2022年版「少子化社会対策白書」現状と対策実施状況まとめ
2022年6月15日(水)12時45分 リセマム
「少子化社会対策白書」は、少子化社会対策基本法(2003年法律第133号)第9条の規定に基づき、少子化の状況および少子化に対処するために講じた施策の概況について報告を行うもので、政府が毎年国会に提出しなければならない。
内閣府のWebサイトでは、「少子化社会対策白書」の概要と全体版を掲載している。第1部では、少子化対策の現状を紹介。厚生労働省の「人口動態統計」を基にしたデータによると、2021年の総人口は1億2,550万人で、年少人口(0〜14歳)は1,478万人(11.8%)、生産年齢人口(15〜64歳)は7,450万人(59.4%)、65歳以上人口は3,621万人(28.9%)。2020年の出生数は84万835人で過去最少となり、合計特殊出生率は1.33と前年より0.03ポイント低下した。
2020年の都道府県別の合計特殊出生率をみると、全国値の1.33を上回ったのは35県、下回ったのは12都道府県。合計特殊出生率がもっとも高いのは沖縄県(1.83)、ついで宮崎県(1.65)となり、もっとも低いのは東京都(1.12)、ついで宮城県(1.20)となった。
第1部では「新型コロナウイルス感染症影響下における少子化の現状と対策」を特集として掲載。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、婚姻件数および妊娠届出数は2020年同様減少傾向がみられる。新型コロナウイルス感染症拡大前(2019年12月)と比較した意識の変化では、20・30歳代が他の世代より「生活の維持、年収」「仕事」「結婚、家族」の不安が増しており、特に20歳代では「人間関係、社会との交流」、30歳代では「子供の育児、教育」の不安がそれぞれ増していた。家事・育児時間については、男女ともに約20〜40%が「増加した」と回答。テレワークの普及等により、子育て中の柔軟な働き方が可能となり、家庭内の家事・育児分担を見直すきっかけとなっている状況もうかがえる。
第2部では、少子化対策の具体的実施状況を紹介。重点課題として「結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる」「結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる」「科学技術の成果等新たなリソースを積極的に活用する」といった5項目があげられており、それぞれ具体的な対策と取組み状況等を報告。その他、結婚前から子育てまで、ライフステージの各段階における支援や環境整備等の施策について紹介している。
トピックスでは、「男性の育休取得と家事・育児参画促進」として、意識改革や実践的なスキル習得を目的とした「パパ大学」の開催等に取り組む岐阜県岐阜市の「ぎふし共育都市プロジェクト」等を紹介。また、「地域の結婚支援人材育成の支援」では、地方公共団体が行う結婚支援のさらなる質の向上を図るため、「結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム」の概要や、策定時の企画委員会委員長である板本洋子氏が「結婚応援に関する全国連携会議」で行った講演の内容を紹介している。
2022年版「少子化社会対策白書」は、さまざまな観点から少子化対策を捉えており200ページ弱にわたる。全文は内閣府のWebサイトからPDF版で閲覧できる他、発行後は全国の主要書店、政府刊行物センター等で購入できる。