給食がなくなる夏休み。子育て世代の悲願、学童保育の「昼食提供」はなぜ広まらない?

2024年6月22日(土)20時50分 All About

子どもが学童保育に通う保護者にとって、長期休みの弁当づくりは悩みの種。「全国学童保育連絡協議会」事務局次長の千葉智生さんと佐藤愛子さんに、昼食提供の取り組み状況などについて話を聞きました。(画像出典:茨城県境町 *1)

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学校給食センターや弁当事業者などを活用。増えつつある「昼食提供」

夏休みなどの長期休暇には、お弁当を用意しなければならない学童保育がほとんど。働く親の負担は小さくありません。
しかし最近は、長期休暇に昼食を出す学童保育が出てきました。保護者の負担削減や、弁当持参による食中毒防止などが目的です。
こども家庭庁ではいくつか事例を紹介しています(*2)。たとえば、茨城県境町では、2021年度から学校給食センターを活用して、町内すべての学童保育で1食250円で昼食を提供しています。
登録している子どもの9割以上が利用しているそうです。
また奈良県奈良市や東京都港区のように、弁当事業者と連携している自治体もあります。奈良市の場合、1食あたり250円で、登録している子どもの約4割が利用しています。
島根県では、民設民営の認定こども園の調理室で調理した昼食(おかずのみ)を、同じ法人が運営する学童保育(公設民営)へ1食あたり200円で提供している事業者があります。
ごはんと汁物は学童保育内で子どもたちと指導員が一緒に調理し、食育の機会にしているそうです。
その他、青森県では週に1回、こども食堂と連携した取り組みがあります。
子ども家庭庁が全国1633市町村に実施した調査によると、昼食を提供している学童保育数は全体の約2割でした(※昼食提供しているかどうかを把握している1万3097カ所の学童保育のうち、2990カ所、22.8%にて提供)。
増えてはいるものの、実施している自治体はまだ少数派といえます。

給食設備、感染症対策……。学童保育で昼食提供が進まない理由

「学校給食法」では、給食に必要な設備や人員について細かく定められています。しかし小中学校とは違って、学童保育にそうした規定はなく、設備や人に制限はかけられていません。
学童保育の普及・発展のために活動する「全国学童保育連絡協議会(以下、全国連協)」の事務局次長である千葉智生さんは、次のように話します。
「かつては長期休みに週1回くらいの頻度で、昼食やおやつを職員と子どもが一緒につくる学童保育も多くありました。
しかし、食中毒の発生により中止になったり、おやつを袋菓子に限定したりするところが増えていきました。コロナ禍以降、おやつ自体を廃止した学童もあります。

その一方で限られた設備を駆使して、毎日とはいわずとも週に数回は食事作りをしたり、子どもたちにごはんと好きなレトルト食品を持参してもらって、温めて出したりしているところもあります。
指導員が工夫して、子どもたちの食を考えてくれているところもあるんです」

地域によってできることを考えるのが第一歩

現状の設備や人員を考えると、学校給食のような昼食を学童保育に求めるのは、直近の解決方法としては現実的ではありません。
学校の敷地内にある学童保育であれば、小学校の給食室を使えそうですが、長期休暇中には給食室をメンテナンスする学校もあるようです。
全国連協の事務局次長である佐藤愛子さんは、次のように話します。
「本当は成長期の子どもに必要な栄養素や旬の食材を考慮して、栄養士さんがメニューを考案してくれるのが理想的です。でもなかなか難しいのが実情です。
大企業に一括で仕出し弁当のようなものを頼むという方法もありますが、もし可能なら、地産地消にこだわる地域のお惣菜屋さんなどに用意してもらうのがいいだろうと思います。
地元のお店ならお店の人が子どもたちに声をかけてくれる機会や、子どもたちが親と利用する機会もあるだろうし、温かなつながりも生まれそうですよね」
もちろん大企業と違ってそんなに大量には用意できないため、現実的なハードルはあるでしょう。ただ頭から無理と決めつけず、検討する価値はありそうです。
希望するすべての児童に完全に昼食を出すのはそう簡単ではないと思いますが、まずはすでに提供している地域を参考に「これならできそう」など、各地域が可能性を探るところから始めてみるのもいいのかもしれません。
【参考】
*1:【茨城県境町】夏休み、児童クラブで給食センターで作った昼食が大人気!
*2:放課後児童クラブの長期休業期間等における食事提供事例集(令和5年7月 こども家庭庁成育局成育環境課)

古屋 江美子プロフィール

子連れ旅行やおでかけ、アウトドア、習い事、受験などをテーマにウェブ媒体を中心に執筆。子ども向け雑誌や新聞への取材協力・監修も多数。これまでに訪れた国は海外50カ国以上、子連れでは10カ国以上。All About 旅行ガイド。
(文:古屋 江美子(ライター))

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