子どもの入院付き添い「母親じゃないとダメ」という壁も…管理職パパが2回に分けて取得した育休で感じたこと

2021年6月18日(金)18時22分 マイナビ子育て

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は2人目の娘さんのときに2回の育休を取得したパパと、パートナーのママにお話を聞きました。

産後すぐと保育園入園直後、2回の育休を取得した小山家

今回のパパ小山道彦さん/35歳/官庁向けシステムソリューション(営業・管理職)/パナソニック コネクト株式会社

●ご家族妻:優美さん/32歳/会社員長男:翔くん/4歳 真菜ちゃん(2歳)(※本人と家族、名前はすべて仮名です)

●小山家のパパ育休2021年6月に第2子の長女が誕生。出産直後からおよそ1.5カ月の育児休業を取得。長女の保育園入園に合わせ、2023年4月に2回目の育休を取得した。

小山さんの平日のスケジュール

「管理職でも1カ月以上の休みが取れるのか!」

——道彦さんが勤めるパナソニック コネクトでは、男性育休の推進を掲げているそうですね。2022年度の男性育休取得率は約9割だとか。

道彦さん はい。現在の代表である樋口社長の就任後、男性も育児休業を取得しやすい企業にという考えが進められるようになりました。また、育休取得後も30日までは出勤扱いとなり、給与が全額補償されます。

——事前に2回育休を取得されていると聞きましたが、お一人目のときも取得されたということでしょうか?

道彦さん いえ。二人目のときに2回取得しています。一人目のときももちろん取得したかったのですが、当時は異動したばかりで、さらにそれが出向先だったので、タイミング的に諦めたんです。ただそのとき、初めての子育てを妻だけに任せて負担をかけてしまったという後悔があり、次の機会があれば必ず育児休業を取ろうと考えていました。

——それが実現したのですね。ちなみに2回の育休取得はどのタイミングでどれくらいの期間だったのですか?

道彦さん 産後すぐにおよそ1.5カ月、2回目は妻の復職と娘の保育園入園にあたり、4月に1カ月の育休を取得しました。

——2回目はちょうど慣らし保育の時期ですね。

道彦さん はい。2回目の取得は、妻と長女に新しい環境に慣れることに専念してもらいたい、今後を見据えて生活基盤を整えたいという思いでした。実際に生活の上でのさまざまなシミュレーションを経験できたのは、その先の自分の仕事をスムーズに進めるためにもよかったと思います。

——シミュレーションとは? 具体的に教えていただけますか?

道彦さん 例としてあげるなら、子どもが保育園で突然発熱して連絡がきたときにどう対応するかといったことですね。1回目の育休復帰後も家事・育児は分担していましたが、子どもの病院などは育休中の妻が連れて行くことがほとんどでした。「保険証ってどこにあるの?」と妻に聞きましたから(苦笑)。

——あるあるです! 妻側からすると「知らないの⁉️」となっちゃうかも。

道彦さん ですよね(苦笑)。今ではもちろん、置き場所を把握していますし、保育園の登録は私が第一連絡先となっており、電話がかかってきた時点で妻にも即共有します。そのあとはお互いのおおまかなスケジュールを予定共有アプリで把握しているので、対応できるほうが動く形ですね。具体的には症状によって病院を選んで予約し、お迎えに行って受診するのですが、これが今スムーズにできるのも、余裕のある育休中にシミュレーションできたことが大きいです。また、突発的なことが起きた場合に業務をどうするかも、考えることができました。

——有意義な時間ですね。昨年10月の法改正で、育休を分割して取得することができるようになりましたし、これから道彦さんのように複数回取得するケースが増えそうです。

道彦さん そうですね。これは私自身の考え方ですが、どんな仕事をしているにしろ、家族はいちばん大切な共同体で、家庭の円満・安定こそ仕事に好影響を与えると思います。これから取得する方にはどう取得するのか、どれくらいの期間が必要なのか、質の高い育休にするために何をするか、その回答は家族によって異なると思うので、夫婦でよく話し合って納得できる育児休業の取得を目指してほしいです。また、できるならば、旧来の社会システムを変えていくためにも、自分の体験を積極的に発信してほしいと思います。

——体験のシェア、大事です!

道彦さん 実際、私が最初に育休取得した際も若いメンバーから「管理職でも1カ月以上の休みが取れるのか!」と反響がありました。これから取得を目指す人たちに明るい未来のイメージを見せることができたのかなと思います。

家庭の円満を何より大事にしている小山夫婦。その秘訣の一つが夫婦ともに大好きなディズニーへと足を運ぶこと! 最近は息子くんが車好きなので、お土産にディズニーのトミカを買って帰るのが定番だとか。

子どもの入院付き添い「母親じゃないとダメ」という壁も

——さて、育休中のお話を聞きたいと思います。印象的な思い出はありますか? 1回目、2回目それぞれで教えてもらいたいです。

道彦さん 実は1回目も2回目も同じでして……。どちらも上の息子が病気で入院をしてしまったんです。

——2回とも!? 

