無差別暴漢対策 逃げる→隠れる→戦うの順序守ることが重要

6月18日(月)7時0分 NEWSポストセブン

小島容疑者のような人物にどう対応すべきか(時事通信フォト)

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 6月9日。東京を出発した新幹線のぞみが新横浜を発車して数分後に惨劇は始まった。12号車のシートに座っていた小島一朗容疑者(22)が無言で立ち上がるなり、手にしたナタで両隣の女性に切りかかった。


 二列後ろの席から制止しようとした会社員の梅田耕太郎さんは、小島容疑者に何度も切りつけられ、命を奪われた。梅田さんが助けようとした2人の女性は、一命をとりとめた。


 取り調べで小島容疑者は「誰でもよかった」と供述し、無差別な犯行であったことを自供。梅田さんら3人は、全くもって運悪く小島容疑者のそばに居合わせてしまった。それは、誰が被害者になってもおかしくなかったということでもある。


 この殺傷事件で、無差別殺人の衝撃とともに、世間に驚きをもって受け止められた対策があった。少なからぬ乗客が、車掌の呼びかけに応じてシートの座面を取り外し、盾のように構えて避難していたのだ。これは、JR東海の乗務員が行なう訓練で実施されている正規の防犯対策だった。


 座面が着脱式なのは、もともとは清掃と取り替えを簡略化するためだったというが、JR東海東京広報室によれば、「車両内で男性が包丁を振り回した2016年の暴漢事件をきっかけに、防犯対策として導入した」とのこと。


 実は、乗り物や施設には「その場所ならでは」の対策が施されている。危機管理コンサルタントの丸谷元人氏は、どのような状況であっても原則的に「【1】逃げる、【2】隠れる、【3】戦う」の順序を崩さないことが重要だと指摘する。


「走行中の新幹線は車両外へ出ることはできません。たとえば、ゴルフクラブを持った暴漢が車内で暴れ出した場合、やはり最初にやるべきは、別の車両へ逃げること。あるいはトイレが空いていたら中に入って鍵を閉め、扉の外から聞こえてくる音がどんなに気になっても、絶対にドアを開けずに隠れ続けることです」


 逃げる際に余裕があれば、各車両にある非常ブザーを押しておくのも“新幹線特有”の対策だという。非常ブザーと各車両のカメラが連動しているため、「ブザーを押せば、車掌はどの車両で何が起きているのかを一目で把握できるようになっています」(JR東海東京広報室)という。つまり、逃げると同時に「助け」を呼ぶことができるのだ。


 ただし、日本防災教育訓練センターのサニーカミヤ氏は「話題になったからといって、座面シートにこだわらないで」とくぎを刺す。


「新幹線は通路が狭く、乗客が一斉に逃げようとすれば、かならず通路で渋滞が起きます。そんな状況で、多くの人がかさばる座面シートを抱えていたら、ますます避難速度が遅くなってしまう。暴漢の近くにいる人が座面シートで身体を守ろうとするのは意味がありますが、離れた場所にいる人は『何も持たず、急いで逃げる』が原則です」


※週刊ポスト2018年6月29日号

NEWSポストセブン

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