10人に1人も!? ストレスで起きやすい胃の不調の正体

6月13日(木)21時50分 All About

日本人の10人に1人が該当すると言われる「機能性ディスペプシア」。胃カメラなどで検査を受けても異常が見つからないのに、胃もたれや、食事開始後すぐの満腹感、みぞおちの痛みなどが起こる病気です。

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原因疾患が見つからない胃の不調の正体は?

ここ最近、産業医面談をしていると胃に関する相談が多くなってきた印象があります。「胃が重たい」「食欲がない」「ゲップが出る」などの胃の症状が出ると、働いている人の多くは胃潰瘍か逆流性食道炎をまず疑うようです。

しかし、いざ病院の消化器内科を受診して胃カメラなどで検査を受けてみると、異常がなかったり、胃酸分泌を抑えるお薬を処方されても効果がなかったりと原因不明のままで終わってしまい、困っている人が意外と多いのです。みなさんも病院やクリニックに行ってみたものの、胃の不快な症状が改善されなかった経験はありませんか? その原因、もしかすると「機能性ディスペプシア」かもしれません。

機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアとはどういうものなのでしょうか。機能性ディスペプシアとは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんといった異常がないにも関わらず、胃の痛みや胃もたれなどの症状がある疾患のことです。主な症状に「食後の胃のもたれ」、「食事開始後すぐの満腹感」、「みぞおちの痛み」、「みぞおちの焼ける感じ」などがあります。日本では、なんと10人に1人が機能性ディスペプシアであると考えられているそうです。

原因としては、ピロリ菌感染や胃酸分泌過多、遺伝、サルモネラ感染、腸炎、飲酒、喫煙が指摘されていますが、働く世代で多いのは不安やストレスとなります。ここ5〜10年、ストレスを抱えることで自律神経失調症、過敏性腸症候群、メニエール病などストレスに関する病気が多くみられます。

ストレスが原因となって精神的に不安定になると「パニックを起こす」、「下痢や便秘を繰り返す」といった症状がありますが、胃に関する諸症状もそれらと同様にストレスが強くかかることによって起こります。胃の働きは自律神経に制御されているのですが、ストレスが加わることでそのバランスが崩れてしまい、胃が動かなくなってしまうのです。

機能性ディスペプシアを悪化させる要因は睡眠不足、食生活の乱れなどといわれており、どうしても不規則な生活習慣になりがちな現代の働き盛りのサラリーマン、OLのみなさんは特に注意が必要なのです。

機能性ディスペプシアで病院に行くタイミングは?

■早急に受診すべきケース
・睡眠を明らかに脅かすほどの症状が出ている場合(朝になると嘔吐しているなど)
・仕事に影響が及んでいる、仕事のパフォーマンスや集中力がいつもの50%より下がると感じる場合

以上のような明らかに仕事・睡眠に影響を及ぼすほどの強い症状がある場合、なるべく早く病院又はクリニックで診察を受けてください。既に消化器内科を受診済みで特に症状がなかった方は、心療内科の受診を検討してください。抗うつ薬など、お薬を使って早急に対処が必要です。

■まずは生活面の見直しをしてから、受診を検討すべきケース
病院に行くほどではないが、症状が改善されないという方は、まずは以下3点を見直すことが大事です。

・職場の環境変化
・業務の負荷
・プライベートの環境変化

転職・転勤で住み慣れた土地を離れる、昇進したことで業務・責任の負担が重くなる、結婚を機に共同生活をはじめるなど様々なシーンが考えられます。これら3つの環境は働く人を取り巻くもので、その変化の度合いによっては大きなストレスの要因となります。しかしながら、環境に適応するまでにある程度時間がかかります。

中でも環境変化があった場合、特に人間関係には神経を使いますよね。早く変化に慣れようと頑張り過ぎた結果、多くの人は知らず知らずのうちにストレスをためてしまいがちです。なるべく環境変化によるストレスを少なくするため、転職した直後は、引っ越しや結婚などのプライベートの環境変化となるイベントを先送りしてストレスを分散するというように環境変化のバランスをとることを心がけてみましょう。

通常、3〜6カ月程で環境の慣れとともに症状の改善が期待されます。一度に身の回りの環境をがらりと変えるのも場合によってはいいものですが、少しずつ体と心を慣れさせていくスタンスの方がストレスマネジメントという観点では望ましいかもしれません。

機能性ディスペプシアには効果的な対処法

■上手なリフレッシュでの対処
ストレス軽減を目的としたリフレッシュ法も効果的です。毎日仕事で忙しいけれど自分でできることも意外と多いのです。

■食事による対処
胃にストレスをかけないための食事の摂り方にも注目です。朝はコーヒーだけ、ランチは出先でラーメン、深夜に居酒屋で好物の揚げ物などと時間や栄養管理にルーズになりがちなんてことはありませんか? 頭ではわかっていても、日々の業務に追われているとついつい疎かになりがちなのが食事ですよね。

しかし、仕事のストレスと不規則な食生活を続けていれば、当然胃に負担もかかってきます。そこで、忙しい毎日でも胃にストレスをかけないための簡単な方法を提案したいと思います。

まずは、食事の回数です。一般的には1日3食が基本といわれていますが、6食ほどに回数増やしてみましょう。実際に食べる総量は増やさず、回数を分割して少量ずつ食べた方が胃に負担をかけません。

また、食べるものとしては脂質より炭水化物を摂るようにしたほうが良いでしょう。とはいえ、一切脂質を摂らないという極端な制限は、逆に健康によくありません。平日夜は接待が多く、脂質を摂りすぎていると感じる方は、週末は油ものを控えるなど1週間を通じてバランスよくすることを意識してみてください。

また、夕飯後2〜3時間は食べたものが胃に停滞するので、それが胃のもたれや嘔吐の原因となり睡眠の妨げとなることがあります。夕食後に比較的早く就寝される方、普段から胃がもたれやすい、重い、むかつきが気になるという方は、なるべく寝る3〜4時間前までに夕食を済ませ、そのあとは水分を摂るようにできればベストです。

最後に

「胃が重たい」、「胃が痛い」という症状は胃潰瘍や逆流食道炎だけに限ったことではありません。ストレスによって胃の機能が損なわれる結果、機能性ディスペプシアという同じような症状が現れることがよくあるということだけでも是非知っておいてください。

機能性ディスペプシアであれば、たとえば漢方の六君子湯のような胃を動かすようなお薬の効果が高く、症状の改善が期待できます。場合によっては抗うつ薬の投与でストレスの根本から治療していくアプローチも有効です。

ストレス社会で生き抜くビジネスマンに無理は禁物です。日ごろからストレスをためないように意識をする、消化器内科あるいは心療内科を受診するなど、必要に応じて早めの対処を心がけるようにしましょう。
(文:山田 洋太(医師))

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