脱北作家が語る「金正恩の生い立ちと本性」が悲惨で禍々しすぎる ! 人妻不倫・隠し子・恨み…集団餓死事件も(インタビュー)

6月15日(金)7時0分 tocana

撮影=編集部/『跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体』(双葉社)

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 作家・金柱聖(キム・ジュソン)氏は関西生まれの在日3世である。

 金氏は、朝鮮学校で民族教育を受けて育った。自宅でも学校でも金日成主席の肖像画が掲げられ、神格化された彼を崇拝するように教えられていたのである。

 当時、金氏が通っていた朝鮮学校では、北朝鮮を「偉大なる祖国」であり、「地上の楽園」であると呼んでいた。誰もが平等に暮らし、貧富の差もなく、無償治療・無償教育が施されていると教えられたのである。そのような洗脳教育により、当時の金氏は、北朝鮮を憧れのパラダイスとして信じて疑わなかった。

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 1970年半ば、金氏が15歳の時に、朝鮮総連幹部だった祖父母と共に北朝鮮に渡る。当時、在日朝鮮人とその家族を祖国である北朝鮮に永住帰国させる北朝鮮帰国事業(1950年代〜1984年)が盛んだった時代である。

 しかし、希望を胸に抱いて地上の楽園であるはずの祖国に降り立った時、金氏は衝撃の事実を目の当たりにする。十数年前の過去にタイムスリップしたかのような人々の貧しい暮らしぶりに愕然としたのだ。聞かされていたこととあまりにも違う北朝鮮のひどい実情に落胆した金氏の祖父母は、帰国後次々と亡くなってしまったという。

 その後、孤独になった金氏は、先に帰還していた親戚の家に身を寄せながら肩身の狭い思いをしながら暮らすことに。苦学を重ねて師範大学を卒業した後、大学の講師を経て、朝鮮文学創作社(作家同盟)などに勤務して作家活動を始める。そして、作家としてのキャリアを重ねながら文才が認められた金氏は、国家公務員である「宣伝扇動部」の作家として、金王朝を讃え人民を文学で洗脳する「洗脳文学」作家として活動したのである。

 2009年、30年過ごした北朝鮮から脱北した金氏は、現在韓国ソウルに在住。現在も作家として北朝鮮の実情を伝えている。

 そんな脱北作家である金氏がこのたび、初めての手記『跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体』(双葉社)を上梓した。

 同書には、金氏の数奇な人生と知られざる北朝鮮の人々の暮らしなど、目からウロコの真実が記されている。

 北朝鮮の最高指導者である金正恩が初めて韓国を訪れ、文在寅大統領との首脳会談に臨み、さらに米朝首脳会談も実現させたことで、朝鮮半島の非核化と南北融和が進むなか、北朝鮮の今後の動向は近隣の日本にとっても大きな関心事である。

 TOCANAでは、金氏に直撃インタビューを敢行。脱北から10年経った今だからこそ話せる北朝鮮という国家の正体を暴露してもらった。


■北朝鮮の人民たちに人権や自由の意味はわからない

——今回の『跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体』を書かれた目的は何だったのでしょうか?

(金 柱聖氏、以下、金氏) 皆さんにとって、北朝鮮という国が謎すぎると思うんです。というのも、普段から北朝鮮でよく質問されることが、「なぜ、北の人民は金一族の独裁体制に対して、民主化しようと反発しないのか?」ということなんです。

 けれど、それは自由とか人権を味わった人だからこそ、投げかけられる質問なんですよね。北朝鮮の人たちも、皆さんと同じ人間なのです。ですが、自由とか人権に関して認識できてさえいないので、今みたいな恐怖政治の独裁体制が維持されているんです。

 だから、私の手記を読んで北朝鮮の実態を理解していただくことにより、皆さんが違った角度から北朝鮮のことを考えられるのではないかと思ったのです。


——金さんは、関西出身の在日であり、北朝鮮で実際に生活をされ、そして、脱北されたという興味深いご経歴をお持ちですね。現在、メディアからの注目も高まっていると思いますが、主にどのような質問を聞かれるのでしょうか?

