米Twitterの広告事業トップが来日、日本市場のユニークさとは? 

6月7日(木)18時23分 MarkeZine

 本記事では、Twitter広告プロダクトの統括責任者を務める、ブルース・ファルク氏のインタビューをお届け。ファルク氏はグーグルに14年間勤務後、動画広告サービス・ブライトロールCOO、TurnPlatform(Amobeeに買収)のCEOを経て、2017年5月にTwitterへ入社。20数年の長きにわたり、オンラインの広告プロダクトやサービスに関わってきた人物だ。「Twitterにとって、日本は特別なマーケット」と語るファルク氏が、日本市場への期待とTwitterの展望について語った。

■日本発のユニークなTwitter活用事例を学びたい

——5月15日に開催された、Twitter Japan主催の広告主向けのクローズイベント「#TwitterBrandSummit」に合わせて来日されたブルース・ファルクさんにお話を伺います。まずは、ファルクさんから見た日本市場への印象について教えてください。
Twitter,inc. General Manager,Revenue Product
Bruce Falck(ブルース・ファルク)氏

 日本は、Twitterがサービスを展開する国の中で唯一、四半期ごとの売上が1億ドルを超えるマーケットです。さらに前年対比で約60%以上も伸びており、マーケットのサイズ、成長度ともに大きいという印象があります。

——Twitter Brand Summitでも、日本で起きたTwitterのムーブメントが世界へ発信された事例が紹介されましたね。

 日本で生まれるTwitterのユニークな使い方からは、学ぶところが多いです。これからも日本は、注目していくマーケットであることは間違いありません。

■米国の広告主が語った、Twitterの3つの魅力

——ファルクさんがTwitterへ参画されてから、約1年が経ったと聞いています。あらためて、Twitterの魅力についてお教えください。

 規模だけで考えると、Twitterは他社のプラットフォームと比べまだまだ成長段階です。しかしマーケティング活用の側面から見ると、世界中のクライアントから支持を受け、活用されているサービスです。

 そこで私は、多くのクライアントに「Twitterのどこに惹かれ、そして何がマーケティングに寄与しているのか」と尋ねました。すると、3つの答えが見えてきたのです。

 1つ目にTwitterは、クライアントのサービスや新商品のローンチキャンペーンに欠かせない重要なプラットフォームであるということ。たとえばアップルの場合、彼らのターゲット層とTwitter利用者の相性の良さを高く評価しています。

 Twitterはオープンなコミュニティで、ジャーナリストも情報感度の高い技術者も、そして様々な領域のインフルエンサーもタイムラインにいます。ですから、新しいサービスや商品を世界に対して伝えたいとき、Twitterは唯一無二の力を発揮するのです。

 2つ目の魅力は、Twitterのリアルタイム性の高さです。Twitterでは、今まさに起きているニュースや盛り上がっているイベントの様子が会話により話題化されます。

 米国であれば、NBAの決勝戦やアカデミー賞、その他関心の高いライブ、スポーツイベントがある際、Twitter上で多くの会話が生まれます。クライアントは、この「今起きていること」を通じて自分たちのターゲットとつながりたいのです。これはTwitterの強みですし、他のWebサービスとの大きな違いであると考えます。

 そして、3つ目は強大な拡散力です。Twitter利用者の多くは、バイラル性の高い複数のコミュニティに属しています。コミュニティの一部の利用者がクライアントのブランドストーリーに関心を持てば、めざましいスピードで情報が広がります。

 そしてコミュニティ全体が、拡散した情報を話題にして会話する。ここがユニークであり、クライアントは魅力的だと感じているんです。

■ブランドストーリーを伝える海外Twitter事例

——Twitter Brand Summitでは、Twitterがマス媒体に近い規模となり、ブランディングを目的としたキャンペーンも増えてきたと報告されました。海外での事例をお教えください。

 Twitterが特に活躍した海外事例から2つを紹介します。まず、アウトドア製品をあつかうREIという企業では、金曜日に店舗をクローズし、Twitterで#optoutsideというハッシュタグを用いたキャンペーンを行いました。これは、ターゲットに対して「お買い物ではなく、ぜひ外へ出かけてほしい」というブランドのメッセージが込められたものです。

This Black Friday @REI is closing to #OptOutside again. Will you go out with us? Retweet to receive a reminder. pic.twitter.com/FiCsQxVNfC
— REI (@REI) 2016年10月21日

 もちろん店舗へ買いに来てくれることは嬉しいのですが、企業として届けたいブランドストーリーは顧客にアウトドア体験をしてほしいということ。それがよく表現されたキャンペーンです。

 もう1つは、ナイキが2017年の5月に行ったBreaking2というキャンペーンです。 これは、男子フルマラソンの現世界最高記録2時間2分57秒を超えようという取り組みで、3人のランナーが実際に走りました。