道彦さん はい。1回目はRSウイルスに罹患して、2回目はぜんそくの悪化で入院しました。1回目はとくに大変でしたね。

優美さん 1回目の入院騒動は産後直後の入院中にに起きたので、私はどうすることもできなかったんです。

——赤ちゃんが生まれたばかりのときに、上のお子さんにまさかそんなことが起きるなんて誰も想像しませんね。

道彦さん そうなんです。もともと妻が退院してから、私の育休がスタートする予定だったのですが、有給などを使って早めました。さらに息子が入院するにあたり、泊まり込んでの親の付き添いが必要だと言われたんですが、どこも母親じゃないとダメだという病院ばかりで……。父親でも受け入れてくれるところをやっとの思いで見つけましたね。

——どのくらいの期間、入院されたのですか? 

道彦さん 2週間です。

——長い! 今、長男くんは4歳だから、2歳のときの話でしょうか?

道彦さん そうです。2歳です。なので、年齢的にも元気になってくると今度は病院の柵のある狭いベッドにいること自体が大変で……。息子との絆は深まりましたが、とてもしんどい日々でした。

優美さん 本当に大変だったと思います。実際、退院後は夫がとてもやつれていました。

——お疲れ様でしたね。ただ、それが再び起きたんですね。

優美さん はい。2回目は私もいましたが、夫婦で「まさか息子の入院がまたあるとは!」という気持ちでした。

道彦さん 「私が育休をとると、息子が入院になる」という嫌なジンクスができてしまいまして……(苦笑)。

優美さん でも、育休中でよかったです! 2回目も夫がいたおかげで、夫婦で連携して動けたので、とても助かりました。

「長男は風邪をこじらせると、ぜんそくになりやすいので、早めのケアが大事。ピジョンの電動鼻吸い器が大活躍しています」(小山さん)

「18時以降は基本会議NG」とスケジュールに書き込む

——ここからは復帰後のお話を聞きたいと思います。子育て家庭の中にはパパが育休を取得できても、復帰後の生活は忙しく、結局はママのワンオペに……といったケースが少なくないようです。道彦さんのお仕事はいかがでしょう?

道彦さん 復帰後の働き方は早くから意識していました。最初の育休取得前には「復帰後も育児に積極的に参加したい」と上司に伝えましたし、それに対してとても温かく「業務都合はあるものの、臨機応援に」とフォローと理解を示してもらうことができました。

——具体的にしている工夫を教えてください。

道彦さん 社内の共有スケジュールに「18時以降は基本会議NG、要相談」と記入しています。また、出社と組み合わせながら、在宅勤務制度も活用しています。

——共有スケジュールへの書き込みはいいですね。

道彦さん はい。最初は勇気がいりましたが、家族との時間を優先しているとメンバーに知ってもらうことは、必要だったと思います。もちろん、忙しく難しいときもありますが、基本的には長い残業をせずともしっかり業務を進められるように、効率をあげることを意識しています。

妻の指導のおかげで、家事力がアップ!

——普段、夫婦間で家事・育児のバランスはどのようにコントロールされていますか?

道彦さん おおよその担当家事は決まっていますが、基本的にはできるほうが対応します。ただ、どちらかに偏りがないように、片方が対応したら、次回はもう片方がなど、2人のバランスが取れるように意識していますね。

優美さん 具体的な家事でいうと、スケジュールでは私が料理を作って、夫が食器洗いとなっていて、そのパターンもよくあるのですが、夫が料理を担当する機会も多いですね。そのときは私が食器洗いをします。

道彦さん 料理をはじめ、家事の上達は、妻の長年の指導のおかげです。

おもちゃはリビングのこの棚におさまるだけと決めている小山家。出産をきっかけにものが少ない生活にシフトしたそうです。

——素晴らしいコーチがそばにいて心強いですね! このリビングも物がすっきりと少なく、とても綺麗ですし……(この日は小山さん宅で撮影・取材)!

優美さん ベビーグッズなどの使わなくなったものは、基本的に処分したり、友人にあげたりが多いので、持ち物は少ないほうかも。夫の家事に関しては結婚当初から「練習してみよ! 練習練習!」と声をかけて、なんでもおまかせし、トライする機会を作っていました。

先ほど夫が話した病院受診の件もそうですが、今では彼が自分で判断してなんでもしてくれるようになったので、とても助かりますね。ただ、料理に関しては素養があったと思います。結婚前は彼がお菓子作りを趣味としていて、なぜか私がバレンタインデーにチョコをもらっていましたから(笑)。

——バレンタインデーに手作りチョコをプレゼントしてくれる彼氏、素敵です!

道彦さん お菓子作りもそうでしたが、今も料理を作ること自体がとにかく楽しいんです。作っていると没頭できて、心が休まります。

——自然と息抜きになっているんですね。ほかにもお互いに何か趣味の時間をとったり、育児から離れて一人で出かけたりはありますか? 

優美さん 私は仕事復帰してから、会社の飲み会もときどき行くようになりましたね。ただ、彼はそういったことがほぼなく……。子どもたちと過ごすことが一番だと本心から考えているようです。

道彦さん (うんうんとうなずく)

——息子さんも娘さんも懐いているでしょうね。

優美さん そうですね。とくに下の娘はどんなときも「パパがいい!」と言うくらい、パパっ子に育っています。

——それはデレデレなのでは⁉️

道彦さん もちろん! とても嬉しいですね!

2人とも在宅勤務の日は時間が合えば、夫婦でランチ。道彦さんが作ることもあるそう。

(取材・文:江原めぐみ、撮影:福冨ちはる、イラスト:ぺぷり)

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