「小林麻央さんの訃報がショックで、セルフチェックをしたら」——元SKE48メンバー矢方美紀、乳がんを語る #2

6月19日(火)11時0分 文春オンライン

 いつも「幸せだな、私」と思って生きているという元SKE48メンバーで、現在名古屋で活躍中の矢方美紀さん。4月に乳がん治療中であることを公表しました。乳がんだと気がついたのは、偶然メディアで見たセルフチェックがきっかけだったそうです。外見の変化も前向きにとらえる矢方さんの「幸せ」の根幹にあるものとは(全3回の2回目/ #1 より続く)。



矢方美紀さん



小林麻央さんの訃報がきっかけだった


──乳がんに気づいたのは、セルフチェックがきっかけとお聞きしました。それまで、定期的に健康診断やセルフチェックをされていたんでしょうか。


矢方 いえ、まったく。定期健康診断もちゃんと受けていなかったです。SKE48時代は、メンバーがたくさんいる分、インフルエンザみたいな感染症にはものすごく気を遣っていたんですけど、健康診断に関しては個人に任されていました。忙しい中でも大きな病気をする人がいなかったので、身近なメンバーの間では「うちらのグループ最強だね」なんて言ってたので、自分が病気になるなんて思ってもいませんでした。


──なぜセルフチェックをしようと思ったのですか。


矢方 小林麻央さんが亡くなられたのがショックだったんです。お会いしたこともないんですけど、同じ働く女性として憧れの方で、ずっとブログも見て応援していたので、ちゃんと知らないとダメだな、と思って「乳がん」「調べ方」みたいなキーワードでインターネット検索して、試しにやってみました。



──そうしたら、異変に気がついた。


矢方 私の場合は、しこりがすごく分かりやすいところにあったんですね。触ってみたら、左の胸にポコっとビー玉みたいな丸みがあって。「これがしこり?」と思って、病院に検査に行ったら、乳がんだと診断されました。


──診断結果を聞いて、どんなお気持ちでしたか。


矢方 まさか自分が言われるとは思っていなかったので、ショックというよりは「なんで」って思いました。そもそも、20代ではならない病気だと思っていましたし、「煙草も吸わない、お酒も全然飲まない私がなんで?」という気持ちが大きかったですね。



仕事を辞めなくちゃいけないのかな


──SKE48を卒業して、やっとこれから自分の目標に向かって進もうというタイミングで、仕事に対する不安も大きかったのでは。


矢方 最初は、仕事を辞めて治療に専念しなくちゃいけないのかな、と思いました。でも私は仕事が好きなので、担当の先生にその気持ちを話したら「お仕事は辞めなくて大丈夫ですよ」と言っていただいて。仕事と治療を両立させながら病気と向き合っていけるなら、頑張ろうと思いました。



──仕事と治療の両立は、就労世代のがんサバイバーの方にとって大きなテーマでもあります。


矢方 これから抗がん剤治療が始まると、副作用が仕事にどこまで影響するかわからないので、そのあたりはすごく心配ですけど、でも今日みたいに東京からわざわざ名古屋まで「がんについてお話を聞かせてください」って取材に来てくださるとか、想像もしていなかったご縁をいただくようにもなったので、何とかなるかなと思うようにしています。私生活でも、自分から言わなければ何も変わらないので、あまり病気のことばかりを考えないようにしています。


全摘出とリンパ節の切除を決断した理由


──女性は特に外見の変化も気になります。矢方さんは左乳房の全摘出とリンパ節切除の手術もご自分で決断されたそうですが、ほかの治療方法を選択しなかったのはなぜですか。


矢方 一部を残す治療法もあったんですが、全摘出よりも再発率が高くなるんです。それに、ずっと体の中に悪いものがあるのは、すごく嫌だなと思って。胸がなくなるのはショックだけど、それよりも病気を治したいという気持ちの方が強かったんですね。全摘出しても再建という方法もあるという話や、手術して完治された方の話も聞いたりして、だったら1回全部取って病気を治してから考えようと、全摘出を選びました。




手術後、鏡を見て思ったこと


──手術後、鏡でご自分の体を見てどう思われましたか。


矢方 ここまでする必要はなかったんじゃないかと一瞬思いました。病理検査の結果がすごいよかったら、全摘出しなくてもよかったと後悔するんじゃないかって。でも、手術してみないとわからないし、それはもう自分の将来も考えて受け入れるしかないと思うようにしました。それに、誰もができる経験じゃないので、じゃあ私はこの経験を生かして誰かを励ましたり元気づけたりできたらいいなと前向きにとらえることにしました。



──脱毛なども気になりますが、それも前向きに。


矢方 抗がん剤治療で、外見の変化がいろいろ出てくるかもしれませんが、ウィッグや帽子でカバーできると思っているので、そこも楽しみながらやれたらいいなと思います。抗がん剤治療で脱毛経験のある方がSNSで「こういうことをするといいよ」ってアドバイスをくださるのも参考になりますし、本当に私って幸せ者だなと思っています。


──矢方さんがブログやSNSで病気のことを伝えるのも、誰かの元気や勇気につながっているのではないでしょうか。


矢方 ほんとですか? うれしい。私、生きている中で結構いいことがあるほうの人間だと思っているので、いつも「幸せだな、私」と思って生きているんです。晴れているだけで「ああ、生きててよかった」って思いますし、雨なら「傘を持っていてよかった」みたいな(笑)。とはいえ、たまにSNSに「泣いてます」とか書いちゃって、まだまだ弱い人間ですけど、生きているからそういうところもあるよっていうのは正直に伝えていきたいです。あふれる時はあふれるしかないので。


 あと、メッセージをくださった方とやりとりしていると、「感謝しています」ってお言葉をいただくことがあるんですけど、「いやいやいや、逆に最初にメッセージくれたのあなたですよ」って思うんですよ。私の存在を知ってメッセージを送ってくださって、感謝しているのは私の方です、って。



──「いいこと」があると信じるのが大事なんですね。


矢方 私は、仕事柄も性格的にも、開き直りじゃないですけど「やるしかねえ!」って決めて前向きに生きています。メッセージをくださる方のなかには、まわりの誰にも病気を打ち明けられずに隠して生きている方もたくさんいて、それがまたストレスになるという悪循環に苦しんでいる方もいる。そういう方には「1人じゃないよ。いつかは絶対いいことあるから、一緒に頑張りましょう」ってお伝えしたいですね。


写真=山元茂樹/文藝春秋



(相澤 洋美)

文春オンライン

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