スコットランドの湖に浮かぶ謎の人工島「クラノグ」に新事実。5600年以上前に作られたものだった(イギリス研究)

6月21日(金)20時30分 カラパイア

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F. Sturt; Duncan Garrow and Fraser Sturt, Antiquity 2019.

 古代から残されたミステリアスな建造物は、長い年月の経過が様々な事実をすっぽりと覆い隠してしまい、その謎を紐解いていくのは至難の業だ。

 ほんの少しだけ残された手がかりを頼りに、研究者たちは入念にパズルのピースを組み合わせていく。だがそれが報われた時、研究者たちは大きな喜びを手にすることができる。そこに彼らの心を惹きつけてやまない魅力があるのだ。

 イギリスのスコットランド周辺にある複数の人工島「クラノグ」もその1つだ。

 研究者たちは何十年とその調査を重ねてきた。そしてついに、これまでの定説を覆す新発見にたどり着くことができたのだ。

 約2800年前の鉄器時代に造られたと考えられてきた一部のクラノグが、実は5600年以上も前の新石器時代に造られたものであることがわかったのという。

Europeans Made Artificial Islands Over 5,600 Years Ago - ROBERT SEPEHR


・ヨーロッパに点在する謎の人工島クラノグ

 スコットランドとアイルランドの多数の湖に点在しているクラノグ。アイルランドにはより多くのクラノグが存在することが判明しているが、スコットランドだけでも実に570のクラノグが発見されている。

 研究者たちは、巨石や粘土、材木などから造られたこれらのクラノグを何十年にわたって研究し続けてきた。

・新石器時代のものとされる鉢が湖底で発見される

 ミステリーの紐解きには長い年月がかかる。これまでの調査からクラノグは約2800年前の鉄器時代に造られたものだと考えられてきたが、新石器時代の陶器が発見されたことで、長年の定説が大きく覆されることになった。

 当初、スコットランドのクラノグは紀元前800年頃に造られ、西暦1700年の中世後の時代まで再利用されてきたと考えられていた。

 しかし1980年代になると、これら島のいくつかはそれよりも遥か前に造られたものであるという説が浮かび上がってきた。

 更に2012年、元イギリス海軍のダイバーが、島々の近くの湖底で、非常に良い状態のままの新石器時代の鉢のような形の陶器を複数発見した。ダイバーが地元博物館にこの発見を知らせ、2人の研究者らが調査に乗り出した。

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・いくつかのクラノグは新石器時代に作られていた

 ともに考古学者でレディング大学のダンカン・ガーロウ氏とサウサンプトン大学のフレイザー・スタート氏は、2016年と2017年にチームを組み、スコットランド北部沖のクラノグのホットスポットとされるヘブリディーズ諸島に点在する複数のクラノグを調査した。

 2人が調査したのはアーニッシュ湖、ボーガスティル湖、ランガハット湖周辺の複数のクラノグで、ダイバーが何十もの新石器時代の陶器の破片を発見したのは、ボーガスティル湖とランガハット湖にある島の周辺だったという。

 これらの陶器は、恐らく何らかの儀式のために意図的に水中に落とされた可能性が高いと研究者らは見ている。

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Getmapping PLC; Duncan Garrow and Fraser Sturt, Antiquity 2019.

 また、放射性炭素による年代測定をしたところ、調査したクラノグのうちの4つが紀元前3360年〜3640年の間に造られたものであることがわかった。

 放射性炭素による年代測定だけでなく、土地および水中調査、古環境のコアリング調査、そして発掘調査などが、これら特定の島が新石器時代に造られたことを裏付ける結果となったようだ。


・クラノグは「特別な場所」であったようだが正確な目的は不明

 自然発生したものではなく、人の手で人工的に作られたとなれば、わずか10メートルほどの幅しかない島々でも、多くの労力を伴い完成に至ったことは想像に難くない。

 ボーガスティル湖のクラノグの1つは、本土へ繋がる石の土手道さえも造られてあったという。

 クラノグの一部は新石器時代に造られたものであるという今回の新たな発見は、当時の人々にとってクラノグが「特別な場所」だったという生活様式の発見にも繋がった。

 だが実際何の目的で使用されていたのかはまだはっきりわかっていない。

 これまで、スコットランドのクラノグのわずか10%が、放射線炭素で年代測定されているだけであり、各クラノグへの更なる発掘調査が必要とされている。

 今後の調査次第では、もしかすると今回の新石器時代よりもさらに古代に造られたクラノグが発見される可能性もあるかもしれない。
 
 この研究論文は6月12日の学術誌『Antiquity』で発表された。

References:curiosmos/ written by Scarlet / edited by parumo

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