Breaking the 2-hour marathon. Crazy? Yes. So we’re doing it. #LIVE

Retweet or ❤ for @Nike #Breaking2 notifications. pic.twitter.com/Ue5Tvu3YCe
— Nike (@Nike) 2017年5月5日

 マラソンの様子はTwitterをはじめとしたSNSでライブ配信され、大変話題になったんです。このキャンペーンからは、ナイキの「挑戦をする・限界に挑む」というブランドストーリーがとても伝わってきます。

■成長し続ける動画市場、Twitterの対応は

——Twitterも誕生して12年が経ち、インターネットの環境は目まぐるしく変化しています。世界中でモバイルシフト、動画の市場が拡大していく中、Twitterではどのようなサービスを展開していくのでしょうか。

 2020年までにモバイルのトラフィックは全体の75%以上になると言われています。世界のモバイルデータ使用量の75%以上が動画によるものとされ、Twitterにおいても動画視聴の93%がモバイルからの再生です。Twitterでは世界全体で1日の動画視聴数が14億あり、そのうちの約3億が日本です。

 モバイルがあるからこそ、動画の視聴・共有がかつてない勢いで広がっています。この流れの中で、企業は消費者とどのような方法でつながるのかを見直す必要があるでしょう。

 動画はリッチなコンテンツを届けることができ、高いエンゲージメントを誇り、そして感情がうまく伝わる特別な媒体です。企業と消費者のエンゲージメントは、ブランドの話題化、つまり会話によって生まれます。Twitterにとっての動画は、会話のさらなるドライバーとして不可欠な存在であるという位置づけです。
ビデオウェブサイトカード

 そこでTwitterは、広告プロダクトのフォーマットに様々なイノベーションを起こしてきました。1つは、認知やパフォーマンスの向上を目的としたビデオウェブサイトカード。そして、ビデオアプリカードです。ビデオアプリカードは、アプリのインストール訴求や一度アプリから離れてしまったユーザーへリマーケティングを行うこともできます。

 ディスプレイの上位で動画を掲載し、その下にはアプリストアのページを表示しますので、インタラクション的なクリエイティブで表現することが可能です。

■レポーティングと予測精度の向上に開発リソースを集中

——動画を見せるだけでなく、動画から会話が生まれる構造を動画広告のプロダクトに反映させているのですね。他にもマーケティングプロダクトの開発は進めていらっしゃいますか。

 ここ1年ほど注力しているのが、計測を含めたレポーティングです。ブランドキャンペーンにおけるインパクト度合いがわかりやすく示されるようになる予定です。

 またレポーティングの強化は、アドフラウド対策を強化する意味合いもあります。ロボットによる閲覧ではないか、不正なクリックではないかと広告不正に対するクライアントの関心や対策は高まっています。Twitterもそのニーズを受けたレポーティングの提供を進めています。

 計測のシステムは、クライアントや代理店が業務で導入している計測ツールと統合していくことを前提にしています。たとえばニールセン、サイバーエージェントのAIRTRACKなど、既に多くの企業と取引を持つパートナーとの取り組みが進行しています。

 そして、広告配信システムの性能改善にもリソースを投下しています。その中の1つが予測精度です。現在、データサイエンティストや機械学習のエキスパートが一丸となり、システムの向上を手がけているところです。どの広告がどのユーザーグループに対してうまく効くのかという予測精度が高まると、広告がユーザーにマッチする度合いも向上します。

 さらに収益改善だけでなく、親近感が持たれる、あるいはユーザーグループの興味に関連性のある広告がどのようなものかという予測が可能になると、広告効果も高まるという点でも良い改善になると思います。

■広告プロダクト開発とユーザーの利便性の両面で成長

——では最後に、今後のTwitterの展望についてお教えください。

 くり返しではありますが、インターネット業界全体に起きた大きな変化、モバイルシフトと動画の消費。これらに対して、Twitterは様々な開発を行い、展開を広げます。これは広告収益の大きなチャンスでもあります。

 そのための理念は大きく3つ。Twitterの独自性を活かした「Win Launch」「Connect with What’s Happening」「Promote My Brand Story」を軸に進めていきます。動画広告は、これら3つの理念をすべて包括するようなプロダクトとなるでしょう。そしてレポーティングと計測の向上、システムの性能改善も理念を実現することを目的として開発していきます。

 そしてTwitter利用者の視点も忘れてはなりません。Twitterは、情報を求める人たちにとっての必需品とも言えるプラットフォーム。世界中のあらゆる人たちに対し、情報を獲得できる手段としてあり続けることはパワフルなミッションです。5年、10年という長いスパンの中で、追求していく必要があると考えています。

MarkeZine

「Twitter」をもっと詳しく

「Twitter」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