金氏 北朝鮮で時たま起きる問題に関する問い合わせが多いですね。たとえば、軍事パレードが行われたら、映像に映っているものに関してどんな意味があるかなどを尋ねられます。私はいわゆるコメンテーターとして、北朝鮮の実態を分析したり予測したりしています。


——脱北されてから約10年経っていますが、北朝鮮を離れてからも現在の実情がわかるものなのでしょうか?

金氏 それは、今でも北朝鮮に情報源を持っているからです。今、韓国に約3万人以上の脱北者がいますが、その80%以上がもともと中朝の国境沿いに住んでいた方なんです。国境付近に住んでいる北朝鮮の方は、中国の携帯を不法所持して、国際電話をしているんです。だから、韓国に脱北した方は、北朝鮮の親戚ないし身内の方などと常に電話のやり取りをしているし、北朝鮮の実情もある程度教えてもらえるんです。


■北朝鮮の社会主義はすでに崩壊している

——でも、そうやって国外にいる人々とこっそり連絡を取っていると、北朝鮮当局から盗聴されないのでしょうか?

金氏 もちろん、当局では国外とのやり取りは制限していて、こっそり連絡を取り合っていることがバレて捕まっている人もいます。

 でも、統制する側も締め付けを強くすると、人民からの反発が大きくなるのを知っている。けれど、上層部からの命令で叩かざるをえない。実は、北朝鮮では、統制する側も食うに困っているんです。だから、わざと軽く叩くことで「許してやるから金を払え」となる。捕まったほうも統制する側が大変なのを知っているので「金を払うから大目に見ていただけますか?」となるのです。

 つまり、お互いに助け合っているという微妙な関係が維持されている。上層部では「ちゃんと統制しろ」と命令していても、実際には統制されていないのが今の実情です。


——じゃあ、今の北朝鮮では国家が人民を完璧にコントロールできているわけでもないんですね。

金氏 そうです。ただ、体制はそのまま維持されていますよ。だけど、以前のように国家が統制する人たちに、ちゃんと給料を支払っていないんです。

 なので、統制する人たちも「法を犯した人民たちを捕まえて法的に処理をしたところで、国家からきちんと給料がでない。だったら目をつぶってあげて、人民たちから何かもらった方が得じゃないか?」という考えなんですよ。


——今、北朝鮮は人民に給料を払えない状態なんですか?

金氏 給料は支払われます。でも今、市場価格と国家価格の格差がすごく広がっているんですよ。私も北朝鮮にいた頃、国から支払われていた給料は、3000ウォンぐらいでした。

 当時のレートで言うと、100ドルが北朝鮮の約30万ウォンだったんですよ。つまり、私の給料の3000ウォンを日本円に換算したら100円程度です。北朝鮮の市場価格がお給料でまかなえるならいいんですが、実際はそうじゃなく、米1キロで1500ウォンもする。つまり、私の1カ月の給料では米2キロしか買えない計算になる。だから、国家から給料をもらっても焼け石に水でとてもじゃないけど足りないんです。北朝鮮の法律的には、人民が商いをするというのはすべて不法なんですが、今はそれを容認せざるを得ない状況です。


■金日成の死と集団餓死事件

——北朝鮮の人々は、住む場所や食料などの生活必需品は全て国から支給されるので、給料が少なくても困らないのではないでしょうか?

金氏 以前は確かに、国家が食べ物や衣服など基本的な生活必需品の物資状態を把握して、一切をちゃんと供給していたんですよ。

 たとえば、あの当時は15日単位で食料供給がありました。15日目に配給所に行って自分の家族の分の食料をもらいに行くんです。

 規定量もあって、成人は1日700グラム。学生であれば、低学年で400 グラム、高学年で600 グラム。幼稚園児で300 グラム。仕事を持たない家庭の主婦は300グラム、新生児は100グラム。このように、ちゃんと国家が供給量を緻密に決めていたんですね。
でもやっぱり子供が多い家族だと、国家がくれる食料だけでは足りない。そんな時は、近所のお米が余っている人から借りて、次の供給の時にまた返すという具合に助け合っていました。

 国家がくれる食料供給の量は確かに少ないし、不足はしていました。でも、餓えることはなかったんです。国家が計画的に一切の供給品を人民たちにあげて、人民たちが国家計画を果たすために一生懸命に労働する。それが、いわゆる北朝鮮のちゃんと整備された社会主義制度だったんです。でも、1990年代に金日成が亡くなってから歯車が狂ってしまった。


