ? むしろ、ごはん済ませてきてくれると嬉しいな」「ごめんな」「ううん、お仕事だもん。頑張ってね」

電話越しに大輔を送り出して、再度ベッドに横たわった。

何時間くらい経ったのだろうか……。ガチャンッ! と玄関先から無遠慮な音がして、跳び起きた。ヨロヨロと迎え出ると、いきなり黒い影が襲ってきた。

「ただいまぁ〜! みさきぃ〜!」「きゃっ‼ だ、大輔⁉」

うっ……‼な、なにこの匂い⁉お酒くさっ……‼

酔っぱらった大輔が、今にも服を脱がさんばかりに抱きついてきたのだ。しかも、シャワーも浴びずに……‼アルコールと、どこかの誰かのタバコの残り香と、ギトギトの油の匂いがモワッと襲ってきて、一気に吐きそうになった。

うううっ‼

アルコールが入るといつもより積極的になるのは知っているけど……最低……!

「みさき〜。今日も可愛いな〜」「ね、ねえ……離れてくれない? お酒くさいの耐えられないんだけど……!」「愛してるよ、みさきぃ〜〜〜♡」「え、やめ……やめて……!」

結局、ひたすら拒み通したものの、納得してくれるまで相当の時間を要した。翌朝、何にも覚えておらず、ケロッとしている大輔を見ると、憎しみが込み上げてきた。イライラして何か言ってやりたかったけれど、話し合いもままならないほど、体調は絶不調。大輔への黒い感情で、モヤモヤするよ……。

体が拒否しちゃう…

数週間後。嘘のようにつわりがおさまり、ようやく体調が安定してきた。食欲も出てきたし、女友達が妊娠を祝う会を開いてくれて、久しぶりに涙が出るほど笑った。そんな私の様子を見てか、あの夜以来、夜のお誘いを控えていた大輔も「解禁」したいみたいだ。「医学的には問題ないみたいだよ。妊娠中のセックス」なんて、ネットで検索したソースまで見せてきて、したそうにしている。妊娠して数ヵ月はしてないんだから、無理もないんだけど……。でも……したくない。なんでだろう?

自分でもわかっていた。それは、胎動をポコポコと感じるようになったから。今は、赤ちゃんが心配でセックスをする気になれないのだ。あんなに大輔としていたし、したかったのに、どういうわけか性欲も湧かない。だから、「今日、どうかな?」と、寝る前にキスをされると、体が拒否してしまう。このキスは、私たち夫婦の「しよう」の合図だから。

「できないことはないけど……お腹の赤ちゃんが心配だし」「そっか。じゃあ、やめとこう。美咲の体と赤ちゃんが一番大事だもんな」あの夜のことが嘘のように、優しい大輔。私に気を遣って平気なフリをしているけれど、へこんでいることは知っている。かわいそうに思い、たまにOKすることもあった。でも……。

「痛いっ!」「あ、ごめん」「なんか胸が張ってるみたい」触られても前みたいに気持ちよくなれないし、お腹の張りも心配だしで、気を遣わせてばかりのセックスになってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱい……。私に、性欲があまりないのも原因だろう。心なしか、大輔が落ち込んでいるような気がする。大輔はどう思ってるのかな?

キスは「しよう」の合図だったのに

数ヵ月後、仕事の引き継ぎを全部終えて産休に入った。

「子育ては大変よ〜! でも、美咲さんなら大丈夫!」「かっこいい旦那さんと美咲さんのお子さん、楽しみです!」同僚や後輩に励まされながら、会社を後にした。仕事では辛いことや悔しいこともたくさんあったけれど、職場環境に恵まれた私は、本当に幸せ者だと改めて思った。これからしばらくは、愛する大輔との赤ちゃんを守るのが仕事だ。一緒に頑張ろうね。赤ちゃん。

翌週。私は1人で、赤ちゃん用品店へ出かけた。「よぉし! 生まれたらお世話で買い物も大変って聞くから、今のうちに巣ごもり対策するぞー!」赤ちゃん用品のお買い物、消耗品、あとは……授乳ブラや産後のショーツかな。そういえば、妊娠後期に入ってから、大輔に求められることがなくなったっけ……?ずっと断ってばかりだったから、傷つけてしまったのかもしれないな。赤ちゃんが心配な気持ちはわかってほしいけど、いつも断られたら悲しくもなるよね……。思えば、妊娠初期のあの夜のことも、私がナーバスになっていただけかもしれない。なんか冷静になれてない?産休に入って、気持ちに余裕が出てきたからかな?たまには……私から誘ってみようかな。

「ねえ……大輔」その夜。私は遠慮がちにベッドに腰掛けて、ベッドに横たわってスマホをいじる大輔に、そっとキスをしてみた。大輔にはわかるはず。だって、キスが私たちの「しよう」の合図なのだから。でも……。「美咲。ごめん。今はそんな気分じゃないんだ」「え……?」なんで?私の質問を遮るように、背中を向ける大輔。なんとも言えない不安に襲われた。あれ……?なんでだろう? この気持ち。何かが、何か大切なものが、音を立てて崩れていく気がする……。

つづきます。▶︎次話「ごめん押し倒したとか覚えてないわ。セックスを拒否し続けた妻が、ある夜いきなりキスしてきて…」を読む

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▼大輔編はこちら!

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