——金正日の政権時代になってから、国家計画が破綻してきたんですね。

金氏 そうですね。最初の原因というのは、東ヨーロッパの社会主義国家の崩壊でしたね。80年代の終わりにハンガリーから始まってドミノのように次々と倒れだして1991年に旧ソ連が崩壊した。

 北朝鮮の国家経済や政治力や統制力は、旧ソ連などの社会主義国家の後ろ盾があったからこそ維持できていた。けれど、旧ソ連が倒れると同時に、1994年に金日成が亡くなって、北朝鮮はいわゆるパニック状態に陥った。食糧危機に陥ったため、国家からの供給が完全にストップし、数百万人ともいわれる人々が集団餓死してしまったのです。


■金日成の死の謎

——陰謀的な話になりますが、北朝鮮の建国の父である金日成は、病死だとされています。ですが、「息子の金正日が暗殺した」とかいろいろ死亡説には謎が多いですよね。

金氏 金日成が死亡した直後は、いろんな噂が飛び交いました。でも、金正日が金日成を暗殺するなど、いくらなんでも自分の親父を殺すのはちょっと無理があるんじゃないかなとは思います。ただ、心筋梗塞による病死というのも疑問なんです。というのも、金父子に関する医療設備は世界一ですから病気で死ぬわけがないんですよ。


——この地球上で最高の医療が受けられるわけですね。

金氏 そう。アメリカの大統領もあの医療レベルには敵わないと思います。だって国全体のパワーが金父子に集中しているし、金を湯水のように注ぎ込んでいる。だから、金父子が「現地視察」という理由で平壌を離れて地方に一歩出るとなると、ものすごい行列ができるんです。

 私も一度だけ、金日成の行列を見たことあります。ベンツのセダンに始まり、小型バス、トラックなど1時間ぐらいかかって車両が通り過ぎる様子を見て舌を巻きました。

 金父子が移動すると軍隊の一個師団ぐらいある巨大な護衛が付いていきます。そして、治療装置、食堂、散髪屋まですべてのものが一緒についていく。それが北朝鮮のルールであり原則なんです。

 金日成が死んだ場所は、妙香山にある北朝鮮のトップクラスの別荘でした。金日成には医療軍団ともいわれる最高クラスの医療技師がついていたので、応急手当ができるはずなんです。だから、病死というのはおかしい。でも、当時平壌にいた金正日は、父親の急病を聞いて、平壌で応急手当ができるようにとヘリを別荘まで飛ばした。けれど、当時の妙香山はものすごい霧でヘリが降りられなかったとかいう説もあります。いろいろ憶測が飛び交う、未だに不可解な死ではありますよね。


■金正恩の影武者は14人いる!?

——これも陰謀論になりますが、「金正恩に影武者が14人いる」という噂があるんです。「2012年以来、実は本物は表に出てきていない」とも言われています。南北会談のときも本人ですか?


金氏 南北会談は間違いなく本人ですよ。そういう陰謀論は結構ありますよね。「金正日には影武者がいた」とかも言われていましたし。この本にも書いていますけれど、金日成や金正日は、自身の映画を作るために自分そっくりの人をわざわざスカウトして俳優にしたという話は確かにあります。


——整形までさせたみたいですね。

金氏 それは本当ですよ。外国から一流の整形外科医を呼び寄せ、瓜二つになるように手術を受けさせたそうです。金日成を演じる俳優は「一号俳優」と言うんです。「一号俳優」を使った金日成の映画は、実際に公開されました。金正日にもそういった映画を作る計画はありましたが、取りやめになりましたね。

 ただ、金正日役の俳優としてスカウトされた人間は存在するんですよ。晩年、金正日は糖尿病を患った病体だったので、公式な会議で長時間座っているのは厳しかったんです。だから、会議で金正日の代わりに、そっくりな俳優を座らしておいたという噂はあります。それに、彼が会議に出席しなかったとなると、国内に潜む反乱派が旗を掲げる恐れもありますからね。


■金正恩は異常な性格?

——北朝鮮の最高指導者は、初代・金日成、第2代・金正日と続いて、現在、第3代は金正恩です。彼は、どういった人物だと思いますか?

金氏 今回の本にも少しだけ書きましたが、金正恩さんのことは把握できないので、はっきりとはわかりませんね。ただ、個人的に思うのは、たぶん性格は普通じゃないと思う。


——異常だということですか?

金氏 それは、彼の生い立ちを見ればわかります。金正恩は、第2代・金正日の三男として生まれました。彼の母親である高英姫(コ・ヨンヒ)は、大阪の鶴橋出身の在日です。

 金正日は、女性関係がいつも乱れていて、若い頃、自分より5つも6つも年上の人妻と不倫関係になった。そして、略奪した人妻から生まれたのが長男の金正男(キム・ジョンナム)です。

 でも、それからも金正日は、女優と不倫したり女遊びをやめなかった。そして、とうとう金日成が仲人を立てて彼に結婚を強いたんです。金正日は反発したのですが、妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)になだめられて正妻となる金英淑(キム・ヨンスク)と結婚をした。正妻の間には、娘が2人生まれたんです。でも、金正日は正妻には寄り付かずに、踊り子だった高英姫との間に子ども3人(次男:正哲、三男:正恩、三女:与正)をもうけたのです。金日成にバレたらどんな恐ろしいことになるかわからないので、金正日は高英姫の間にできた子どもたちの存在を隠していました。彼らを海辺の別荘にひっそりと隠して生活させたんです。

 そこで金正日は、在日である高英姫のことを思って、「金正日の料理人」として知られる藤本健二さんを呼んで一緒に住まわせて寿司を食べさせた。隠れ住んでいたのですから、金正恩やその兄妹も肩身の狭い思いをしていたはずです。


——つまり、「金正恩はこの世に存在していない」ということにしていたんですね。

金氏 実態すら知らせてなかった。金正日がみんな隠匿してしまったんですよ。だから、当時の幹部たちは、女房でも妾でもない女の子どもである金正恩を差別して馬鹿にしていたと思います。やがて、国内の誰かに告げ口されるのを恐れて、金正日は彼らをヨーロッパに留学させましたよね。そういった複雑な経歴からすると、今、王座についた金正恩は、「以前俺をバカにした人間は粛清する!」という考えになるのは当然だと思いますよ。


——では、自分の腹違いの兄であった金正男を殺害したのはやっぱり金正恩なんでしょうか?

金氏 金正恩が実際に「殺せ」と言わなくても、側近のやつらが気を利かせて、危険だと判断した人物を暗殺した可能性はあると思います。だから、自分の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)を死刑にしたのもそうでしょう。

 たとえば、金正男がメディアに接触している様子を見て、金正恩が彼を疎ましく感じる発言をしていたとします。すると、それを横で聞いていた側近が「じゃあ殺ってしまおう」となったのかもしれません。証拠はないんですが、成り行きからするとそうだと思いますね。


■金正男はいつもひとりぼっちだった

——「生前の金正男をホテルで見かけたことがある」と本書に書かれていましたよね。

金氏 平壌にある近代的な高級ホテル「高麗ホテル」でよく見かけました。小柄で親父の金正日そっくりでしたよ。コーヒーショップの片隅や地下のスナックのカウンターで、いつも1人で寂しく座っていました。本当にいつも1人で、誰かと一緒にいたところを見たことがありません。

 だから、私の正男の印象は「ひとりぼっち」というものでした。我々からすると、北朝鮮ロイヤルファミリーの金一族もやっぱり人間なんですよね。彼らは一見すると自由に見えます。でも、ある意味、閉ざされた国にいるので本当の自由はありえない。それに、下手をするといつ殺されるかもわからない人たちでもあるんです。正男もそうですが、かわいそうな人たちなのかもしれません。


 金王朝の独裁体制によって翻弄されてきた北朝鮮という国の事実が、金氏の話から垣間見えた。北朝鮮の体制が、建国の父・金日成の死とヨーロッパの社会主義国家が崩壊したことにより、今、少しずつ資本主義寄りに移行しているようにも思える。

 複雑な生い立ちの金正恩が若き革命家となるか? 世界で最も恐ろしい独裁者になるのか? 我々も注意深く見守っていかなければいけないだろう。
(取材・文=白神じゅりこ)


※撮影=編集部/『跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体』(双葉社)

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